開講科目の詳細
技術経営要論
Essentials of Technology Management
担当教員
受講対象者
新しい技術経営の考え方を習得したい事務系・技術系の方。イノベーションにかかわる経営判断力を磨きたい管理職の方
授業の主題と概要
これまでの技術経営は、技術を中核にして、いかに企業の価値を持続的に向上させるか、を目的にして議論が進められてきました。たとえば、自社は製品、プロセス、ビジネスモデルのどのイノベーションを目指すべきなのか、コア技術や技術プラットフォームをどう確立するのか、開発に長時間を要する技術や製品開発のロードマップはいつまで、どこまでつくるべきか、技術のMake or Buyやアライアンスの適切な判断基準はなにか、技術開発への投資効率はどう評価すべきか、イノベーションを加速させるための組織と人づくりのしかけは何か、といった議論です。しかし、今後の技術経営は、このような過去の議論だけでは十分でないでしょう。企業をとりまく将来のビジネス環境の変化を見据え、これからの技術経営は、人と情報を中核にして、企業価値を加速的に向上させることに目的が移りつつあります。実際、カスタマーエクスペリエンス(CX)イノベーション、IoT、スマート・ファクトリー、アジャイル・イノベーション、AI、AR・VRといった新たな技術経営の課題への取り組みが、多くの企業で焦眉の急となっています。本講義では、以上のような技術経営にかかわる新旧の重要テーマについて、企業経営の観点から講義、議論します。
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到達(習得)目標
技術経営の従来の主要テーマを理解した上で、今後の市場・顧客と技術の動向を踏まえ、新たに求められる技術経営の重要課題と取組みについて考察することで、イノベーションを具体的に実現、加速させるスキルを習得することを目標とする
講義スケジュール
講義 回数 |
講義テーマ |
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1,2 | 「イントロダクション」 技術経営のフレームワークや技術経営に起因する過去の優良企業の凋落事例(リーボック、ジレット、ラバーメイドなど)を解説する 「技術経営を取り巻く市場・技術の動向とベスト・プラクティス企業」 今後の技術経営の基礎となる「人」と「情報」の観点から将来動向を解説する。また、IoT,ビッグデータなどの主要技術を概説する。その上で、技術経営のベスト・プラクティス企業として、P&G、シーメンスなどのやり方を講義・議論する |
3,4 | 「技術経営とデジタル・トランスフォーメーション」 今後はデータが競争優位の源泉になり、また、顧客体験(カスタマー・エクスペリエンス)のイノベーションの重要性が高まっていることを解説し、その観点から先行するナイキ、小松製作所などの事例を紹介する。関連してIoTの応用事例を概説する 「デジタル時代の戦略と技術経営」 高い不確実性への対応力が必要なデジタル時代の経営戦略の考え方をネットフリックス、スポティファイなどを題材に解説し、その上で、今後の技術経営のあり方を議論する |
5,6 | 「スマート・ファクトリー」 将来の製造業の競争力を左右するスマートファクトリーの考え方について解説し、また、そこでの重要テーマとして、インダストリー4.0、デジタル・エンジニアリング、ロボット、3Dプリンティングなどについて概説する 「アジャイル・イノベーション」 Test & Learn方式のアジャイル・イノベーションの進め方を企業として取り入れる重要性が高まっています。どのようにアジャイル・イノベーションを進めるべきかをアマゾン、フェースブックなどを題材に議論します |
7,8 | 「技術経営の実践のためのデジタル・オペレーション」 今後の技術経営の実践のためには、高度なデジタル・オペレーションの仕組みが欠かせない。ここでの重要なテーマとして、AI,AR・VR、デザイン思考などを解説する 「受講生による課題発表」 本講義の全体を通じての受講生間の意見交換を兼ねる |
開講について
開講時期: 1学期
開講形態: 2コマ(180分)×4日間
講義回数: 全8回
※状況に応じて、一部変更が生じる場合もございます。予めご了承ください。
テキスト/参考図書
【テキスト】
適宜配布
【参考図書】
① 三澤一文「技術マネジメント入門」日本経済新聞出版社
② 延岡健太郎「MOT(技術経営)入門」 日本経済新聞出版社
③ジェフ・サザーランド「スクラム」早川書房
④ユルゲン・メフェルト、野中賢治「デジタルの未来」日本経済新聞出版社
⑤マイケル・ウエイド、他「対デジタル・ディスラプター戦略」日本経済新聞出版社
※上記は一部追加・変更となる場合もございます。また、指定テキスト及びケースなどは、
別途ご購入頂くもので、授業料には含まれておりません。予めご了承ください。