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金沢工業大学革新複合材料研究開発センター(ICC)と企業の共同研究により開発したプレス成形用炭素繊維複合材料シートを適用した"アシストスーツ"と"ピンなしスパイク"が相次いで受賞
金沢工業大学革新複合材料研究開発センター(ICC)ではセンター・オブ・イノベーション(COI)プログラムの一環として、ICCが持つ樹脂反応制御技術によるランダムシートを原権利(シーズ)とした革新的な熱可塑性CFRPランダムシートを、サンコロナ小田株式会社(大阪市)と共同開発しています。
このシートは、熱可塑性樹脂を満遍なく含浸させた薄層炭素繊維テープを短冊状に切断し、ランダムに配置・積層させたもので、「Flexcarbon®」という名称でサンコロナ小田により製品化されています。
Flexcarbonは、炭素繊維束が非連続で等方的に積層されているため、複雑形状をプレス成形加工することができ、かつ屈曲部も炭素繊維のばらつきが少なく強度が強い成形品が可能なため、従来の素材でなし得なかった革新的製品が生み出されています。
このたびこのFlexcarbon®を使用した製品2点が昨年末に相次いで受賞し、評価されました。
アシストスーツ「アルケリスFX」
コンポジットハイウェイ・アワード2020 製品・評価技術部門 グランプリ受賞(2020年12月22日)
「アルケリス FX」は製造現場での立ち作業の負担を軽減するアシストスーツで、アルケリス株式会社(横浜市)とサンコロナ小田株式会社、大和ハウス工業株式会社(大阪市)により開発されました。
「アルケリス FX」は、手術における長時間の立ち姿勢を支援するために開発された医療従事者用のアシストスーツ「アルケリス」を製造現場の作業員向けに改良したものです。Flexcarbonを用いることで約40%の軽量化を実現。身体負担を軽減できるため、製造現場の高齢者や女性作業員など多様な人財が活躍できる職場環境の醸成につながるものとして期待されています。
コンポジットハイウェイ・アワード2020について(経済産業省中部経済産業局Webサイト)
熱可塑性炭素繊維複合材料を使ったピンなしスパイクの開発
2020年度(第51回)繊研合繊賞「ニューフロンティア部門」受賞(2020年12月24日)
アシックス社から販売されているスパイクピンのない陸上スプリントシューズ「METASPRINT」の“ピンなし”を実現した技術が評価され、 2020年度(第51回)繊研合繊賞「ニューフロンティア部門」を受賞しました。
METASPRINTのソール部分にFlexcarbonが使用されており、Flexcarbonにはナガセケムテックスの熱可塑エポキシ樹脂の技術が貢献しています。
繊研合繊賞は繊研新聞社が制定している賞で、化合繊業界の発展を期待し、優れた素材や技術開発、また創造的な企画・マーケティング、新市場の開拓などを表彰しています。
このたびの「ニューフロンティア部門」の受賞は、アシックス社、サンコロナ小田、ナガセケムテックス社、金沢工業大学革新複合材料研究開発センター(ICC)との4者共同での受賞となりました。
スパイクピンのない陸上スプリントシューズ「METASPRINT」については以下の記事をご覧ください。
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