専任教員インタビュー集

北谷 賢司
Kenji KITATANI
教授/PhD
エンタメは「チャラついていたらダメ」
伝説のプロモーター・ドクターKが大切にする3つの知識
北谷賢司

「この業界に真面目さはいらない」は、単なるうぬぼれ

NFLやNBA、ローリング・ストーンズの興行を日本初開催したほか、セリーヌ・ディオンやエド・シーランの来日ドーム公演を手がけるなど、プロモーターとして数々の実績を残してきた北谷賢司教授。2023年10月からDAZN Japanのチェアマンにも就任し、博士号を持つ伝説のプロモーター「ドクターK」として、世界に名を知られる存在です。

そんな北谷教授は、メディア・エンタメ業界の人材に見られる「ありがちな勘違い」をはっきりと口にしました。

「テレビ局などの現場に行くと、派手な格好でいなしている人をたくさん見かけます。時間にルーズなことも多く、『この業界に真面目さはいらない』という声もよく聞かれました。それはうぬぼれであり、大きな間違いです。優秀な人こそTPOをわきまえ、マナーを守り、ビジネスパーソンとしての振る舞いを忘れていません。チャラチャラしていてはダメなんです」

強い思いを口にする理由は、北谷教授自身が真面目さ、仕事のきれいさを大切にしてきたため。むしろ「この仕事をしているからこそ、チャラチャラした人間とは一線を画さないといけません」と厳しい表情を見せます。

「この業界には“黒いやりとり”がはびこっています。その中でも私は、きれいに公明正大な形で、人がやっていないことを実現したいと思い続けてきました。日本のエンタメにとってそれが普通になる時代が来ないといけませんし、いまもその世界を作ろうとしています」

ローリング・ストーンズの来日公演を実現したときも、さまざまなハードルがありました。かつてメンバーの薬物所持歴によって日本への入国許可が降りず、来日公演が中止になっていた経緯があったのです。「今回も実現できないだろう」と周囲に言われながらも「正面からクリーンな形で突破しました」と振り返ります。

プロモーターとしての成功要因は「エンタメ以外の知識」

なぜプロモーターとして、これだけの実績を収めることができたのでしょうか。そのセオリーを尋ねると、「交渉前に相手のことやそれに紐づく産業構造を学ぶのはもちろん、法律やアカウンティング(会計)まで勉強し、すべての交渉を基本的に自分で対応していたからです」とのこと。

「法律や金額面の話になると、外部の弁護士やエージェントに任せるケースは少なくありません。自分で責任を取りたくないのもあるでしょう。私はすべて自分で行ったので、相手も覚えてくれましたし、『あいつは汚いことをしないし、お金も含めて契約を忠実に守る』と信頼してくれました。それが次につながっていくのです」

だからこそ、この業界で活躍するには、ファイナンス、アカウンティング、法律の3つを身につけなければいけないと語気を強めます。

「いくらメディアやエンタメに詳しくても、収支計算ができず、著作権についても分からなければ、世界で通用しないのです。この3つの知識が必要になるのは、きっとどの業界でも共通でしょうし、特に経営者は必須となるはずです」

北谷教授のビジネス哲学を表すエピソードがあります。「メディアやエンタメの中で、特に好きなコンテンツはありますか?」と尋ねると、即答で「無い」と答えました。その理由にビジネスパーソンとしての矜持が見えたのです。

「特定の好きなものを持つと、その領域に入り込んでしまい客観性を失います。そして失敗する。『マイケル・ジョーダンが好きだから連れてきたい』という気持ちになり、収支が見えなくなるのです。そうではなく、ジョーダンを連れてきてどう利益を生むのか、呼ぶための資金をどう作るのかを考える。それが私たちの仕事でしょう」

講義では、アメリカの最前線で活躍する“教え子”も協力

こうした考えをベースに、KIT虎ノ門大学院でも人材育成に携わってきました。

「教育となるとすべてを私一人では出来ませんから、法律面では大橋先生(大橋卓生教授)を、また私の後継者として石井先生(石井大貴准教授)を呼びました。2人とも、かつて一緒に仕事をした仲です」

そのほか、アメリカの大学でも長く教えており、かつての教え子たちがメディア・エンタメの中枢で活躍しています。そういった人にも講義で話してもらっているとのこと。ここまで人材育成に心血を注ぐ理由は、日本の現状に対する危機感に他なりません。

「日本のメディア・エンタメは完全にガラパゴス化し、グローバルスタンダードから乖離しています。市場規模が大きく、かつ昔は経済が良かったため、国内で回せば十分な収益を上げられたことがこの状況を生みました。一方、韓国は国内の市場規模が日本よりはるかに小さい中で、早くからエンタメの“輸出”を念頭に置き、約30年で世界に通用するコンテンツを量産しました。この状況を変え、日本のガラパゴス化を打破しなければなりません。そのためには人材育成が急務なのです」

華やかに見える業界とは裏腹、実直に、真面目に実務と向き合い、成功を収めてきた伝説のプロモーター。「趣味は仕事」と言い切るその眼差しには、わずかなよどみも、揺らぎもありません。同じように誠意を持って仕事に向き合う人材を、虎ノ門から育てていきます。

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