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【アマゾン川流域の地層年代の推定が目的】
金沢工業大学留学中に取り組んだ研究成果2件が国際論文誌に掲載。ブラジルのフェルナンデスさん
2024年、ブラジル・サンパウロ大学から金沢工業大学に留学し、研究生として在籍していたフェルナンデスさんが、在籍中に取り組んだ研究成果を論文としてまとめ、国際論文誌である「Optical Materials(Elsevier出版)」および「Journal of Materials Science: Materials in Electronics(Springer Nature出版)」に掲載されました。
フェルナンデスさんは、大学院工学研究科バイオ・化学専攻(岡田研究室)に2024年の7月から12月までの6カ月間、研究生として在籍し、微量の銀(Ag)イオンを添加したナトリウムホウ酸塩(Na2B4O7)ガラスの詳細な光学特性評価に取り組みました。特に、当該材料にX線を照射することで添加されたAgの電子状態が変化し、それに伴って紫外線下で観測される蛍光特性が変化することを明らかにしました。この現象はラジオフォトルミネッセンス(RPL)と呼ばれ、放射線量の測定に有用であり、今回これら成果を論文としてまとめ『Optical Materials(Elsevier出版)』に掲載されました。
さらに、同材料は放射線エネルギーを蓄え、可視光の照射によりその蓄えられたエネルギーを発光として放出する輝尽蛍光特性を持つことも明らかにしました。これは、より高感度な放射線測定を可能とするものであり、これに関する成果は『Journal of Materials Science: Materials in Electronics(Springer Nature出版)』に掲載されました。
なお、フェルナンデスさんの研究は、アマゾン川流域の地層年代の推定を目的としています。このような年代測定には地層中の自然放射線量の把握が不可欠であり、今回の研究成果は、そのための新たな計測手法としての応用が期待されます。
論文タイトル:Radiophotoluminescence in Ag-doped sodium borate glass: Study of the main contributing centers to luminescence
著者(所属): Caroline Paschoal Fernandes1, Go Okada2, Sonia Hatsue Tatumi1,3, Rene Rojas Rocca3 (1. University of Sao Paulo, Brazil, 2. Kanazawa Institute of Technology, Japan, 3. Federal University of Sao Paulo, Brazil)
雑誌名:Optical Materials
出版社名:Elsevier
DOI:https://doi.org/10.1016/j.optmat.2025.117268
論文タイトル:Towards Ag-doped sodium borate glass as a dosimeter candidate: an investigation of its optically stimulated luminescence response
著者(所属): Caroline Paschoal Fernandes1, Go Okada2, Sonia Hatsue Tatumi1,3, Rene Rojas Rocca3 (1. University of Sao Paulo, Brazil, 2. Kanazawa Institute of Technology, Japan, 3. Federal University of Sao Paulo, Brazil)
雑誌名:Journal of Materials Science: Materials in Electronics
出版社名:Springer Nature
DOI:https://doi.org/10.1007/s10854-025-15278-w
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