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環境土木工学科の花岡大伸准教授が土木学会の令和2年度の「論文賞」を受賞。鉄筋コンクリート構造物の劣化予測や合理的な耐久性設計のための表面塩化物イオン濃度評価式を提案した論文が評価

環境土木工学科の花岡大伸准教授が参加する研究チームが、土木学会の令和2年度の「論文賞」を受賞しました。

論文賞は、土木学会誌、土木学会論文集、その他土木学会の刊行物に研究・計画・設計・施工・考案・維持管理などに関する論文を発表し、独創的な業績を挙げ、これが土木工学における学術・技術の進歩・発展に顕著な貢献をなしたと認められる論文の著者に授与されるものです。

令和2年度に学会誌などに投稿された論文の中から44件が候補となり、さらにその中から9件の論文が傑出したものとして論文賞に選定されました。

受賞論文:飛来塩分環境下にあるコンクリートの表面塩化物イオン濃度評価式の検討

掲載誌:土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造)Vol.76, No.2, pp.98-108, 2020.

著者:佐伯竜彦(新潟大学)、富山潤(琉球大学)、中村文則(長岡技術科学大学)、中村亮太(新潟大学)、花岡大伸(金沢工業大学)、安琳(京都大学)、佐々木厳(国立研究開発法人 土木研究所)、遠藤裕丈(国立研究開発法人 寒地土木研究所)

論文概要

本研究は、同一の薄板モルタル供試体を用いて、日本各地の101か所において暴露試験を行い、飛来塩分環境を評価した。暴露供試体への塩化物イオン浸透量をコンクリートの表面塩化物イオン濃度に換算し、標高、風向、波エネルギーの影響を考慮して離岸距離を補正した、「補正距離」によって、地域によらず一律に表面塩化物イオン濃度を評価できる推定式を提案した。

受賞理由

コンクリートへの塩化物イオン浸透予測に必要とされる表面塩化物イオン濃度は、気象・海象・周辺地形など様々な要因の影響を受けるが、それらを適切に反映できる実用的な評価手法は確立されていなかった。対象論文は、同一の供試体を用いて日本各地の101か所において暴露試験を行い、供試体への塩化物イオン浸透量をコンクリートの表面塩化物イオン濃度に換算し、標高、風向、波エネルギーの影響を考慮したパラメータを用いることにより、地域によらず一律に表面塩化物イオン濃度を精度よく評価できる推定式を提案した。本研究の成果は、適切な塩化物イオン浸透予測さらには塩害に対する合理的な耐久性設計に大きく貢献することが期待される。以上のことから本論文は、コンクリート工学分野における学術・技術双方の進歩に顕著な貢献をしたと判断され、論文賞に相応しいと認められた。

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