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虎ノ門大学院ブログ
2019年11月03日

【授業レポート】フォロワーシップ・リーダーシップ特論(伊藤俊幸)
変化への対応の鍵はカリスマではなくフォロワー

■ カリスマではなくフォロワーが重要!?

戦略の実行や変革の実現に、リーダーシップが重要なのは言うまでもありません。KIT虎ノ門大学院でもこの点を重視し、「リーダーシップ要論」を1学期に、「リーダーシップ特論」を2学期に開講し、心理学的アプローチによるリーダーシップ論をお伝えしています。

そして、昨年度から3学期に「フォロワーシップ・リーダーシップ特論」を開講しています。今回の記事ではこちらの科目をご紹介します。お気づきの方もいらっしゃると思いますが、「リーダーシップ」の前に「フォロワーシップ(信頼)」という言葉を冠した、珍しい名前の科目です。

かつてリーダーシップ論といえば、カリスマ性で議論されることが主流でした。しかし、いくら圧倒的な才能を持つリーダーがいたとしても、その人の号令がなければ組織が回らないような仕組みでは、予測不能かつ急速な市場の変化に追いつくことは困難でしょうし、できることも限られます。

こうした限界の中、近年注目されている自己変革リーダーシップ論「良きフォロワー(部下)こそが良きリーダーになる」について、実践的アプローチとともにお伝えするのが本科目です。


■ 海上自衛隊が実践する、米海軍式の最新リーダーシップ論

担当するのは、伊藤俊幸 教授。元海上自衛隊の海将で、入隊以来34年間、潜水艦艦長を始め、種々の組織の長やスタッフを経験したという経歴は、日本国内のビジネススクールの教員の中では異色の存在といえるでしょう。

在米防衛駐在官の時には、「えひめ丸事故」の収拾や、9.11テロ後の米国防総省との調整を担当。また、情報課長在任時にはイージス艦情報漏洩事件の後処理にあたるなど危機管理を担当してきました。

とはいえ実は、欧米のMBAスクールにおける思考法、組織論及び経営戦略の多くは、軍事学からのスピンオフというのは有名な話です。海軍や陸軍での勤務経験を活かし、その後グローバル企業のCEOとして活躍する人材がいることも良く知られています。

伊藤先生も、米海軍の影響を受けている日本の海上自衛隊のリーダーの育成方法をまとめた書籍『リーダーシップは誰でも身に付けられる』を2018年に上梓しましたが、多くのビジネスリーダーにとっても有用な内容となっており、高い評価を受けています。

また、そうした経験や知見を活かして、企業経営者のアドバイザーや、テレビや新聞をはじめ各種メディアのコメンテーターなど、多方面で活躍しています。最近では、TOKYO FMの新しいラジオ番組「Think Japan」がスタートしました。


■ 企業を動かすにはマネジメントだけでなく、リーダーシップも必要

伊藤先生の授業は、ケーススタディーや演習、ディスカッションを豊富に取り入れたアクティブラーニング形式です。単に知識を増やすだけでなく、自ら考えて行動する人材を育てることに徹底的にこだわっています。


各グループに分かれて富士フィルムのケースを分析し、意見をまとめて発表する

取材日は全8コマからなる授業の7コマ目でした。メイントピックスのひとつが富士フィルムの再生についてのケーススタディーです。同社が「主要ビジネスであるフィルムビジネスが無くなる」という危機に直面して、どう変革を実現したかが描かれています。

富士フィルムが、医療機器ビジネスの強化や化粧品事業への参入など、大胆な方向転換を成し遂げたことをご存知の方も多いと思います。このケースを同社が「どのような戦略をとったか?何をしたのか?」というマネジメント的側面で読み取ることも可能です。

しかし、この授業のテーマはリーダーシップ。同社CEOの「どのようなリーダーシップが変革を可能にしたか」を皆で検討していきます。他の授業とは違った切り口でのケース分析は、大いに盛り上がりました。

伊藤先生の論理的で明快な、しかし今の日本のビジネス界への危機感と愛にあふれた熱い解説が、頭と心に響く…そんなあっという間の90分でした。

フォロワー(部下)が自らのリーダーの意向に沿うように主体的に動き、フォロワーシップ(信頼)に重点を置く組織をどう作っていくか。新しい時代に不可欠なリーダーシップの獲得に関心のある方はぜひ受講を検討してみてください!


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