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【Salesforce主催、データ分析・可視化コンテスト「Viz Rookies 2026」決勝大会に出場】
山本知仁研究室の大学院生チーム 

2026/7/15 NEW

大学院 情報工学専攻の皆川青輝さん(博士前期課程1年)、貝原礼恩さん(博士前期課程2年)、浜中勇哉さん(博士前期課程1年)の3名(チーム名:ymtlab)が、Salesforceが主催する学生向けデータ分析・可視化コンテスト「Viz Rookies(ビズルーキーズ)2026」の決勝大会に出場しました。

決勝大会に進出したチーム「ymtlab」の3名。写真左から
•皆川青輝さん(金沢工業大学大学院 情報工学専攻 博士前期課程1年)
•貝原礼恩さん(金沢工業大学大学院 情報工学専攻 博士前期課程2年)
•浜中勇哉さん(金沢工業大学大学院 情報工学専攻 博士前期課程1年)
(いずれも山本知仁研究室所属)

決勝大会に進出したチーム「ymtlab」の3名。写真左から
•皆川青輝さん
(金沢工業大学大学院 情報工学専攻 博士前期課程1年)
•貝原礼恩さん
(金沢工業大学大学院 情報工学専攻 博士前期課程2年)
•浜中勇哉さん
(金沢工業大学大学院 情報工学専攻 博士前期課程1年)
※いずれも山本知仁研究室所属

決勝大会は2026年6月10日、「Agentforce World Tour Tokyo 2026 / DataFam Tokyo 2026」のプログラムとして開催されました。全国から応募した学生チームの中から予選を勝ち抜いた3チームのみが決勝へ進出し、ymtlabはその一角として全国トップレベルの学生たちと競い合いました。

「Viz Rookies」は、BI(Business Intelligence)ツール「Tableau」を活用した学生向けデータ分析・可視化コンテストです。単なる分析技術だけではなく、「Analytics(分析力)」「Story Telling(ストーリーテリング)」「Design(デザイン)」の3つの観点から総合的に評価されることが特徴です。

社会課題「若年層の地域定住」に挑戦

今回のコンテストテーマは「若年層の地域定住」でした。参加者には公開データやオープンデータが提供され、地方から若者が流出する要因を分析したうえで、地域定住を促進するための新たな提案を行うことが求められました。

チームymtlabは、山本知仁研究室で培ったデータ分析の知見に加え、企業とのコーオプ教育で経験した実践的なデータ活用スキルを活かし、本大会に挑みました。メンバーの多くはNTT西日本とのコーオプ教育でTableauを用いた分析業務を経験していました。

「若年層の地域定住」という大きなテーマをそのままグラフに落とし込もうとすると、どうしても議論が発散してしまいます。そこでymtlabは、まず「本当に若者は地域に定住していないのか」という現状の確認から始め、次にどの層に強く表れているのか、なぜそれが起きているのかという要因分析へ、そしてこの先どうなっていくのかという将来予測へと、段階を追って分析を深掘りしていきました。

そして、分析の土台となる意思決定にも時間をかけました。

ひとつは分析のスコープです。特定の都道府県に絞り込むのか、全国を対象にするのか。決勝に進んだ他チームには出身大学のある県に絞って深掘りするアプローチもありましたが、ymtlabは、若者の流出を「ある地域だけの事情」ではなく「都市圏と地方圏のあいだの構造的な問題」として捉えるため、あえて全国を分析対象に選びました。

もうひとつは「若年層」の定義です。若者の移動には進学と就職という2つの大きな契機がありますが、進学に伴う移動では住民票を移さない学生が多く、住民票ベースの移動統計では実態を正しく捉えられない可能性があります。データがどのように記録されているかまで遡って検討した結果、オープンデータの信頼性の観点から進学期にあたる15〜19歳は対象から外し、就職・転職に伴う移動が中心となる20〜34歳を分析上の「若年層」と定義しました。

AI時代を見据えた新たな地域定住モデルを提案

皆川さんが本大会を知ったのは予選応募締め切りの10日ほど前でした。皆川さんは限られた期間の中でデータ分析から資料作成までを一人で進め、予選での発表は準備も含め貝原さんが担当。見事予選を通過し決勝進出を果たしました。決勝ではNTT西日本のコーオプ教育を皆川さんとともに参加していた浜中さんを加えた3人チームを結成しました。

決勝に向けた準備では、予選で審査員から受けた「既存施策の延長にとどまっている」という指摘を踏まえ、提案内容を全面的に見直しました。

チームが着目したのは、AIの普及による雇用構造の変化です。分析の結果、地方から都市部への人口流出は就職機会の偏在と密接に関係していることが分かりました。一方で、AI技術の発展によって今後大きな変化が予想される職種も存在します。

この結論に至るまでに、チームは複数の切り口からデータを重ねました。まず現状分析として、人口規模の影響を取り除くために「純移動率=(転入数-転出数)÷人口」という指標で都道府県別に地図化したところ、首都圏などを除いて日本地図はほぼ流出超過を示す色に染まりました(図1)。

図1

さらに、動きが特に大きい20〜24歳の女性に焦点を当て、純移動率・基本給・求人数の3変数を重ねたバブルチャートに約10年分の推移を重ねると、賃金と雇用の差が若者を都市へ引き寄せる構造は、この10年間ほとんど変わっていないことが浮かび上がりました(図2)。

図2(クリックで図を拡大)

就業構造をサンキーダイアグラムで追うと、若年女性の就業は特定の職種に偏っており、なかでも主要な就業先の一つである事務従事者は、求人倍率がわずか0.390倍にとどまっています。就業の実態と雇用機会のあいだに大きなミスマッチが存在することも見えてきました(図3)。

図3(クリックで図を拡大)

そのうえでチームは、2040年の労働需給を産業別・職種タイプ別に予測したヒートマップを作成。AI・ロボットを利活用できる専門人材は全産業で不足する一方、いま若者が集中している事務職は将来的に過剰になっていくという、現在とは正反対の未来像を導き出しました。あわせて、ロボティクスとAIを組み合わせて現実世界の作業を担う「フィジカルAI」の市場規模が2040年に55兆円規模まで拡大するという予測、そして第2次産業は都市部よりも地方の方が経済的なウェイトが大きいというデータも確認しました。「いま都市に集中している仕事は、この先も価値を持ち続けるとは限らない。むしろ地方の現場にこそ、次の成長領域がある」――この仮説が、最終提案の骨格になりました。

そこでymtlabは、都市部でAIによる代替リスクが高い事務職などに従事する若年層を対象に、地方でAI人材としてリスキリング(学び直し)する仕組みを構築し、そのまま地方へ移住・定着してもらう新たなモデルを提案しました。

その中核に据えたキーワードが「ニューカラー化」です。ニューカラーとは、ホワイトカラーともブルーカラーとも異なる新しい職業層を指す言葉です。ymtlabはこの発想をAI時代の地方の製造現場に応用し、フィジカルAIが自動化・最適化、データ活用による判断支援、人との協働を担うことで、地方の第2次産業の現場を、テクノロジーを使いこなしながら価値を生み出す新しい職業層へと転換するモデルを構想しました。都市に人と仕事を集中させるのではなく、地方の現場そのものを、都市より魅力的な仕事の場に変えていく発想です。企業・地方自治体・個人それぞれにとってのメリットを設計し、三方良しの仕組みとして提案に落とし込みました。

フィジカルAIによる第2次産業のニューカラー化は、あくまで未来のことであり、その通りになると誰にも断言はできません。しかし、これまでの分析が示す通り、既存の延長線上の施策では若年層の地域定住という課題はこの10年間動いていません。ymtlabにとってこの提案は、動かなかった現実を、AIという変数によって初めて動かせるかもしれない現実的なチャンスとして描いたものです。

この提案は、

・地方の人口減少・若年層流出という地域課題

・AI時代に対応した人材育成という社会課題

を同時に解決することを目指したものであり、「地域活性化」と「AI人材育成」を結び付けた独創的なアイデアとして発表されました。

Tableauを駆使した高度なデータ可視化

発表では、Tableauのさまざまな機能を活用したダッシュボードを構築しました。 サンキーチャートやヒートマップ、インタラクティブなページ機能などを用いて、人口流動や就職に伴う移動傾向、地域ごとの特徴を直感的に理解できるよう工夫しました。

ダッシュボード全体は「現状 → 構造 → 未来 → 提案」という4つの場面で構成され、1画面ごとに伝えるメッセージを一つに絞り込む設計を徹底しました。画面を切り替えるナビゲーションボタンを実装し、発表の場でも、後から見返すセルフサービス閲覧の場でも、同じ順路でストーリーを追える構成にしています。純移動数の年齢・男女別表示や、転職理由と給与比較の切り替えなど、聞き手の疑問にその場で答えられるようパラメータ機能も盛り込みました。求人倍率のグラフに1.0倍の基準線を引くなど、数字の多寡を読み手が直感的に判断できる工夫も随所に施されています。

また、AIによる職業変化の視点を取り入れながら、「なぜ若者が地域を離れるのか」「どのような仕組みがあれば地域に定着したいと思うのか」という問いに対して、データ分析とストーリーを組み合わせて説得力のある提案を行いました。

チームの強みを生かした役割分担

約1か月の準備期間中、メンバーは論文執筆や就職活動と並行して大会準備を進めました。
その中で、

•皆川さん:データ分析およびTableauダッシュボード設計

•浜中さん:プレゼンテーション

•貝原さん:質疑応答

を主に担当し、アイデア創出やストーリー構成については3人で議論を重ねました。

分析力に加え、社会課題の本質を考える発想力や、得られた知見を分かりやすく伝えるプレゼンテーション能力を磨きながら大会に臨みました。

今後へ向けて

惜しくも優勝には届きませんでしたが、全国から選ばれた3チームによる決勝大会での発表は、学生たちにとって大きな成長の機会となりました。

参加した学生たちは、「データ分析だけで社会課題を解決することはできない。分析結果から新しい価値を生み出す発想力や、それを伝えるストーリーテリングが重要であることを学んだ」と振り返っています。

今回の経験を通じて得た分析力、提案力、そしてチームで課題解決に取り組む力を、今後の研究活動や社会での実践に生かしていく予定です。

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