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精密工学研究室がAIの技術を応用して完成させた日本刀が、明治神宮宝物殿で開催中の展覧会「日本刀の匠展」に展示
機械工学科の精密工学研究室(指導教員:畝田道雄教授)がAIの技術を応用して完成させた日本刀が、11月20日(日)まで明治神宮宝物殿で開催されている展覧会「明治天皇110年祭並びに明治天皇御生誕170年祭記念【日本刀の匠展】」に展示されています。
精密工学研究室では平成30年度に科学研究費補助金によって、科学的に分析した現代刀(新作日本刀)の姿(形状)に基づいて日本刀を設計し、刀匠や刀剣研師らの協力のもとで第1次新作日本刀を完成させました。さらに、令和2年度には、ニューラルネットワークを用いたAIによって、過去10年にわたって開催された日本刀の展覧会に出展された多くの現代刀の特徴や審査結果の分析を進めました。その結果を元に、第1次新作日本刀が有する3次元形状の特徴解析を通じて、3次元設計図面を完成させ、刀匠や刀剣研師らの協力のもと、第2次新作日本刀を完成させました。
この取り組みの成果は、令和3年8月25日(水)~27日(金)に日本実験力学会が主催する年次講演会(オンライン)で、精密工学研究室の村上浩規さん(当時、大学院工学研究科 機械工学専攻博士前期課程1年)が「新作日本刀の姿に着目した特徴分析並びに3次元設計法の提案と実証」の論文を発表しました。さらに、公益社団法人精密工学会が発刊する学術機関誌に有審査学術論文「新作日本刀の形状の特徴分析とそれに基づく最適設計法に関する研究(著者:村上浩規[大学院生]、畝田道雄[教授]、大井 恭[大学院修了生]、横山詳悟[同]、石川憲一[名誉学長・教授])」として、2022年10月号にて詳細に発表されています。こちらはWEBでも公開されています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe/88/10/88_781/_pdf/-char/ja
今回、「日本刀の匠展」に展示されているのは、第2次新作日本刀となります。展示室には、日本刀の実物のほか、設計図面、設計思想・方法を説明したパネルを展示しています。ぜひ展覧会に足を運んでいただき、AIの技術と精密工学の知見で切り開いた研究成果をご覧ください。
※当研究は科学研究費補助金 基盤研究(C) No.17K06129 「日本刀の『美』の科学的解明とそれに基づく新しい作刀評価・設計法の提案と実証」(研究代表者:名誉学長 石川憲一教授、研究分担者:工学部機械工学科 畝田道雄教授)の一環として行われました。また、一般財団法人新技術振興渡辺記念会からの令和3年度下期研究助成(研究代表者:畝田道雄教授)も受けています。
展覧会概要
主催:公益財団法人日本刀文化振興協会
名称:明治天皇110年祭並びに明治天皇御生誕170年祭記念【日本刀の匠展】
会場:明治神宮 宝物殿
〒151-8557 東京都渋谷区代々木神園町1-1
開催期間:10月29日(土)〜11月20日(日) 午前10時から午後4時
休館日:毎週木曜日ただし11月3日(木・祝)は開館
入館料:1,000円(中学生以下無料)
URL:https://nbsk-jp.org/meiji_22/
本展覧会は、「明治天皇と日本刀」について広く内外に示し、現代の刀職者による作品展示を通じて、日本刀文化への理解を深めていただくことを趣旨として開催されています。
【関連リンク】
精密工学研究室(畝田研究室)がAIの技術を応用して日本刀の特徴などを分析。完成した第2次新作日本刀が、長野県坂城町にある「鉄の展示館」で8月29日(日)まで展示(2021年8月5日)