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電子情報システム工学科 山口 敦史教授に応用物理学会から「フェロー」の称号

2025/10/6 NEW

このたび、金沢工業大学 電子情報システム工学科の山口 敦史教授(専門分野:光物性、価電子帯、窒化物半導体、半導体レーザ)が、応用物理学会より「フェロー」の称号を授与されました。

応用物理学会から「フェロー」の称号を授与された山口 敦史教授

応用物理学会は、1946年に設立され、約2万人の会員を擁する日本最大級の学術団体です。半導体、光・量子エレクトロニクス、新素材など、工学と物理学の接点にある最先端分野を広く対象としています。

「フェロー」は、学術・研究における先駆的な業績、産業技術の開発・育成、教育・公益活動を通じた人材育成などにより、応用物理学の発展に顕著な貢献をした者に授与される称号です。全会員の約3% という限られた人数にのみ与えられます。金沢工業大学からはこれまでに、既に退職された方も含め、上田 修教授、南戸 秀仁教授、石井 恂教授、南 内嗣教授の4名がフェローに選出されており、今回の山口教授の受章はそれに続くものとなります。

【フェローを授与された山口敦史教授について】

山口教授は、30年以上にわたり、化合物半導体材料の光物性研究に従事してきました。特に、窒化物半導体における電子状態とキャリアダイナミクスの解明に関する研究において、理論と実験の両面から多くの成果を挙げており、これらの知見は、半導体レーザの開発や実用化にもつながっています。

たとえば、青色発光ダイオードの発光層に用いられるInGaN量子井戸における価電子帯構造の精密評価や、内部量子効率の新しい測定法の提案、キャリアダイナミクスに関する理論モデルの構築など、光デバイスの性能向上に資する研究を継続的に展開してきました。そして、1999年には応用物理学会論文賞も受賞しております。

今回のフェロー表彰においては、これらの研究成果を総括する形で、「窒化物半導体の電子状態・キャリアダイナミクスに関する研究」が業績タイトルとして掲げられました。このタイトルは、山口教授の研究活動の中心的なテーマを端的に表しており、長年の取り組みが評価されたものです。

山口教授は、応用物理学会への貢献という意味においても長年にわたり積極的に活動しており、応用電子物性分科会幹事長、化合物半導体エレクトロニクス業績賞(赤﨑勇賞)表彰委員会委員、論文賞委員会委員、JJAP編集委員などを歴任しています。さらに、学会が協賛する国際会議のプログラム副委員長や現地実行委員長など、国際会議運営にも継続的に関わってきました。

応用物理学会以外の学会においても、山口教授は幅広く活動しており、ワイドギャップ半導体学会では理事を務め、電子情報通信学会ではレーザ・量子エレクトロニクス(LQE)研究専門委員会の委員長を務めるなど、分野横断的な学術交流と研究推進に尽力してきました。これらの活動を通じて、次世代の研究者育成や国際的な研究ネットワークの形成にも貢献しています。

なお、フェローの表彰式は、2025年秋に開催された応用物理学会学術講演会の会期中(9月7日)に行われ、山口教授は木本 恒暢 応用物理学会会長(京都大学大学院工学研究科教授)より表彰状を授与されました。

写真左から、木本 恒暢 応用物理学会会長、山口 敦史教授 

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