知的財産マネジメント領域
戦略的に知的財産を活用して、
持続可能なイノベーションを実現する
イノベーションマネジメント研究(知的財産マネジメント領域)においては、知的財産系の教員が主となり、必要に応じて経営系の教員とともに研究指導を行います。今日の企業経営においてイノベーションを推進するためには、知的財産の戦略的マネジメントはきわめて重要であり、特にIoTやAIを活用するイノベーションではさらにその重要度が増しています。そこで、本研究においては、事業の競争力を高めるために、事業(経営)、研究・開発、知的財産の三位一体の企業活動を実現するための戦略的な知的財産のマネジメントについて研究します。研究テーマは各自の経験・問題意識やキャリアプラン等に応じて、自由に決めることができ、主として特定の企業や業界等における企業活動と知的財産戦略について事例研究等を行い、戦略的な知的財産マネジメントのあるべき姿を検討します。具体的には、戦略的な知的財産の権利行使やライセンス活動、技術標準化活動を含めたオープン・クローズ戦略等の知的財産の活用のあり方、知的財産マネジメントを戦略的に行うための組織論、人材育成等について研究します。
また、オープンイノベーションを背景に活発化する産学連携や技術移転活動等も重要な研究テーマとなります。さらに先端的な取り組みとして、マーケティング活動における知的財産の活用や、ブランド戦略、デザイン戦略等も研究対象としています。
さらに、近年の企業活動のグローバル化に伴い、知的財産実務においてもグローバルを意識した戦略的なマネジメントが不可欠です。本研究においては、我が国における知的財産実務とともに、グローバルな視点で高度専門人材である実務家にとって重要なテーマに関して研究を行います。具体的なテーマとして、特許法や実務に関する論点の研究の他、情報処理技術をベースとしたビジネス方法関連発明をテーマとすることにより、広く経営、技術と知的財産を融合させ、知的財産実務についての実践的応用力を身につけることも可能です。
情報処理技術やデジタルコンテンツ等に関連の深い知的財産法である著作権法に関する研究についても対象とします。例えば、インターネットにおけるフェアユースに関する研究や、デジタルコンテンツを活用するための法的基盤の研究等を行います。
本研究領域に特に関係の深い科目(群)としては、イノベーションマネジメント共通科目の「戦略思考・コンサルティング」「経営戦略」「知的財産マネジメント」「技術経営」に加えて、知的財産マネジメント専門科目の「産業財産権」「著作権」「グローバル知的財産」、ビジネスマネジメント専門科目の「グローバルビジネス」等があります。
過去の研究テーマ
・半導体製造装置業界における特許出願のクレームカテゴリーに関する考察
・IPランドスケープ構築のための知財戦略
・生体情報の事業活用に向けた特許戦略に関する研究
・特許から見たRFID技術の市場勢力状況に関する研究
・機能性化学品メーカーによる化学/素材系ベンチャー発掘の効率化
・大学保有特許活用のためのライセンスオファー活動
・医薬品研究開発における他社・他組織間連携を活用した創薬モデルの比較検討
・著作隣接権制度導入の歴史から考察する「実演」の保護要件
・ソフトウェア・ライセンス契約と消尽論・権利濫用論に関する研究
・特許出願から意匠登録出願への変更における客体の同一性についての一考察