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36か国、130以上の高等教育機関が加盟。
工学教育の世界標準「CDIO」国際会議を2018年6月に日本で初めて開催

2017年7月4日UP

金沢工業大学と金沢工業高等専門学校は、「工学教育における革新(Innovations in Engineering Education)」をメインテーマとした「CDIO 2018国際会議」を、2018年6月28日(木)から7月2日(月)にかけて、金沢工業大学扇が丘キャンパスで開催します。

「CDIO」(読み:シー・ディー・アイ・オー)とは、Conceive(考え出す)、Design(設計する)、Implement(実行する)、Operate(操作・運営する)の略で、工学教育の改革を目的として開発された考え方です。 MITやスタンフォード大学など36か国、130以上の高等教育機関が加盟し、工学教育の事実上の世界標準となっています。

CDIO国際会議は2005年にカナダのQueens Universityで第1回会議が開催されて以来、毎年世界各地で開催されています。2018年は第14回目となり、日本での開催は今回が初めてです。

期間中は工学教育の最新トピックに関する基調講演や口頭発表、ポスター発表、工学教育に関するワークショップやラウンドテーブル、CDIO Academy(学生によるグループワークや研究発表)など、さまざまなプログラムが実施される予定です。

CDIOとは

CDIO国際会議Webサイト
http://www.kanazawa-it.ac.jp/cdio2018/

CDIOとは、Conceive(考え出す)、Design(設計する)、Implement(実行する)、Operate(操作・運営する)の略で、2000年に米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)とスウェーデンの3大学が工学教育改革のための仕組みとして始めたものです。

これはCDIOイニシアチブと呼ばれ、「CDIOシラバス※1」という卒業生に求める知識、スキル、態度をまとめたものと、「CDIOスタンダード※2」という工学教育のフレームワークを示した2つの基本文書に基づいて実施され、「工学の基礎となるサイエンス」と「テクノロジーの基礎となる実践・スキル」のバランスを重視した、質の高い教育を目指しています。

現在CDIOには、36か国、130以上の高等教育機関が加盟し、工学教育の事実上の世界標準となっています。CDIOネットワークは今後の共同研究推進のため、各国の教育研究機関の参加を呼びかけています。

※1 CDIOシラバス

「WHAT:何を学ぶべきか」を示すもので、将来を担う技術者に求められる知識・スキル・態度として、次のようなものが詳細に示されています。

1) 数学・科学等の基礎的な知識と、技術者としての専門基礎知識

2)システムシンキングや批判的思考、仮設と実証、モデル化や定量化による分析力、技術者としての倫理観

3)チーム運営能力とリーダーシップ、口頭・文書・図形・英語によるコミュニケーション能力

4)社会における技術者の役割、経営的視点、プロジェクト運営・設計能力、改善能力

※2 CDIOスタンダード

「HOW:いかにして実施するか」を示す12のフレームワークであり、各々に自己評価のための、5点を満点とする6段階評価のルーブリックが示されています。これによって教育プログラムのPDCAサイクルを回すことを目指しています。

12の基準から成る技術者養成教育のフレームワーク

Standard 1 The Context 基本理念

Standard 2 Learning Outcomes ラーニングアウトカムズ

Standard 3 Integrated Curriculum 総合化カリキュラム

Standard 4 Introduction to Engineering  技術者への入門

Standard 5 Design-Implement Experiences 設計・実行の体験

Standard 6 Engineering Workspaces 学修スペース

Standard 7 Integrated Learning Experiences 統合化された学習体験

Standard 8 Active Learning アクティブラーニング

Standard 9 Enhancement of Faculty Competence 教員力の向上

Standard 10 Enhancement of Faculty Teaching Competence 教員授業力の向上

Standard 11 Learning Assessment ラーニングアセスメント

Standard 12 Program Evaluation プログラム評価

過去のCDIO国際会議の実績

2017 (13th) University of Calgary, Calgary, Canada

2016 (12th) Turku University of Applied Sciences, Turku, Finland

2015 (11th) Chengdu University of Information Technology, Chengdu, China

2014 (10th) Universitat Politecnica de Catalunya, Barcelona, Spain

2013 (9th) MIT-Harvard, Cambridge, USA

2012 (8th) Queensland University of Technology, Brisbane, Australia

2011 (7th) Technical University of Denmark, Lyngby, Denmark

2010 (6th) Ecole Polytechnique de Montreal. Montreal, Quebec, Canada

2009 (5th) Singapore Polytechnic, Dover, Singapore

2008 (4th) Hogeschool Gent, Gent, Belgium

2007 (3rd) Massachusetts Institute of Technology, Cambridge, USA

2006 (2nd) Linkoping University, Linkoping, Sweden

2005 (1st) Queens University. Kingston, Ontario, Canada

金沢工業大学、金沢工業高等専門学校とCDIO

金沢工業高等専門学校は2010年12月に日本の高等教育機関として初めてCDIOに加盟し、金沢工業大学は2011年6月に日本の大学として初めてCDIOに加盟しました。

また、金沢工業大学と金沢工業高等専門学校は、2014年3月24日から26日にかけて「CDIOアジア地域会議2014」を開催しています。

2016年6月にフィンランドのトゥルク応用科学大学で行われたCDIO国際大会において、金沢工業大学・金沢工業高等専門学校は「第14回国際会議」の誘致を行い、開催地として選ばれました。現在、来年の開催に向けて準備を進めています。

CDIO導入事例

金沢工業高等専門学校では「エンジニアリングデザイン教育」を主柱とした教育プログラムにCDIOを導入し、2018年からは「国際高等専門学校」に校名を変更します。

金沢工業大学では2011年のCDIO加盟後、これまでの教育改革を一段加速することを目的に、2012年4月からプロジェクトデザイン教育を主柱としたカリキュラムを全面的に刷新。

正課教育と課外教育プログラムを相互に連動・接続させる「正課×課外のトータルで学ぶ=KITでの学修」を実践することを目的とした、統合型のアクティブ・ラーニング・システムを構築しています。

このシステムは、CDIOが求めるConceive(考え出す)‐Design(設計する)‐Implement(実行する)‐Operate(操作・運営する)の一連を行うものです。 正課教育だけではCDIOが定める基準と照らし合わせ十分でないとの見方があるため、 (1) C-Dの重点を正課に、T-Oの重点を課外に位置付け、(2) 正課と課外を新たに構築するシラバスを通して接続し、(3) 正課と課外の学修内容・時間・達成度等をポートフォリオの仕組みと統合させて学修成果の可視化を図っています。

また、これまで充実を図ってきたプロジェクトデザイン教育に、新たにデザインシンキングの手法を正課と課外に導入をしています。

これらにより、統合型のアクティブ・ラーニング・システムが構築され、正課と課外の成果、学生個々の学習履歴、ポートフォリオなどの学修状況に応じた指導ならびにそれに基づく教育改善を図っています。

【CDIO webサイト】

http://www.cdio.org/