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【学長メッセージ】
カリフォルニア大学名誉教授で本学客員教授 ジョン・クラーク氏のノーベル物理学賞受賞について

2025/10/8 NEW

今年度のノーベル物理学賞受賞者に、米カリフォルニア大学バークリー校名誉教授で本学客員教授のジョン・クラーク氏が選ばれました。心よりお祝い申し上げます。

ノーベル物理学賞を受賞した米カリフォルニア大学バークリー校名誉教授で本学客員教授のジョン・クラーク氏

クラーク氏は「電気回路における巨視的な量子力学的トンネル効果とエネルギー量子化の発見」により、今日注目される量子コンピュータの基礎技術を築きました。

本学においては、故・賀戸 久教授を初めとした先端電子技術応用研究所の研究者がクラーク氏により研究されたSQUID(超伝導量子干渉素子)磁気センサをもとに、ヒトの脳から発生する磁気を非侵襲的に測定するシステムの研究開発を1995年より続けて参りました。そしてクラーク氏からいただいた適切なアドバイスと温かい励ましのお言葉は、本学にとって何よりの力になりました。

さらに2000年には脳磁計という医療機器を実現することができ、今日さまざまな分野で使われています。その後も本学では、クラーク氏の着想された極低磁場MRIの実現や、SQUID磁気センサによる地磁気の観測、脊髄神経や末梢神経から発生する磁気計測システムの開発研究が続けられています。

またご存知のようにクラーク氏の研究業績は量子コンピュータへの応用につながっています。

本学先端半導体教育研究センター(所長:井田 次郎教授)は、次世代半導体の教育研究の拠点になっています。小山大介教授は先端電子技術応用研究所で脳磁計やMRIをはじめとした磁気計測システムの研究、開発に携わるほか、工学部電子情報システム工学科教授として磁気センサ等の研究に取り組んでいます。

また次世代型コンピューティングとして人間の脳機能を電子回路で模倣するニューロモルフィックチップや量子コンピュータが注目されています。電子情報システム工学科森貴之講師の研究室ではニューロモルフィックチップを実現するためのデバイスや、量子コンピュータを制御するためのCryo-CMOS技術の開発を進めています。

さらに今年度新設した情報理工学部 知能情報システム学科では、人工知能やデータサイエンスに関する技術、XRや量子コンピューティングなどの先端技術を有した人材の育成を目指しています。

本学は、このたびノーベル物理学賞を受賞されたクラーク氏の研究業績を基盤としつつ、これからの成長分野であるDX・GX・SXを牽引するイノベーション人材の育成を産学連携による社会実装型教育研究により目指してまいります。



令和7年10月8日

金沢工業大学学長 大澤 敏