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【国連SDGsの目標7と目標11の達成に貢献】脱炭素を志向した電熱エネルギーのシェアモデルを構築するとともに、排熱や風力、人力による発電設備を新たに導入。白山麓キャンパスにおける再生可能エネルギーの地産地消。小エリア直流電力網実証実験が第3段階へ

金沢工業大学では、白山麓キャンパスでの産学連携による再生可能エネルギーの地産地消実証実験を第3段階に進めました。株式会社成宏電機(石川県小松市)との産学連携のもと、クリーンなエネルギーを「つくる」、「貯める」、「使う」の各々について、実証実験設備を拡大しました。

「つくる」については、バイオマスボイラーの排熱で発電するための株式会社KELK(神奈川県平塚市)の熱電発電モジュールと、風力発電装置、人力により直流発電(回生)が可能な電動自転車を新たに導入し、直流電力網に接続しました。これにより、すでに設置済みの太陽光発電とバイオマスに加え、さらに多様な脱炭素を志向した再生可能エネルギーのベストミックスによる電力の地産地消が可能となりました。

「貯める」については、警備会社の株式会社セーフティとの連携にて、発電できる電動自転車から回収した電力を貯めることが可能なカートリッジ式蓄電池を導入しました。金沢工業大学では昨年からEVを使った仮想配電網の実証実験を進めていますが、これにより、電動自転車でもEV同様に仮想配電線として電力不足の地域に電力を運ぶことができます。また、この電動自転車は防災及び減災時の活用も想定しており、チューブレスタイヤ(パンクフリータイヤ)であるため、EVでは移動困難な被災地域への電力運搬やその場での発電も可能です。

小容量ですが、北海道のブラックアウトや千葉での停電の際に課題となった災害時の、スマートフォンなどの電力供給にも貢献できるものと期待されます。EVと組み合わせることで、強靭なエネルギーインフラの構築に繋がっていくと考えています。

「使う」については、TDKラムダ株式会社(東京都港区)の支援のもと、コテージ1戸で進めていた直流電力および熱のエネルギーマネジメントの実証実験を2戸のコテージに拡大しました。これにより電熱の組み合わせによるエネルギーの効率的シェアモデルの実証が可能となります。

さらにバイオマスボイラーによる温水を、本年10月に白山麓キャンパスに設置した高品質いちご研究圃場に接続し、供給を開始しました。従来、ハウス栽培では冬場の暖房設備として重油ボイラーが使用され、コストとともに温室効果ガスの排出が課題として指摘されていました。これに対し、カーボンニュートラルであるバイオマスの排熱を暖房として利用することで、農業分野における脱炭素化の検証実験も可能になりました。

小エリアでの直流(DC)給電網は、交流による外部電源の停電時においても、一瞬たりとも停電しないことが実証されており、国連SDGsで目指す再生可能エネルギーの拡大(目標7)や災害に強靭なまちづくり(目標11)にも貢献するものです。

各装置の概要

バイオマスボイラーの排熱で発電する熱電発電装置(写真中央 正方形の装置)

出力最大240W

白山麓キャンパス Innovation Hubの屋上に設置された風力発電装置。出力最大300W

人力により直流発電(回生)が可能な電動自転車を新たに導入し、直流電力網に接続。

1時間漕いで100Whの電力量が得られる

電動自転車で発電した電力を貯めるカートリッジ式蓄電池。EVでは移動困難な被災地域への電力運搬やその場での発電も可能

白山麓キャンパス内のコテージ。第3段階では2戸のコテージを再生可能エネルギーによる直流電力網でつなげる

令和元年10月に白山麓キャンパスに設置された高品質いちご研究圃場。冬場の暖房をバイオマス発電の排熱を利用することで、農業分野における脱炭素化の検証実験も可能になる

白山麓キャンパスにおける直流電力網実証実験 第1段、第2段について

これまで白山麓キャンパスでは太陽光発電と蓄電設備を再生可能エネルギーに最適な直流(DC)給電網でつなぎ、実際に被験者が試験的に住むコテージで実証実験を行ってきました。またコテージで蓄電した電力をEV(電気自動車)で運ぶ仮想配電線としての検証実験も進めています(第1段階:平成30年4月より)。

さらに地元産木材チップを使ったバイオマスボイラーを平成31年2月に導入し、スターリングエンジンを使って発電された電力を直流(DC)給電網に直接接続。太陽光発電とバイオマス発電によるベストミックスでコテージに電力を供給するとともに、バイオマスボイラーから回収した温水により、コテージの暖房に有効利用しています(第2段階:平成31年2月より)。

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