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【経営情報学科2年生チームが野々市市に学生目線の解決策を提案】
「今後も発表に終わらせず、継続的に実装にチャレンジしていくことが大切」
金沢工業大学では問題発見・解決型の教育として「プロジェクトデザイン教育」を教育の主柱に位置づけています。経営情報学科2年生では、後学期の「プロジェクトデザイン実践」で、野々市市から提供された課題に取り組みました。
その中から提案内容が優れた学生班による発表会が、1月20日(火)16時から、野々市市役所2階ホール椿で行われ、大澤敏 金沢工業大学学長の冒頭あいさつに続いて3つの班が野々市市の山口良 副市長に、学生ならではの視点で創出した解決策について提案を行いました。

3つの班の発表の概要と講評
1.題目 :『公民館憩いの場計画』におけるコンポスト体験会の実施
内容:公民館の利用促進を目的とする小学生の学びの場提供プロジェクト
発表学生:五十嵐一輝さん、池上遥さん、片境優統さん、米澤佑斗さん、山崎太郎さん
野々市市は土地区画整理事業の進展により若い世代の転入が増加し、人口が増え続けている自治体です。その背景として、市は積極的な子育て支援を進め、合計特殊出生率や人口増加率が高い傾向にあります。一方で、新旧住民の交流不足が課題となっており、地域の一体感を高める施策が求められています。
そこで本提案では、公民館を活用した「公民館憩いの場計画」を推進し、長期休業中の小学生を対象に、宿題や交流を行う場を開放します。さらに地元企業・農家・金沢工業大学と連携し、収穫体験や社会科見学などの体験型プログラムを実施することで、住民同士の自然な交流を促します。 加えて、金沢工業大学SDGs推進センターの取り組みを活かし、小学生でも安全に扱えるコンポストキットを用いたコンポスト体験会を企画しました。実施した検証では、36名中97%が「楽しかった」、100%が「理解が深まった」と回答し、体験の満足度は極めて高い結果となりました。また、69%が「自分でもやってみたい」、89%が「小学生でも安全に実施できる」と評価しており、教育効果と安全性の両面で有効性が確認されています。
これら体験型の学びを公民館事業に組み込むことで、参加者の増加や事業全体の活性化につながり、最終的に古くから住む住民と新しい住民の一体感を高めることが期待されます。

2.題目:我ら野々市インス隊!?
内容:野々市市公式LINE友だち獲得に向けた学生主体SNSプロジェクト
発表学生:浅永清貴さん、上田直さん、櫻田櫂吏さん、内藤雪未さん、西尾大毅さん
野々市市では、公式LINEアカウントの認知度が低く、特に10〜20代の若者の登録割合がわずか10%に留まっているという課題が判明しています。また、金沢工業大学の学生約600名を対象とした調査でも、「そもそも市公式LINEの存在を知らない」「どのような機能があるのか分からない」という回答が多く、登録者数の伸び悩みが確認されました。一方で、近年の取り組みにより友だち登録増加数は4.25倍と一定の成果は見られるものの、若年層への浸透は依然として不十分です。
そこで本提案では、学生主体のSNS運営プロジェクトを立ち上げ、野々市市公認の非公式SNSアカウントを学生が発信する仕組みを導入します。Instagram等の若者が日常的に利用する媒体から、市公式LINEの機能紹介やQRコードの配信を行い、認知向上と登録促進を図ります。実証活動では、学科内31名に対しアカウントを紹介した結果、15名のフォロワー増加が見られ、「知らなかった情報が分かりやすかった」といった肯定的な反応も多数得られました。
若者が情報を受け取りやすい環境を整えることで、市の情報伝達力の向上、さらには住民の市政参加の活性化につながります。学生ならではの視点を取り入れることで、公式LINEの登録者増加と、若者が関わりやすいまちづくりの実現に寄与できると考えます。

3.題目:『健康のみち』魅力発見!動画プロジェクト
内容:健康のみち利用促進のための動画プロジェクト
発表学生:赤丸奨太さん、小熊智紀さん、西田柊一郎さん、南心太郎さん、宮澤智之さん
野々市市では、メタボリックシンドローム該当者・予備群の割合が全国平均より高く、さらに近年は増加傾向にあります。特定健康診査の結果では、直近年度の該当割合が33.3%と、全国平均を上回っています。一方で、特定健診実施率は65%と高く、市民の健康意識は高いものの、行動変容には結びついていない状況が示されています。
市には「富樫の里コース(約4.3km)」と「白山やまなみコース(約3.8km)」という2つの“健康のみち”が整備されていますが、認知度不足やコース設置から30年以上が経過していることもあり、若年層を中心に十分に活用されていません。
そこで本提案では、野々市市と金沢工業大学が連携し、「健康のみち」魅力発見動画プロジェクトを推進します。検証では、大学生を対象に3種類のPR動画を視聴してもらい、行動意欲の変化を5段階で測定。その結果、視聴前平均2.12から視聴後3.06へと0.94ポイント向上し、特に「実際に歩いてみたい」と回答した4・5の評価が倍増しました。また、景観認知(+0.97)、利便性認知(+0.90)など全項目で評価が向上し、動画による健康行動の促進効果が定量的に確認されました。
これらの結果から、動画を活用したPR施策は、市民の「健康のみち」への関心を高める有効な手段であり、健康課題解決に向けた行動喚起につながることが期待されます。


野々市市 山口良 副市長の講評
●『公民館憩いの場計画』におけるコンポスト体験会の実施について
中高年が多い公民館に対して、小学生に親しみを思ってもらう提案をしていただき、しかも大学生が企画運営する取り組みは珍しい。小学生にとっても楽しい記憶に残るものになると思います。また地元企業と連携して、公民館を憩いの場として利用促進する、ということもありがたい提案でした。
●我ら野々市インス隊!?について
野々市市の公式でも参考にさせていただきたい提案でした。600人に対する金沢工大での調査で、学生主体のSNSは26%が利用したいと回答し、31名の内15名がフォローしたという報告をお聴きすると、SNSに対する若者の関心が高いことがあらためてわかりました。
●『健康のみち』魅力発見!動画プロジェクトについて
野々市の公式YouTubeの利用促進に関する発表でした。動画がもたらす効果は大きい。3種類の動画はどれも面白く演出されていました。動画は、視聴者の行動意識を高めるポテンシャルがあることがわかりました。こうした大学生目線の視点はとても重要で、大切にしていきたいと思います。

平本督太郎、金沢工業大学SDGs推進センター所長による閉会のあいさつ
野々市市の副市長を前にしての発表は、みなさん、いい経験をしたと思います。
中学生・高校生でも探究学習がさかんですが、大学生が違うのは、アイデアを出すだけでなく、実際に実践しようというチャレンジができるかどうかです。みなさんを採用する企業も、実装した学生は、いろんな課題にトライしていると期待できます。今日の発表で終わってしまうのではなく、実装チャレンジをしていくことが大切です。こうした実装への取り組みは今後も野々市市様にお願いすることも出て参りますので、どうか快く迎えていただければと思っています。
野々市市は学生の街と言われています。大学と自治体が連携し対話することで、野々市市がより活性化することを願っています。

◎プロジェクトデザイン実践(学部2年次 後学期)
市がテーマとして提供した地域課題の解決に向け、解決策のアイデアを実際に具体化して実験を行い、解決策はユーザーが求めているものなのかどうか検証・評価し、実行可能な解決策を考えだす授業。
◎プロジェクトデザイン教育
社会実装型教育研究を推進する金沢工業大学の教育主柱。世界標準の工学教育のフレームワークであるCDIO(Conceive:考え出す)、Design:設計する)、Implement:実行する)、Operate:操作・運用するの略)を国内の大学で初めて導入し、Implement、Operateの部分もより強化。学生たちがチームを組み、ユーザー志向で創出した解決策をアイデだけに終わらせず、プロトタイプの制作、ユーザーへの実装を通じて、解決策が有効かどうかも検証していく。
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