記事詳細

戻る

金沢工業大学先端電子技術応用研究所の超伝導量子干渉素子技術が地質学に貢献
岩石に記録された古地磁気から約300万年前の地球の気候変動を推定することに成功

2017年6月28日UP


サファイアロッドに装着された走査型SQUID顕微鏡先端部のSQUIDチップ。大きさは1mm×1mm。
-269℃近くまで冷却されるが、わずか約0.2mmで室温側の計測サンプルと隔てられる。



金沢工業大学先端電子技術応用研究所では、超伝導量子干渉素子(SQUID)と呼ばれる超伝導磁気センサを用いた微弱磁気計測技術の研究開発を進めています。


この技術を応用した走査型SQUID顕微鏡を、国立研究開発法人 産業技術総合研究所、高知大学と共同で開発し、それを用いたマンガンクラストの磁気イメージングの結果から、過去の地球の気候変動を推定することに成功しました。


当研究成果は2017年6月3日付けで米国の学術誌Geophysical Research Lettersに掲載されるとともに、詳細な内容は6月26日付けで産業技術研究所のwebページで公開されています。



現在、地磁気は北極側がS極となっていますが、過去に何度もS極とN極が逆転していたことがわかっています。


一方、岩石には鉄の酸化物など磁性を帯びる鉱物が含まれていますが、これらの磁性鉱物は岩石が形成される過程でその当時の地球の磁気を記録しています。


したがって、岩石に記録された磁気情報(古地磁気)を読み解くと、地磁気の逆転など過去の地球の歴史が見えてきます。


マンガンクラストは海底で成長するマンガンを主体とした岩石の一種ですが、極めてゆっくり成長することから、その形成年代を正確に決定することで地球環境を精密に復元できることが期待されています。

しかしこれまでマンガンクラストの形成年代の推定には、手間のかかる放射性同位体を用いた方法しかありませんでした。


今回、放射性同位体に代わる手法として、国内で初めて開発した地質試料用の走査型SQUID顕微鏡を用いて、太平洋の海山から採取されたマンガンクラストの磁気イメージングを行いました。


その結果、0.1 mmの高い空間分解能で過去の地球磁場逆転の磁気的な記録が検出され、マンガンクラストの成長速度が百万年あたり平均3.4 mmと推定されました。


また、磁気画像の詳細な分析から、試料に含まれる磁性鉱物の成分と量が約300万年前を境に変化したことが確認され、気候変動の影響によるものと推定されました。


現在、走査型SQUID顕微鏡は産業技術総合研究所で稼働中で、過去の地球環境の復元および将来の環境変化の予測に貢献するものと期待されます。


【産業技術総合研究所webページ】

走査型SQUID顕微鏡による磁気イメージングの地質学への応用
−海底のマンガンクラストから過去の気候変動と年代を推定−
http://www.aist.go.jp/aist_j/new_research/2017/nr20170626/nr20170626.html