開講科目の詳細
マーケティング・コミュニケーション特論
Marketing Communication
担当教員
受講対象者
経営、マーケティング、PR、広告、ブランディングなどに携わり、概念の理解にとどまらない実践を学びたい方
授業の主題と概要
【マーケティング・コミュニケーション】とは、企業が顧客と関係を築き、購買を促すために行う広告やプロモーション、広報といった活動の総称です。昨今では経営者からの情報発信や商品開発の段階からのPR設計が重要視されるなど、経営活動の全般に関わりが広がっています。担当教員は、現在も国内外の大手企業のマーケティング・コミュニケーションを現場で統率しています。以下の講義内容を骨格としながら、国内外のマーケティングアワード受賞プロジェクトなど、その時々の最先端・最高鮮度の知見や事例を盛り込みます。
【講義内容】は、実践を念頭に置いた3つのテーマで成り立っています。1つ目が「コミュニケーション・コンセプトの開発」です。顧客のインサイト、競合分析、自社の強みから、伝達すべき価値を導く思考プロセスを学びます。日本企業だけでなくAirbnbやテスラ、BYDなど海外企業も事例として参照します。2つ目が「カスタマー・ジャーニーの策定」です。生活者が商品・サービスを認知してから購買に至るまでの一連を可視化し、どのように認知・知覚を変化させるべきかを考えていきます。またTikTokやXなどSNS全盛時代のメディアミックスのあり方や、KPIの設定と運用の諸問題についても議論します。3つ目が「ブランディングの方法論」です。通常のマーケティングコミュニケーションは瞬間的な成功を求める傾向があるのに対し、ブランディングは長期的な企業・商品の価値向上と顧客との関係構築を前提とするという違いがあります。ここでは抽象的なブランド論にとどまらず、より具体的なブランディングの実践について主に解説します。事例として日本のトップブランドからローカルブランド、海外ではアップルやスターバックスなどの世界的ブランドから注目の新興ブランドまでを論じます。
【講義形式】は、A基本概念と事例の解説、Bミニワーク、C最終課題の3つで成り立っています。AのインプットとBCのアウトプットは約7:3の比率になります。
到達(習得)目標
マーケティング・コミュニケーションの基本を理解し、たとえメディアや生活者のトレンドが変わったとしても、普遍的に重要な概念と思考(マーケティング・コンセプトの言語化やカスタマー・ジャーニーの策定など)を運用して打ち手を考案できるようになることを目指す
講義スケジュール
講義 回数 |
講義テーマ |
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1・2 |
テーマ#1 伝えるべき価値は何か? コミュニケーション・コンセプトの開発 初回は全体像の把握と、伝えるべき価値の発見に重点を置く 1-1 | マーケティング・コミュニケーションの全体像を俯瞰する ・マーケティングにおいてコミュニケーションが果たす役割とは何かを考える 1-2 | コミュニケーション・コンセプトの考え方を4Cで理解する ・Customer: すべては顧客から始まる / ターゲット設定とインサイト ・Competitor: どこに機会があるのか / 競合分析と機会の発見 ・Company: 自社ならでの強みはあるか/ 商品価値の仕分けと重要な便益の発見 ・Concept: 伝えるべき価値を言語化する / 機能するコンセプトのつくり方 事例) Airbnb、スターバックス、テスラ、BYDほか |
3・4 |
テーマ#2 生活者接点をどのようにつくるのか? カスタマー・ジャーニーの策定
コンセプトを、どこでどのように伝えるか。メディアを通した生活者接点の設計を学ぶ 2-1 | 生活者はいつどこで購入を決めるのか ・AIDMA/AISASなどの購買決定プロセスの有効性について議論する 2-2 | 生活者の目線でカスタマー・ジャーニーを書く ・ペルソナの設定から、顧客接点のリストアップと選定、KPI管理までを一連で理解する 2-3 | メディアの現在地と特性を知る ・メディアの活用手法を国内外の先端事例から学ぶ。事例) マクドナルド、IKEA他 |
5・6 |
テーマ#3 長く愛されるブランドは何が違うのか? ブランディングの方法論
このコマでは顧客生涯価値を最大化するためのコミュニケーションを取り扱う 3-1 | ブランドとは何か?を理解する ・ブランドが「ある」状態は「ない」状態と何が違うのか? 3-2 | ブランドの基本設計を学ぶ ・ネーミングから価格設定まで。ブランドの土台をつくる。 3-3 | ブランドのコミュニケーションを立案する ・6つの手法を歴史的ブランド・コミュニケーションの事例から学ぶ 事例) アップル、ミツカン、バドワイザー、コロナビール他 |
7・8 |
テーマ#4 マーケティング・コミュニケーションの総合演習 4-1 | 総合演習 ・実際の事例をもとに戦略と実行プランを考えて発表する 4-2 | マーケティング・コミュニケーションの課題と未来 ・拭えないアンコンシャス・バイアス、KPI管理の有効性とその弊害 、AIと広告について 4-3 | 講義の振り返りとまとめ |
開講について
開講時期: 3学期
開講形態: 1コマ(180分)×4日間
講義回数: 全8回
※状況に応じて、一部変更が生じる場合もございます。予めご了承ください。
テキスト/参考図書
【テキスト】
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【参考図書】
「コンセプトの教科書 新しい価値のつくりかた」 (ダイヤモンド社) ほか、都度紹介予定
※上記は一部追加・変更となる場合もございます。また、指定テキスト及びケースなどは、別途ご購入頂くもので、授業料には含まれておりません。予めご了承ください。