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【人工膝関節などの医療用インプラントに使われる難削材の高速加工を検討】
福原優さん(加藤秀治研究室)が精密工学会北陸信越支部 学術講演会「ベストプレゼンテーション賞」を受賞
2025年12月6日に石川県地場産業振興センターで開催された「2025年度 精密工学会 北陸信越支部 学術講演会」において、金沢工業大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 博士前期課程1年の 福原優さん(加藤秀治研究室)が、ベストプレゼンテーション賞を受賞しました。

受賞研究のタイトル
「バインダレス cBN 工具を用いた高炭素型コバルトクロム合金の高速加工の検討
― cBN 粒径の違いが加工特性に及ぼす影響 ―」
著者:
福原優(金沢工業大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 博士前期課程1年)
兼山雄大郎(金沢工業大学工学部 機械工学科4年)
加藤秀治(金沢工業大学工学部 先進機械システム工学科教授)
坂本重彦(金沢工業大学工学部 先進機械システム工学科教授)
研究の背景
人工膝関節などの医療用インプラントの需要は、高齢化の進展に伴い年々増加しています。これらの摺動部材料には、生体適合性や強度、耐摩耗性に優れる 高炭素型 コバルトクロムモリブデン(HC–CCM合金) が用いられています。
しかし、本合金は、高硬度・加工硬化性・低熱伝導率を併せ持つことから加工が極めて難しく、加工コストや加工品質の確保が大きな課題となっています。
福原さんは、難削材料加工に有効なバインダレス cBN(立方晶窒化ホウ素)工具 に着目し、 粒径の異なる2種類の工具を用いて高速ミーリング加工における加工特性と工具摩耗のメカニズムを明らかにしました。
研究内容の詳細
■主な実験結果
1. 粒径が工具寿命に与える影響
高速切削試験の結果、超々微粒タイプの工具 RcBN-F(40–60 nm)は、長時間にわたり鋭利な刃先を維持し、良好な耐摩耗性を示しました。
・逃げ面摩耗幅:VB ≈ 10 µm
・加工面粗さ:Rz ≈ 0.6 µm
一方、粗粒タイプの RcBN-Cでは初期の微小チッピングが加工中に拡大し、早期に破損へ至ることが確認されました。
2. 刃先処理(エアロラップ)の効果
RcBN-C に対し刃先処理を施すことで、初期チッピングが除去され、摩耗の進行が緩和し工具寿命が向上することが明らかになりました。
これは、工具損傷の主要因が刃先形成時の内部応力層や初期欠陥であることを示しており、刃先形状制御が高性能工具設計の鍵である点を明確にしています。
■研究成果の意義
本研究は、医療用インプラント材料である HC–CCM 合金の加工効率向上に資するだけでなく、バインダレスcBN 工具の粒径最適化や刃先形状成形プロセスの重要性を示す成果です。今後、難削材加工に対応した高性能工具の開発や、精密加工技術のさらなる発展に貢献することが期待されます。
本研究に福原さんとともに取り組んだ機械工学科4年の兼山雄大郎さんの成果は、金沢工業大学扇が丘キャンパスで開催される「令和7年度金沢工業大学プロジェクトデザインIII公開発表審査会」で発表されます。
機械工学科4年の兼山雄大郎さんの成果発表
2026年2月12日(木)7号館7・202室で10時から
【そのほかの発表プログラムは以下のWEBページにてご覧ください】
https://www.kanazawa-it.ac.jp/kyoiku/pd/pd3-presentation.html
(関連ページ)
金沢工業大学研究室ガイド 工学部 先進機械システム工学科 加藤秀治 研究室
