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【加賀棒茶で作る練り香水など、アイデアは試作し実験・検証】
箔座株式会社との産学連携で「金箔を活用した製品開発プロジェクト」を実施。
生命・応用バイオ学科2年生が必修科目「プロジェクトデザイン実践」で
箔座株式会社(石川県金沢市)との連携テーマに取り組んだ生命・応用バイオ学科2年生による「プロジェクトデザイン実践」提案発表会が2026年1月26日(月)、扇が丘キャンパスで行われました。
提案会には高岡美奈 箔座株式会社代表取締役社長やワールド・モニュメント財団 日本代表部のディメイ美代子理事長、金沢市役所の担当者ならびに金沢市ものづくりコーディネーターの池本良子氏などが出席。11の学生プロジェクトがそれぞれのアイデアを試作物とともにポスターにして発表しました。

「プロジェクトデザイン実践」について
金沢工業大学では、「プロジェクトデザインII」(2年次前学期)と「プロジェクトデザイン実践」(2年次後学期)にチームで取り組みます。生命・応用バイオ学科では「プロジェクトデザインII」で、それまでに学んだ専門知識を活用して地域や企業など実社会の課題に挑み、「プロジェクトデザイン実践」にて、提案した解決策を実験等により有効性を検証。その成果はポスターセッションの形式で公開発表します。
生命・応用バイオ学科2年生による「金箔を活用した製品開発プロジェクト」について
2025年度は金箔の製造・販売を手掛ける箔座株式会社(金沢市) と連携し、金箔を活用した既存製品の科学的分析や新しい食品・美容製品の開発に挑戦しました。2025年4月のキックオフでは、高岡美奈代表取締役社長による理念講演を実施。4月からの現状調査に始まり、提案・科学的分析・試作・検証まで、学生は約1年間にわたり活動してきました。
「商品化にしたい提案がいろいろあり悩んだ」 参加者からの講評
11の提案が発表されたあと、箔座株式会社を中心とした学外ゲスト審査が行われ、“加賀棒茶の香り成分(ピラジン類など)の抽出方法を検討し、香気測定比較と薄層クロマトグラフィーでの成分分析まで行い金箔入り練り香水を作製した”C1チームが【箔座賞】に選ばれました。高岡代表取締役社長は、「一年間の取組みへの感謝と、悩んだ末に最も商品化に近いチームを選びました」とC1チームを称えました。
また、参加者全員での投票により“「箔座の美ローション」などの化粧品に使われているプラチナ金箔の抗酸化力を一般的な金箔と比較分析し、美容用途に有用な素材となる可能性を示した”A1チームが【ポスター賞】に選出されました。
金沢市が推進する「縁付金箔製造」後継者育成プログラムを支援するワールド・モニュメント財団日本代表部理事長 ディメイ美代子氏は、総評の中で、今回のポスターセッションでは5分間での説明が求められたことに触れて、「(企業では)短時間にポイントを整理して相手に説明する能力」が重要であること、そして「チーム活動は一人一人の能力を高める」と、学生がプロジェクトデザイン科目に取り組む意義に触れました。さらに金沢市ものづくりコーディネーター 池本良子氏は「企画提案した製品の有効性まで検証していて、充実した内容だった」と、アイデアを提案するだけでなく、試作物をつくり実験を通じて有効性を検証していく実践面を高く評価しました。
また大澤敏学長は、学生がプラチナ金箔の抗酸化力に着目したことに触れ、「こうした発想は大事。いずれこのテーマで論文を書いて学会で発表してください」と、今回の発表で終わるのではなく、継続して研究として取り組んでいくことの重要性について触れました。
提案された11のプロジェクトの概要について
2025年度の生命・応用バイオ学科2年「プロジェクトデザイン実践」のテーマは「金箔の魅力発信!」でした。以下、11のプロジェクトの提案内容についてご紹介します。
ミッション A:既存製品の魅力分析
箔座製品(食品やコスメなど)を科学的に分析し、効果や特異性をアピールせよ!
以下の3つのプロジェクトが発表を行いました。
【A1 HORKs】
プラチナ金箔は本当に有効性があるのか???
プロジェクトテーマ:
DPPH法を用いた金箔とプラチナ金箔の抗酸化力の差の測定

「箔座の美ローション」などの化粧品に使われているプラチナ金箔の抗酸化力については、現在明記されていない。そこで、同じ条件で一般的な金箔と抗酸化力を比べる実験を行い、プラチナ金箔には本当に抗酸化作用があるのかを確かめ、効果を明記することを提案する。
プラチナ金箔にどの程度の抗酸化作用があるのかを調べるために、プラチナ金箔、一般的な金箔(4号)を同量(0.001 g)にそろえ、抗酸化力の評価に広く使われるDPPH(安定なラジカルをもつ試薬)と反応させた。反応後の吸光度を測定し、ラジカル消去率を比較することで、各試料の抗酸化力の違いを検証した。その結果、金箔の平均ラジカル消去率は47.58 %、プラチナ金箔は70.58 %となり、プラチナ金箔はより高い抗酸化力をもち、美容用途に有用な素材となる可能性が示された。
【A2 (有)酢の実】
黄金の梅、なんぼのもんじゃい -DPPH法による抗酸化力と飲みやすさの評価
プロジェクトテーマ:
「ビネガードリンク・黄金の梅」のDPPHラジカル消去活性法による抗酸化力および臭気強度の測定

「ビネガードリンク・黄金の梅」について、他の酢製品と比較した抗酸化能の特長を明らかにし、機能性表示食品としての販売を目指す。また、臭気による飲みやすさの評価結果を踏まえ、機能性だけでなく嗜好性の観点からも魅力を効果的に伝えることを提案する。
DPPHラジカル消去活性法により「ビネガードリンク・黄金の梅」と純米酢・美酢・純玄米黒酢の抗酸化力を比較し、機能性の優位性を検証した。また、においモニターを用いた臭気強度の測定結果をもとに、飲みやすさに与える影響について他製品との違いを検証した。その結果、ラジカル消去率は最も高く、臭気強度は最も低いことが確認され、抗酸化力の高さと飲用時の抵抗感の低さが示唆された。
【A3 melanon】
箔座の美ローションはシミの生成を抑えるのか?
プロジェクトテーマ:
「箔座の美ローション」のチロシナーゼ活性阻害実験によるメラニン抑制効果の測定

箔座の美ローションに含まれているプラチナ金箔の量を調整すると、プラチナ金箔にシミやそばかすの原因となるメラニンの生成を抑制する効果が異なるのかを、科学的に証明し、商品の魅力をさらに深めることを提案する。
分光光度計を用いて、メラニン生成に関与するチロシナーゼの活性阻害効果を測定した。また、高価な市販チロシナーゼの代替として、ジャガイモから酵素を抽出する方法を模索し、実験に適しているかを検討した。さらに、金箔を含む試料を分光光度計で測定可能な状態にするための処理方法や、適切な金箔量の調整方法についても検討した。その結果、阻害効果は見られたが、金箔量との明確な相関は確認できなかった。
ミッション B:食品(土産品)の新提案
北陸食材を使った品質や栄養分に考慮した新食品と加工方法を提案せよ!
以下の5つのプロジェクトが発表を行いました。
【B1 開運!金の茶柱カンパニー】
金が輝き、茶柱が立つ!縁起を添えた加賀棒茶の提案
プロジェクトテーマ:
金箔茶柱入りの加賀棒茶の提案

金箔の華やかな視覚効果と、加賀棒茶における「茶柱が立つと縁起が良い」という文化的価値を融合させた体験型観光商品「金箔茶柱入りの加賀棒茶」を提案する。また、金箔は熱湯では剥がれてしまうため、冷茶として提供することで金箔の剥離を防ぎ、見た目の美しさと縁起の良さを楽しめる金沢らしい観光商品の実現を目指す。
茎茶に金箔を固定する糊の濃度を評価するため、各濃度のデンプン糊を塗布した茎茶の常温水での状態を観察した。また、水溶性デンプン糊を保護する寒天の最適濃度も同様に検証した。さらに、おもり用デンプン糊の量を変え茎茶が直立する条件を確認した。なお、検証実験は山一園製茶(株)の茎茶で行った。その結果、デンプン糊による重り付与と寒天への潜漬コーティングを組み合わせる方法が有効であると結論づけられた。
【B3 株式会社 彩菓金沢】
注いだ瞬間に 金箔と色彩が躍る、金時草と柚子による「魔法」の和菓子案
プロジェクトテーマ:
金箔で彩る、加賀野菜の金時草(Gynura bicolor)を利用した色の変わる和菓子の提案

金時草由来のアントシアニン(pH指示薬的特性)と柚子のクエン酸によるpH反応を利用し、「夜空から朝焼けへ」と色が変化する錦玉羹を開発する。金箔を「夜空の星」から「朝陽を浴びた輝き」へとその役割を変化させるストーリー性を持たせ、若年層の感性と知的好奇心を刺激する。
錦玉羹(寒天)の物性を維持しながら、アントシアニンが鮮やかな青色から赤色へ変化する最適なpH領域を特定し、呈色特性の最適化を図った。また、クエン酸を含む柚子シロップ添加時における酸の寒天内部への拡散挙動を観察し、意図した「朝焼け」のようなグラデーションがどのように形成されるかを検証した。さらに、寒天の色調変化に伴う金箔の輝きや視認性に着目し、最も視覚的魅力が高まる材料選択および加工方法の確立を目指した。その結果、抽出液および寒天中のRGB変化が確認され、金時草アントシアニンは寒天和菓子においても明瞭な視覚的変化が示された。
【B4 金触幻想(Gilded Touch)】
ひらいてワクワク、たためてキュート!食べられる金箔ベジタブルシート
プロジェクトテーマ:
金箔を2D・3Dで愉しむ食べられる輝きシートの提案

2Dタイプオブラートでは、オブラートに金箔を置くことで金箔を扱いやすくすることを目標とする。3Dタイプオブラートでは、オブラートに野菜の色素を入れ、色のついたオブラートを作製する。そのオブラートをベースに金箔を挟み込み、色のついた食用金箔の開発を行い、3Dで楽しめる金箔の折り紙シートとして、スイーツ装飾など幅広い応用を可能にする。
2Dタイプでは、オブラートに金箔を置くタイミングを検証した。3Dタイプでは、野菜を用いてオブラートの作製を目的とし、乾燥過程における脱水率、分光光度計による色特性、および折り加工性について評価した。これらの測定を通して、原料成分の違いが乾燥挙動や色調、成形性に及ぼす影響について検証した。色素計を用いて色を数値化(Lab 値)した結果、金箔を含むことでオブラートを明るく見せる視覚的効果が確認された。2Dタイプのシートは完成できたが、3Dタイプのシートは強度が測定できず、追った際に割れ、完成には至らなかった。
【B6 チームStrawberry】
輝く一粒!! 食べるアート 桜金珠
プロジェクトテーマ:
志宝いちごと金箔でカラフルなタピオカの「桜金珠」の提案

近年人気が低下しつつあるタピオカに新たな魅力を与えることを目的として、市場に出せず廃棄される可能性のある志宝いちごを着色料として活用し、金箔と組み合わせた装飾を検討した。いちご由来色素、金箔を用いて見た目の美しさと資源の有効活用の両立を目指した。
一般的に販売されているタピオカとの違いを比較・評価するために、硬度および彩度を測定した。分光測色計を用いてL*, a*, b*値を測定し、金箔・いちご・食紅タピオカの色の明るさや赤色成分の違いを比較した。なお、検証実験は「志宝いちご」が入手困難だったため、冷蔵保存した「紅ほっぺ」で行った。その結果、いちご色素抽出タピオカは淡い赤色を呈し半透明、食紅タピオカは赤色、金箔タピオカでは淡黄色の色調と内部の金箔が確認できた。
【B7 グリーン バズーカ】
金沢ゆず×金箔?! 食卓を彩る黄金のドレッシング
プロジェクトテーマ:
金箔入り金沢ゆずドレッシングの提案

金沢ゆずの酸味と香りを活かしたドレッシングに金箔を用いて油層に金箔を浮かせる。これにより、保存時には油層に浮遊し金箔が美しく輝き、使用時には容器を振ることで金箔が全体に広がり金沢ゆずの香りとともに視覚・嗅覚・味覚的に楽しめるドレッシングを作製する。
ドレッシングの油層に金箔を浮遊させ、使用時だけでなく保存中も華やかさを保つドレッシングを作製した。そのために、油層中で金箔を均一に分散させる手法としてサラダ油とペクチンを用い、ペクチン濃度の違いが粘度および金箔の浮遊状態に及ぼす影響を検証した。なお、検証実験は「金沢ゆず」が入手困難だったため、一般的なゆずで行った。その結果、サラダ油とペクチン5%で1週間後も金箔の浮遊が確認された。
ミッション C:美容製品の新提案
北陸特産物の有用成分を活かした健康的&安全な魅力ある製品を提案せよ!
下の3つのプロジェクトが発表を行いました。
【C1 まいたけ】
加賀棒茶の香りで生活に癒しを!~加賀棒茶で作る練り香水~
プロジェクトテーマ:
石川県産の加賀棒茶から作ったリラックス効果と金箔の整肌成分入り練り香水の提案

加賀棒茶に含まれる香気成分のピラジン類は、交感神経を抑制し、副交感神経を優位にする効果があることが分かっている。その香気成分を抽出し、ワセリンと混ぜることでリラックス効果をもつ練り香水を作製した。
香気成分抽出方法としてエタノール抽出法と水蒸気蒸留法により得た抽出液をそれぞれ用いて練り香水を作製し、においの強度、硬さを比較するとともに、抽出液中の成分を分析した。その結果、エタノール抽出液を用いた練り香水は香りが強いが刺激性があり、一方の水蒸気蒸留液湯以来の練り香水は香り穏やかで安全性が高いことが示された。
【C3 G.B.Lab】
金時草×金箔で夜の肌ケアを!
プロジェクトテーマ:
加賀野菜である金時草(Gynura bicolor)のアントシアニンを使ったエイジングケア用ナイトセラムの提案

金時草(Gynura bicolor)のアントシアニンには抗酸化能力があるが、現在アントシアニンの抗酸化能を用いたエイジングケア用の化粧品は販売されていない。また睡眠中の皮膚回復を補助するナイトセラムは抗酸化成分との親和性が高い。金時草のアントシアニンを使った抗酸化能の高いナイトセラムの作製を検討した。
金時草の生葉の抽出時間の違いがアントシアニン含有量に与える影響を比較した。抽出時間を変化させpH differential法を用いてアントシアニン含有量を算出した。その後、抽出液で簡易美容液を作製し、ケミルミネッセンス法を用いて金箔の有無による抗酸化能を測定し比較した。その結果、生葉由来の抽出液で作製した金箔を含む美容液で高い抗酸化能が認められ、ナイトセラムへの応用可能性が示唆された。
【C4 田田】
能登の塩×金箔⁉~スクラブ効果をもつ石鹼~
プロジェクトテーマ:
能登の塩によるスクラブ効果と多くのミネラルによる保湿力をもつ金箔固形石鹸の提案

塩のスクラブで肌を整え、ミネラルが持つ水分保持力で保湿を可能し、金箔の微弱電流によるリラクゼーション効果を合わせた固形石鹸を提案する。塩を多く添加しても均一に混合することができたコールドプロセス法(CP法)を用いて金箔固形石鹸を作製した。
塩を乳鉢と乳棒で一定時間すり潰し、ヒトの肌の毛穴サイズ (200-350 μm)の塩粒子を選別し、CP法で石鹸を作製するとともに、塩の含有量ごとの界面活性剤としての効果を検証した。その結果、塩の添加により形成性は低下する傾向が見られた一方で、塩の添加量5.5 g(塩分濃度約35.5 %)の条件で最も高い洗浄効果が得られた。
