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【高大連携レポート】
石川県立野々市明倫高校でデータサイエンス特別講義を実施
金沢工業大学では、2026年10月14日(水)に、高大連携事業の一環として、石川県立野々市明倫高校(石川県野々市市)の1年次生6クラス・240名を対象とした「データサイエンス特別講義」を実施しました。本事業は、データサイエンスへの理解を深めるとともに、探究学習での活用を見据え、地域や社会の課題をデータから読み解き、根拠に基づいて考察する力を育成することを目的としたものです。講師は、渡辺秀治准教授(金沢工業大学基礎教育部 数理・データサイエンス・AI教育課程)が務め、渡辺准教授がデータサイエンスの基本的な考え方や演習の目的について説明した後、事前研修を受講した高校教員が各クラスで演習を担当し、生徒のデータ分析活動を支援する形で実施されました。

データサイエンスはなぜ必要か?
講義の冒頭で渡辺准教授は、近年、社会のさまざまな場面でデータ活用が進み、データを読み解き活用する力が大学での学びだけでなく、社会で活躍するための基礎的な素養となっていることを紹介しました。また、データサイエンスは単なる統計処理ではなく、課題発見や意思決定を支える手法であることを説明し、データの活用によって新たな発見や課題解決につながる視点が得られることを伝えました。
スプレッドシートを活用して地域データを考察
その後、各クラスでは事前研修を受講した高校教員が中心となり、野々市市が公開するオープンデータを活用した実践的な演習授業を実施しました。生徒たちは一人一台のパソコンを使用し、Googleスプレッドシートを用いて町別人口データを分析し、地域ごとの人口構成や特徴について考察しました。
演習では、ヒートマップを活用して人口データを可視化し、地域ごとの特徴を読み取りました。特に20~24歳人口が特定地域に集中していることが示された際には、「なぜこの地域に若者が多いのか」という問いについて考察を行い、金沢工業大学周辺に学生が多く居住していることが要因の一つであることに気付きました。生徒たちは、自分たちが暮らす地域の身近な状況をデータによって客観的に捉える経験を通じて、データ分析の意義を実感していました。

さらに、ヒストグラムや散布図など複数の可視化手法も体験しました。生徒らは、支援スタッフとして参加した金沢工業大学の学生からスプレッドシートの操作方法のサポートも受けながら、同じデータであっても表現方法によって見えてくる特徴が異なることを学び、可視化されたデータから課題や傾向を発見し、その背景や要因を考察することの重要性について理解を深めました。結果から仮説を立て、根拠を示しながら考察するプロセスを体験することで、生徒たちは探究学習にも通じる論理的思考力を養いました。
講義の最後には、渡辺准教授が再び登壇し、生成AIにも簡単に触れながら、データや事実に基づいて考察することの重要性について説明しました。情報技術が急速に進展する時代だからこそ、自らデータを読み解き判断する力が重要であることを伝えました。

生徒アンケートから見えた学びの成果
講義後に実施したアンケートでは、回答した生徒の約98%が「とても有意義な時間になった」または「まあまあ有意義な時間になった」と回答し、高い満足度が示されました。 生徒からは、「データをグラフや色分けで可視化すると分かりやすくなることが分かった」「今まで見えていなかった地域の特徴を知ることができた」「データ分析の面白さを実感した」などの感想が寄せられ、データサイエンスへの関心の高まりがうかがえました。
また、「理数探究で活用したい」「探究活動で集めたデータを分析してみたい」「地域の課題をデータから見つけてみたい」といった声も多く見られました。単なるソフトウェアの操作方法を学ぶだけではなく、データを根拠として課題を発見し考察するという学びが、生徒たちの今後の探究活動への意欲につながったことがうかがえます。 特に、「数値を見るだけでは分からないこともグラフにすると新しい発見がある」「データを感覚ではなく客観的に分析することの大切さが分かった」「可視化することで課題や特徴を見つけやすくなる」といった意見が数多く寄せられました。今回の講義を通じて、生徒たちはデータサイエンスの本質である「データから意味を読み取り、考察につなげる力」の重要性を実感することができました。
さらに、「将来の仕事でも活用できそうだと思った」「社会に出てからも役立つ知識だと感じた」「自分でもさまざまなデータを分析してみたい」といった声も寄せられ、データサイエンスが将来の学びや進路を考えるきっかけにもなったことがうかがえました。
教員向けの事前データサイエンス研修
本講義に先立ち、10月6日(火)に、同校教員16名を対象とした事前研修を実施しました。研修では、生徒向け講義で取り扱うデータ分析や可視化の手法を実際に体験し、生徒がどのような学習活動を行うのかを共有しました。教員が事前に内容を理解することで、講義当日は各クラスで演習を担当し、生徒の学習を支援する体制を整えました。
研修後のアンケートでは、「データサイエンスと探究活動の過程がよく似ていることが印象的だった」「探究活動をより深めるための手法として活用できると感じた」「身近なデータを活用することで生徒の関心を高められる」といった意見が寄せられました。また、「平均から外れたデータに着目することで新たな発見につながることが分かった」「分析の目的を明確にすることの重要性を理解できた」などの声もあり、教員自身がデータ活用の意義を実感する機会となりました。こうした事前研修での学びが、生徒向け講義における積極的な学習支援につながりました。

まとめ
今回の取り組みは、生徒への学びの提供と教員の指導力向上を同時に支援する高大連携モデルとして実施されました。生徒向け講義に先立って教員研修を実施し、高校教員がデータサイエンスの考え方や分析手法を理解したうえで演習を担当したことで、生徒一人ひとりの学びをより深く支援する環境を整えることができました。 また、生徒アンケートからは、データの可視化や考察の手法を今後の探究活動に活用したいという声が数多く寄せられました。事前研修を受講した教員が授業の実践を担い、大学教員が専門的な知見を提供することで、生徒は講義当日の学びにとどまらず、その後の探究学習においても継続的な支援を受けられる環境が整いました。大学教員による専門的な知見と高校教員の日常的な指導を結び付けることで、データサイエンス教育を学校現場へ定着させる実践的な取組となりました。
金沢工業大学は今後も高校との連携を通じて、数理・データサイエンス・AI教育の普及を推進するとともに、地域社会の課題解決に貢献できる次世代人材の育成に取り組んでまいります。
