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虎ノ門大学院ブログ
2018年12月22日

KIT修了生インタビュー:宗像孝志さん(特許事務所 パートナー弁理士)
「弁理士試験に受かって、それからKITに入学しました」

宗像孝志さん(50歳)は、所員25名(うち弁理士10名)の特許事務所にパートナー弁理士として勤務しています。趣味は落語鑑賞。都内の演芸場にたびたび出かけ、楽しんでいるとのこと。苦労した弁理士試験のお話や、仕事の本質について詳しくお話いただきました。

(※ この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています)


■ オレたち、いらないかも?


- 宗像さんが知財に関心を持ったのはいつ頃から?


30歳を超えてからです。

私は高専の電気工学科を卒業したあと、日本を代表する大手通信会社に就職しました。当時は景気が良く、有効求人倍率が5.5倍もあったので、希望すればどこにでも入れました。でも配属されたのは電話交換機の保守。日々、交換機が正常に動作することを見守る仕事なので刺激が少なく、まだ若かった自分にとっては、つまらなかったです。最初の5年はいつ辞めようかとそればかり。

その後、IT部門の営業サポートSEに転属。今度は大企業向けに通信インフラを提供する仕事でしたが、これもつまらなかった。日本を代表する大企業のカンバンでシステム構築の案件を受注するのですが、実質的な仕事は下請け会社がするので、私が提供する付加価値は何?という思いが強くありました。その結果、「オレ、いらないかも?」「オレの仕事、何なの?」。大組織に埋没するむなしさです。

ある朝、目を覚まして、「これ、いつまで続ける?」と思ったが最後です。気がついたら14年間つとめた会社を辞めてました。

■ もしかして、便利屋ですか?


- その後、どうしたのですか。


知り合いに異業種交流会を主催する経営者がいて、その方に、単発の仕事をもらっていました。その交流会は「みんなでブレストしてビジネスモデル特許を作ろう!」という趣旨です。その会ではじめて、弁理士のAさんに出会いました。私は「もしや便利屋じゃないですよね!?」と聞いてしまいました。Aさんは「それ、よく言われるんだよね」と優しく諭してくださいました。

Aさんは、ビジネスモデル特許作りに専門家として参加していました。私はAさんのような弁理士が明細書を作る元となる資料作成の手伝いをはじめました。ブレストで参加者が自由闊達(ある意味では、ワーワー適当)に言ってた話が、ロジックを整えて文書化すると、一転、ものすごく強力な権利、武器に変わる。これはなかなか衝撃でした。

そんな私を見ていた経営者が、「楽しいのは分かるが、いつまでもそのままでいられないだろ。オレが口利いてあげるから、お前も専門家を目指せよ」と言ってくれました。結果、人生で初めて出会った弁理士Aさんの事務所に雇っていただきました。私は「いい流れ」には素直に乗る方です。35歳のときです。

■ 弁理士資格でも取ろうか


- 大企業から転職して給料が下がったのでは? 新しい職場の仕事はいかがでしたか?


はい、給料は200万円ほど下がりました。でも生活できるし、見習いで入ってるんだし、苦はなかったです。

特許出願では「これはオレの発明!」と主張したい部分を、すべて言語化します。言語化してないなら、それは「ない」のと一緒。最も適切な表現を考える、その試行錯誤が面白い。前職と違って、クリエイト感、意味あることをやってる感がありました。

入所後しばらくして、「どうせなら弁理士資格、取った方がいいな」と思い、受験しました。そのときは合格までの道のりが長くなるとは思ってませんでしたが…。

■ 今度受からなかったら、やめる


- どのような受験生活だったのですか。


最初は弁理士試験の難しさも知らず、「簡単に受かるだろう」と勝手に思っていたんですよね。ほとんど勉強しないで、入所半年後に受けた1回目の一次試験、60点中36点取ったら合格のところ、20点。勉強していないのに3割も正解したならば、少し勉強すれば、6割を超えるだろうと勝手に思いました。なので、根を詰めた勉強をすることなく2回目、3回目と受験することになり、結果、3年も勉強しているのに30点を超えることもなく、一次試験すら突破できず。周囲の話を聞くと、どうも4回目か5回目で合格する例が多いらしい。だけど私は翌4年目も5年目も不合格でした。

「今度受からなかったら、もう弁理士はあきらめよう」と決意した6回目。一次試験は合格点にほんの少し足りず。結局、不合格でした。



■ ついに終わった、やれやれ


- 当時はどんな気分でしたか。


そりゃ、落ち込みます。ただ、私、あまり思い詰めないタイプなんで。いや、瞬間的には落ち込みますが、それを持続できない。思い詰め続けるストレスに耐えられない。だから、その後も受け続けました。

あと少しだったから、今年こそ!で望んだ7回目は前回よりも点数が下がり、ここでも落ち込みましたが、すでに諦めることを諦めていましたので、次年度も受験し、ついに(やっと)一次試験合格です。そして、迎えた9回目の受験となった2012年、二次試験、最終試験にも合格し、やっとこさ弁理士資格をゲットしました。

「ついに終わった、やれやれ」という安堵感がありました。そして弁理士という肩書きとともに仕事をするようになりましたが、しばらくして社会人大学院への関心が湧いてきました。

■ 特許事務所の仕事って何?


- どんな関心があったのですか。


自分の仕事、これでいいのかな、外の世界が知りたいな、と思いました。

特許事務所の仕事は、言ってみれば「依頼を受けて、書類を作る仕事」です。「書類を作る」という部分では、完璧な仕事をするべく頑張ります。でも、その依頼がなぜ来たのか?そこにどんなニーズがあったのかということは考えたくても材料がありません。クライアント企業が、なぜこの発明の権利化を望むのか?という関心は満たされることはなく、いただいた仕事に応えるべく手を動かすだけ、という感じになっていました。

しかしリーマンショック以後、企業の特許部門はコストセンター(金食い虫)と見なされるようになり、事務所への依頼も徐々に減ってきました。こんな、客先の状況に翻弄されるだけの状態でいいのかな、別の稼ぎ方を考えないと生き残れないんじゃないか。

企業はなぜ特許事務所に依頼するのか。自分の仕事の顧客価値は何なのか?本当に価値があるのか?もしかしてないんじゃないの?いや、ないならないでいい、でも価値がないのをあると思い込んでたら、それって、危険ですよね?

とにかく勉強しようと思い、企業の知財担当の方の講演や、知的財産マネジメントに関する勉強会などに積極的に参加していました。しかし、参加して色々なお話を伺うほどに、「特許事務所の存在価値とは何なのか?」と、疑問は深まるばかりでした。

もっと知りたい、もっと勉強したい。これは社会人大学院かな、と思いました。

■ 儲かるネタが分かる


- KITを選んだのはなぜですか。


KITがいちばん「実務家寄りの授業」が多かったからです。他大学が提供するカリキュラムは、どうしてもアカデミック寄り。でも、別に学者になりたいわけじゃないし。

KITなら、毎日、仕事するだけでは分からないこと、露骨にいえば、「儲かるネタ」が見つけられるかなと。ここが一番いい。KITで勉強しようと決意しました。

■ 知りたいことだけ学べる


- 修了後の今から振り返って、KITへの評価をお聞かせください。


「授業が多岐にわたっている」のは魅力でした。興味を刺激するカリキュラム。取ってみたい授業がとるべき単位を越えてたくさんありました。修了に必要な単位は1年半で取れましたが、居心地がいいこともあって、結局3年間、在学しました。

「本物の先生」とも会えた。雑誌やネットでちらり見たことのある業界の有名人ばかり。そういう人から、直に話を聞き、熱量ある濃い議論ができる。刺激的でした。

「授業の取り方に自由が利く」のも良かった。私としては「自分の知りたいことだけを知りたい」わけだったので。

■ 自分のビジネスになるといい


- 修了後、何か発想が変わりましたか。


はい、変わりました。あ、ちなみに職場も変わりました。

以前と比べて、顧客に深い話ができます。また相手の話も深く解釈できます。視野が広くなった気がする。産業界全体の生態系(エコシステム)が見えて、それをふまえて話せるというか。

でも一方、「この仕事にどういう価値あるのか」という疑問は深まる一方なんですよね。特許の仕事は、結局、外部のビジネス環境に依存している。でも環境は変わるでしょ。その不確定さは気持ちが悪い。でも、別の視点、世界があるんじゃないか。それはたぶん、考える価値がある。

将来的には、いま考えていることが何かの形で、「新たなビジネスモデルの創造」ができればいいな、と思っています。

※ 取材日時 2018年11月
※ 取材制作:カスタマワイズ

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