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虎ノ門大学院ブログ
2022年04月07日

修了生インタビュー:加賀谷諭さん(歯科技工企業 管理部長)
「MBAホルダーの高校教師になろうと思い、KITに入学しました」

加賀谷諭さん(37歳)は、私立高校の教師から、歯科技工企業の管理部長兼執行役員に転身した異色の経歴の持ち主です。出身は埼玉県東部、「団地と田んぼの街に生まれ育ちました」とのこと。自信満々でKITに入学後、授業初日に味わった痛烈なエピソード、修了後に果たしたキャリアチェンジまでの道のり、ユーモアを交えて語ってもらいました。

(※ この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています)


■ 歯科技工業界ではたらく


- 加賀谷さんは今、どんな仕事をしているのですか?


とある歯科技工の会社で管理部長兼執行役員をやっています。歯科技工とは、歯科医に依頼されて歯の詰め物を作る仕事です。この世界は典型的な「職人業界」で、個人事業主か、あるいは親方と2~3人の工房が大半です。歯の詰め物は必需品なので、需要はなくならないものの、最近は過酷な労働環境のせいか、就業志望者は年々、減り続けています。就職自体は売り手市場なんですけどね。

その業界で、弊社は現代的な経営を志し、現在は従業員100人を超え、売り上げはここ3年で2倍に成長しました。最近は3Dプリンタの導入など設備投資にも注力しています。

時には、売掛金の回収もやります。100万円分、納品したのに入金が10万円しかない。念のため確認してみると、相手は「今10万円しか払えない」という。ビジネスの厳しさを実感しました。そうなったら、私が交渉するしかない。

客先に出向き、少しでも多く入金してもらえるように粘り強く説明し、納得してもらいます。そこで、成約前の段階で、そうした相手とは取引を行わないように与信の仕組みをつくりました。RPGゲームで例えると、「よしんのしくみができた!」みたいな感覚です。

仕組みや管理が未分化な状態で売り上げが3年で倍になる、人もどんどん増える。これは管理に大きなヒズミが出てくる時期です。とにかく、すべてイチから仕組みを立ち上げます。

管理部長なので、経理も見なければいけない。でもここで告白すると、私、KITの在籍時はどうにも会計に興味が持てず、つい遠ざけていたんです。それが今になって響いている。授業で使った参考資料や教科書を引っ張り出して、改めて今の実務に役立てています。あの時の授業での学びが今になって生きています。

正直なところ、職人集団の管理はやりがいはありますが大変です。そもそも管理されたがる人たちではない。ビジネススクールで学んだような「正しいこと」を言ってもまったく通用しません。それでも会社をまとめ、成長させていかねばならない。日々、思いもしないところで、思いもしない問題が起きる毎日ですが、それでも楽しい。教師時代の経験を思い出し「毎日が文化祭じゃないか!」と自分を鼓舞しています。文化祭は、プロジェクトベースで、毎回イレギュラーな対応を行い、問題を解決していく。その楽しみと同じ感覚といえば、分かりやすいかもしれません。

教師の頃とは違い、やればやっただけ給与に跳ね返るのも大きい。教員時代と比べ、この3年で給料は約1.5倍になりました。それもあって、先頃、結婚し、川崎で一戸建ても購入しました。

■ 最初はスーパー教師を目指した


- 加賀谷さんの前職は高校の先生だったと聞きました。なぜ最初、教師になろうと思ったのですか?


高校は吹奏楽部で、音楽漬けの毎日でした。一時は音大を目指しましたが、様々な事情がありかなわなかった。じゃあ、高校の先生になって、吹奏楽部の顧問になろうと思い、大学で教員免許を取りました。

この大学で、リカちゃん人形を研究している異能の教授と出会い、そのゼミがとても刺激的でした。補足ですが、その教授は今では学長になったそうです。ゼミでは、ドラマや映画に読者がどう反応するかを読み解く、「読者反応論」に興味を持ち研究しました。それは広報、ブランディングにつながるもので、このゼミを通じ、マーケティングに猛烈に興味が湧きました。就活の時期になり、当初は教員を目指していましたが、方向転換をし、広告代理店やスターバックス(当時はまだ日本に上陸したばかり)などを受け、内定もそこそこもらえました。

ところが、卒業前に経験した、実際の高校での教育実習。これがマーケティングを上回る刺激とやりがいでした。教師こそこの世で最高の仕事だと感じ、よし、教師になる、と決意しました。

教師を目指す場合、通常、教員採用試験を受けるものですが、私は卒業間際に決意したので試験を受け損ねた。それでも教師になりたいと思い、何とかさいたま市の高校に非常勤講師として採用されました。そこに2年つとめた後、東京都内の私立高校の募集に合格し、本採用の教員となりました。その高校には結局、歯科技工の会社に転職するまで13年いたことになります。

そこでの教員生活はとても充実していました。吹奏楽部、軽音楽部の顧問を務め、さらに生徒の希望でダンス部も新設しました。その他、教員生活の9年目には、学校の経営に直接かかわる、企画・広報部長にも志願し、就任しました。その職務の目的は、ズバリ「入学してくれる生徒を増やすこと」です。いわゆるホームページや学校案内の制作のほか、地元の学校や塾に出向いて学校のプレゼンを行う「営業」もやりました。

しかし充実を感じる一方で、気になる点もありました。まず学校経営そのもの。ぜんぜん上手くいっておらず、赤字の垂れ流し、職員全体の給料は徐々に下がっていく。それでいて給料は完全に年功序列で、「働く意欲が低い年配社員」が、バリバリ活動している自分より、給料が倍です。さすがに滅入りました。



広報部長は、学校の戦略策定にも関わります。外部コンサルタントと共に、経営計画や生徒集めの改善策を考え、それを学内で実現していこうとする。しかし学校という場所では、結局、学内の「無気力の壁」に阻まれ、実現しない。

この状況をどう打開すればよいか。ふと、「じゃあ、ビジネススクールに行こうか」と思いました。

■ MBAホルダーの教師って、どうなんだろう?


- ビジネススクールで学び、転職しようと思ったのですか?


いや、その時は教師を辞めるつもりは全然ありませんでした。私は上昇志向や出世欲は旺盛な方です。その時は、いつかは校長になりたい、いや、自分の学校を作ってみたい、と思っていました。じゃあ、今後、学内で自分を差別化して、上に上がるにはどうすればよいか。授業が上手いのは当たり前で、それ以外に目立つ何かが必要になる。そう考えるうち、「MBAを持っている教員、っておもしろいよね!」という発想に至り、さっそく「教員をやりながらでも通えるビジネススクール」を探しました。

■ ビジネススクールをどう選んだか?


- ビジネススクールはどうやって選びましたか?


Web検索して、片っ端から、パンフ取り寄せたり、説明会に行ったりしました。選ぶ基準はまず「教職を続けながら通えるか?」です。まずは大学系のビジネススクール、そして某有名ビジネススクールを検討しました。ただ、いずれも通い方に融通が利かず、教職を続けながらの履修は困難に思えました。

とあるスクールは通信教育でした。仕事を続けながら、という意味では、たしかに通信教育が一番良い。最初は、おお、自分にぴったり、と思いました。ただ、そこでハッと思い出した。わたし、実は以前に、音楽の教員免許を取りたいと思い、芸術大学の通信教育を受けたことがあって、でも結局、長続きせず、途中でやめました。人と会わない通信教育は、やはり自分に向いていない。そこも候補から外しました。

そしてKITですが、ここは最初から柔軟性が高かった。事務スタッフの方が、ぜんぶ相談に乗ってくれた。いや、話を親切に聞いてくれるとういだけなら、それまでのスクールでも、それはあった。しかし最終的には、自分たちの枠組みが大前提で、そこに私の希望をどうはめこむかという応対だった。一方、KITでは、「人と人の会話」ができて、どうすれば私が通えるようになるか真剣に考えてくれました。 ここは良いなと思い、体験授業を受けました。これがさらにすごかった。

江戸時代の呉服屋のイノベーション、呉服屋がどう商売替えして、どう成功したかを論じる。実に刺激的でした。よし、ここで学ぼうと決めました。学費は貯金と教育ローンで調達しました。1年で修了するのは無理と最初から分かっていたので、3年で修了するよう計画を立てました(※ 注:かかる学費は1年分の1~2割増し程度です)。

■ 入学してからの日々


- 入学してからいかがでしたか?


初日からうちひしがれました。わたしは高校では、広報部長をつとめ、外部コンサルタントとも渡り合って、何なら「自分が一番できる人間」みたいに思っていた。経営コンサルが何だい、なんなら、オレがコンサルになってやるさ!とさえ思った。しかし、その自信は授業初日から崩壊しました。

ある先生の授業は、「発言は手を挙げてから」という形式でした。体験授業の時からそうだった。私はもちろん積極的に手を上げました。その時の先生の対応は、発言内容を褒めこそしないものの、否定もしないというものだった。手を上げたこと自体を評価する雰囲気さえありました。しかし、隠さずに話すとそれは体験授業の「お客さん向け態度」でした。実際の授業では発言すると、二言、三言しゃべっただけで、「ちがうでしょ。何それ?」とキツイ反応。

はたと周りを見れば、実社会でビジネス経験を積んできた人が、手を上げ、落ち着いて発言し、先生からも一応の評価を得ている。ヤバイよ、ぜんぜんダメだよ。入学しちゃったけど、大丈夫なのか、オレ、と焦りました。

翌日からは、事前準備にはげむ、議論にも参加する。批判されても参加することを続けました。まわりは、ほとんどの人が温かい目(生暖かい目?)で見守ってくれましたが、中には「そんなことも知らないの」という目を向けてくる人もいた。なかなか疎外感あふれる滑り出しでした。とはいえ、その授業では、発言しない限り、成績はつかないのです。やるしかない。無理矢理にでも前向きになってがんばりました。

今後の展望ですが、大きなプロジェクトに関わり、BtoBマーケティングをさらに究めたいと思っています。

今のは厳しい先生の例でしたが、その他、様々な先生がいらっしゃいました。問いかけを発し、それに対するこちらの答えをまず聞き、もっとよくするにはどうすればいいのか考えていく、受け入れるタイプの先生もいました。そして話が面白く発想が豊富で、転職を考えている人がいるなら相談に乗るよ、と言ってくれた先生もいました。

実は、今回の歯科技工企業への転職は、KITで出会った先生がきっかけとなりました。

■ 転職すべきか、教師を続けるか


- どういう経緯でそこへ転職することになったのですか?


A先生の授業は、経営企画、経営戦略でした。強烈に面白い内容だった。A先生は当初、別のコンサル会社への紹介を働きかけてくださいましたが、あいにく、その時は募集の空きがありませんでした。

すると、A先生から、「僕が経営する会社で働いてみませんか」と、言われました。当初は管理部長ではなく、経営企画的な仕事をするということでしたが、ポジションがないので人事総務課としてのオファーでした。 なぜ経営コンサルタントである先生が、歯科技工所を経営しているのですかと尋ねたところ、「ITなどで成功するより、こういった業界の会社を成功させてこそ、真のコンサルタントだと思います」とのことでした。

このときは相当に迷いました。当時の私の目標は「MBAを持った教師」になることで、転職することは考えていなかったからです。お金の躊躇もありました。学校の教師には、何のかんので、一応の安定と信用があります。それをすべて捨てるのかと。

しかし新たな仕事には強烈に引かれました。まずやりがい。その会社に入れば、「戦略を立て、実行する」ことを仕事にできる。それは学校の教員を続けていては経験しがたいことです。お金の面でも、実は魅力があった。学校の給料は安定はしているものの、完全に年功序列なので、給料を上げる方法はただ一つ、「戦略もやる気も実績も関係ない。とにかく長くいる。勤めつづける」だけです。その生活にこれからも自分が耐えられるのか。

一方、転職先では、「実績上げれば、給料も上がるよ」とのことでした。歯科技工の業界は、これから3Dプリンタなど新技術により、業界に大変革が来ることは間違いない。医療分野、歯の分野で需要がなくなることもまずない。見ようによっては、やりがいと安定の両方がある業界です。

いや~、迷いました。あと細かいこともあって、私、企業というのは、ビルの十何階などにある「見るからにオフィス!」のような場所を想定していたのですが、その歯科技工所は、町工場のような社屋で、となりは竹藪。管理部の勤務するところも、作業所のようなところでした。う~む、さあ、MBAホルダーの教員として教師人生を続けるか、それとも新天地で経営企画に参画するか。。。。。

最終的には「もっと経営戦略の学びを深めたい」という思いが勝り、転職を決意しました。その後は冒頭述べたとおり、日々、問題の連続ながらも、すべて自分の判断で解決していける、日々、エキサイティングで、成長できる、そんな日々を送ることができています。

■ 今後の展望


- 3年間通って分かったKITへの評価、今後の展望についてお願いします。


ただただ感謝、です。ここに通ったことで天狗の鼻は叩きおられた。世の中には、スゴイ人が山のようにいると実感した。じゃあ、自分はこの先、何で勝負していくか。「やはりマネジメントしかない」と思いました。

プレーヤーとして優秀な人々に対抗していくのは無理。この先、自分に勝機があるとすれば、それら優秀な人々を適切配置し、結果につなげていく、マネジメント能力だと考えています。そう思えば、今やっている、毎日がイレギュラー対応の管理部の仕事、そしてこの業界に新風を吹き込んで、一歩抜きん出た企業を目指す戦略策定の仕事は、自分のビジネス界デビューの場として、これ以上ないほど上々だと感じています。

■ 修了生からのアドバイス


- 今KITを検討している人に向け、先に入学し、修了した立場から、アドバイスなどあればお聞かせください。


悩むのなら、やっちゃった方が良いと思います。ここは、悩んでいる人を「甘やかさないよう、だけど伸ばしてくれる」場所だと思います。とりあえず、私がやったように、一度、事務スタッフの皆さんに相談してみるのがいいと思います。


※ 取材日時 2021年12月
※ 取材制作:カスタマワイズ

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