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【高大連携レポート】
高校教員向け「探究活動で生かす3Dデータと3Dプリンタ入門」開催。
石川県高等学校教育研究会情報部会主催の「研究協議会特別講演会」で

2026/8/19 NEW

2026年8月6日(木)、石川県立内灘高等学校において、石川県高等学校教育研究会情報部会主催の「研究協議会特別講演会」が開催されました。

第1部では羽咋高等学校の宇賀美香教諭による「探究×DX×地域」の探究学習事例の紹介が行われました。

続く第2部では、金沢工業大学プロジェクト教育センター夢考房運営室の榎本龍政技師が講師となり「探究活動で生かす3Dデータと3Dプリンタ入門」と題した講演が実施されました。 講演では、近年、教育現場でも注目を集めている3Dデータや3Dプリンタの活用について、基礎知識から具体的な実践事例まで幅広く紹介されました。榎本技師は、夢考房で技術職員として学生の製作支援を行うとともに、3Dプリンタセンターの運営にも携わっています。また、高校生や教員向けの講習会やDXハイスクール関連事業などにも取り組んでおり、その経験を踏まえながら教育現場での活用可能性について分かりやすく解説しました。

講師を務める榎本技師

榎本技師は冒頭、高校から探究活動や部活動で3Dプリンタを活用したいというニーズが増加していること紹介しました。製品アイデアの試作や学校キャラクターの制作、競技用作戦ボードの作成など、活用への期待は多岐にわたります。しかし、その一方で、実際に3Dプリンタを導入しても、造形に必要な3Dモデルの作成が大きな障壁となっていることが課題となっています。そこで本講演では、そのハードルを下げる方法として、オンラインサービスの活用、3Dモデリングツールによる自作、3Dスキャナーの利用という三つの手法を紹介しました。

3Dプリンタについては、現在主流となっているFFF方式の特徴が説明されました。FFF方式は樹脂フィラメントを熱で溶かしながら積層していく方式であり、内部構造を持つ複雑な形状も比較的容易に製作できることや、試作を短期間で繰り返せることが利点として示しました。また、学校で導入しやすい機種として、比較的低価格で扱いやすい製品例も紹介し、全自動キャリブレーション機能やメンテナンス性など、教育現場で機種を選定する際に注目すべきポイントについて解説しました。

続いて、3Dデータ作成の新しい手法としてAIの活用について紹介しました。講演では、オンラインサービス「MakerWorld」や「MakerLab」を用いて画像1枚から3Dモデルを生成する機能を紹介。大学キャラクター「ドリバー」の画像を基に3Dデータを生成するデモも行い、参加者はAIによるデータ生成の容易さを体感しました。また、インターネット上で公開されている多数の3Dデータを検索・利用できることも紹介し、分子モデルや理科教材など教育利用に適したコンテンツが数多く存在することを示しました。

さらに、3Dデータを自ら設計する方法として、ブラウザ上で利用できる無償ソフト「Tinkercad」を用いた演習が行われました。参加者は各自の端末を用いながら、立方体や円柱などの基本図形を組み合わせて立体モデルを作成する作業を体験しました。講演では印鑑デザインを題材に、寸法設定や配置調整、穴あけ加工、文字入力、反転処理などの基本操作が実演され、初心者でも比較的容易に3Dモデルを設計できることが紹介されました。実際に参加者が操作しながら学ぶ形式で進められ、会場では熱心に画面を操作する様子が見られました。

3Dモデリングソフトを体験する高校教員

講演後半では、探究学習における具体的な活用事例として石川県立金沢桜丘高等学校の事例が紹介されました。一つ目は「滞空時間の長い種子」の研究です。プロペラ型の種子の落下の様子や滞空時間を計測する際、従来の紙模型では作成過程で個体差が生じやすく、実験の信頼性を確保することが難しいという課題がありました。そこで3Dプリンタを活用することで再現性の高いモデルを作成できるようになり、実験結果のばらつきが軽減されました。また、Tinkercadを用いて羽根の形状や大きさを変更したモデルを容易に作成できるため、実験回数を増やし、より深い考察につなげることが可能になったことが紹介されました。

二つ目は「ろうが垂れないろうそく」の研究事例です。従来はろうそくに溝を手作業で加工していましたが、3Dプリンタで制作用の「型」を作成することで作業時間を短縮し、実験条件の統一を図ることができました。この事例から、3Dプリンタは完成品の製作だけでなく、実験器具や治具、型の製作にも有効であることが示されました。

最後に榎本技師は、「3Dプリンタは生徒のアイデアを素早く形にし、試行錯誤を繰り返しながら探究を深めるための有効なツールです」と強調しました。高価な設備がなくても導入可能な環境や、無料で利用できるソフトウェア、公開データの活用方法などを紹介し、参加者にとって3D技術を身近に感じる機会となりました。講演後の質疑応答では、公開されている3Dデータの活用や編集方法について活発な意見交換が行われ、教育現場での実践に向けた関心の高さがうかがえました。

本講演は、DX時代における新たな探究活動の可能性を示す内容となりました。3Dデータや3Dプリンタは単なる技術体験にとどまらず、生徒の発想を形にし、検証を繰り返しながら課題解決へ導く学習ツールとして大きな可能性を秘めています。参加した教員にとっても、自校での探究活動や授業実践に活用できる具体的なヒントを得る貴重な機会となりました。