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学生プロジェクト「Toiro」が能登町松波地区に交流ベンチを寄贈。
能登半島地震からの復興を願い、地域の交流拠点づくりに貢献
金沢工業大学の学生プロジェクト「Toiro」は、北陸の建築学生による復興支援活動「GAPPA noto(北陸建築学生仮設住宅環境支援プロジェクト)」の活動の一環で、令和6年能登半島地震で被災した能登町松波地区の復興を願って、同地区のミニサッカーコートに交流・休憩のためのベンチを寄贈しました。
当イベントは『能登黒瓦のカケラで松波ベンチを作ろう。〜サッカー広場から復興交流拠点へ〜』として10月18日(日)、松波酒造トレーラーハウス(石川県鳳珠郡能登町松波)にて開催されました。
今回設置したベンチは、子どもたちのサッカーを見守る保護者や地域住民が気軽に利用できる憩いの場として製作しました。ミニサッカーコートを訪れる人々が自然に集い、会話や交流を楽しめる空間を創出することで、震災によって影響を受けた地域コミュニティの再生と活性化につなげることを目的としています。
寄贈したベンチには、地震で倒壊した家屋に使われていた能登黒瓦をアップサイクルした建材「textone NOTO-KAWARA(テクストーン 能登-瓦)」を使用しています。失われた黒瓦に新たな命を吹き込み、地域の記憶を未来へとつなぐとともに、能登半島地震の記憶を風化させないシンボルとなることを目指しています。
「Toiro」の学生たちは、現地での活動や地域住民との交流を通じて、松波地区に必要とされる環境づくりについて検討を重ねました。設計にあたっては、建材「textone NOTO-KAWARA(テクストーン 能登-瓦)」というナラティブな素材を活かしたデザインとするため、これを共同開発した3社(株式会社CACL、有限会社永山祐子建築設計、株式会社LIXIL)から、意匠デザイン、材料加工について指導を受けながら、ベンチの設計・製作を進めました。完成したベンチは、スポーツ観戦の合間に休める場所としてだけでなく、地域住民が日常的に集う交流の場としての活用も期待されています。
あわせて、ベンチ寄贈にあたり、地元の親子や地域住民、松波酒造関係者の皆さまとともに、震災で全壊した酒蔵や自宅跡地に残る瓦片を掘り起こし、その一部をベンチに埋め込むワークショップを実施しました。
イベント当日は、「Toiro」の指導教員である下川雄一教授のもと、金田唯翔リーダーをはじめとするメンバー11名が中心となって行いました。また、能登町の吉田町長をはじめ、能登町、松波酒造株式会社、株式会社CACL、有限会社永山祐子建築設計、株式会社LIXILの皆さまにご協力いただきました。当日は、地元の親子や地域住民のほか、自治体や各社の関係者の方々にも多数ご参加いただきました。






当イベントについて
能登町・松波地区の今後の復興に向け、ミニサッカーコートに併設する交流・休憩のためのベンチを寄贈しました。ベンチの座面には能登黒瓦の再生建材が使われています。失われた黒瓦にもう一度命を吹き込み、能登半島地震の記憶を風化させない役割を担います。
当日はベンチの寄贈にあわせて、地元の親子や近所の方々、松波酒造関係者の皆さまと一緒に酒蔵・自宅の跡地から瓦片を掘り起こしました。その後、掘り起こした瓦片をベンチの一部に埋め込みながら、震災前の記憶について語り合うワークショップを行いました。
ベンチ製作の経緯
日本サッカー協会(JFA)は、能登半島地震からの復興支援として珠洲市、輪島市、能登町の3市町へミニサッカーコート5基を寄贈しました。そのうち1基が、能登町松波地区の松波酒造酒蔵跡地に設置されています。 松波酒造から能登町に 「子どもたちが遊びや休憩に利用できるベンチを整備したい」と相談があり、能登町はGAPPA noto(北陸建築学生仮設住宅環境支援プロジェクト 会長:金沢工業大学 竹内申一教授)に協力を要請しました。
この要請を受け、GAPPA notoに参加している金沢工業大学Toiroプロジェクト(プロジェクトリーダー:建築学科3年 金田唯翔さん/担当教員:建築デザイン学科 下川雄一教授)が、ベンチの企画・デザイン検討を担当しました。プロジェクト内でコンペを行って複数の案を募り、建築学科3年の金田唯翔さんと宮本和輝さんによる2案を選定しました。その後、地域住民や関係企業との対話を重ねながら、具体化を進めました。
ベンチデザインについて
ベンチのデザインは、GAPPA notoに参加する金沢工業大学Toiroプロジェクトが担当し、学生によるデザインコンペを実施しました。その結果、金田唯翔さんと宮本和輝さんによる2つの最終案が選定されました。
■「内浦ベンチ」(金田唯翔さん案)
「寄せて集まる」をコンセプトに、松波酒造の前に広がる穏やかな内浦の海と、その水面を表す青海波(せいがいは)模様をモチーフとした一人用ベンチです。座面には震災で被災した能登黒瓦の破片を埋め込み、「textone NOTO-KAWARA」の温かみのある色彩との対比によって地域の記憶を表現しています。また、一人用とすることで、サッカー観戦や休憩、地域の交流など、多様な使い方ができることを意図しています。
複数のベンチを組み合わせることで、人々が自然に集まり語り合う場を生み出し、復興の拠点となる空間づくりを目指しました。

■「貫構造のベンチ」(宮本和輝さん案)
松波地区で毎年開催される「松波キリコ祭り」と、震災で全壊した松波酒造の酒蔵建築をモチーフとしたデザインです。酒蔵や伝統木造建築に見られる「貫(ぬき)構造」をベンチの骨格として表現し、地域の歴史や文化を感じられる造形としました。また、座面には松波の「松」と「波」をイメージした意匠を施し、現地で回収した瓦片を埋め込むことで、震災前の日常や風景の記憶を次世代へ伝える役割を持たせています。地域を支えてきた伝統文化と復興への願いを込めたデザインです。

今回寄贈したベンチは、コンペで選定された2案の考え方を踏まえて実施設計を行い、地域の方々との対話を重ねて完成しました。
ベンチの特徴
ベンチには、地震で破損した能登黒瓦を原料として活用した建材「textone NOTO-KAWARA」を使用しています。
「textone NOTO-KAWARA」は、株式会社LIXILと株式会社CACLならびに(有)永山祐子建築設計の3社が連携して開発を進めている建材です。破損した黒瓦を粉砕して新たな意匠建材として再生する取り組みから生まれました。単なるリサイクルにとどまらず、地域の記憶や想いを未来へつなぐ「創造的復興」を目指すプロジェクトとして展開されています。
今回のベンチでは、現地で回収した瓦片を実際に座面へ埋め込み、松波の歴史や震災の記憶そのものをベンチの一部として残しました。
松波酒造株式会社について
松波酒造は1868(明治元)年創業の酒蔵です。能登杜氏発祥の地として知られる松波地区で伝統的な酒造りを続けてきました。しかし、令和6年能登半島地震により酒蔵は全壊し、現在はトレーラーハウスを拠点に事業を継続しています。 今回のベンチ寄贈は、子どもたちの遊び場づくりにとどまらず、松波酒造の再興と地域コミュニティの再生を後押しする取り組みでもあります。
GAPPA noto(北陸建築学生仮設住宅環境支援プロジェクト)について
令和6年能登半島地震の被災地に建設された仮設住宅地において、居住者の方々の安らぎのある住環境と豊かなコミュニティの形成を支援することを目的に、2024年5月に発足した学生による支援団体です。GAPPA(がっぱ)は石川県の方言で「一生懸命になる」という意味です。
北陸三県の建築系学科のある大学・高専の研究室を単位としたチームが連携し、各仮設住宅団地の居住者の皆さんとのコミュニケーションやワークショップを通じて、モノ・空間・環境をつくる「モノづくり」と、出来事・活動・イベントをつくる「コトづくり」の両面から、豊かな生活環境と暮らしをつくるお手伝いをしています。
金沢工業大学の建築学科の学生たちの課外活動団体「Toiroプロジェクト」もGAPPA noto の活動に参画しています。
本事業の目的
本事業では、次の5点を目指しています。
・被災した黒瓦の再活用による震災の記憶の継承
・地域住民が集い、交流できる場の創出
・子どもたちの居場所づくり
・松波地区の復興とコミュニティ再生への貢献
・次世代への地域文化・歴史の継承
このベンチが、人々が集い、語り合い、地域の未来を育む新たな場となることを期待しています。
Toiroプロジェクトについて
Toiroプロジェクトは、建築学部を中心とする学生たちによって組織される課外活動団体です。建築を学ぶ活動の一環として、地域の各種団体・個人からの要望に応じてデザインからものづくりまでを一貫して手がけています。「Toiro」(十色)という名前の通り、建築の領域だけを見てもデザインや情報技術、構造や環境、構法や施工など様々な分野があり、それらを総合的な知識と能力として融合する力を実体験からよりリアルに学ぶため、学外(社会)に学びの場を求めるべきという考えのもと展開しているプロジェクトです。
これまでに、野々市市本町にある空き家のコミュニティカフェへの改装(2016年)、株式会社小松電業所の総務部オフィスのリノベーション(2018年)、七尾城跡の休憩所の内装デザイン(2021年)、ユースセンター金沢ジュウバコでの家具つくりDIYイベント(2023年)、公園利活用(2024年)、GAPPA noto〔北陸建築学生仮設住宅環境支援プロジェクト〕(2024・2025・2026年)、金沢TONKAN(2026年)などでの実績があります。2026年10月現在のメンバー数は121人です。
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