記事詳細

【被災地支援リポート】
学生団体 “Ko-Ko-ro”
能登半島地震で被災した子供たちとの交流活動を推進

建築学部の学生を中心に立ち上がった学生団体 “Ko-Ko-ro” から被災地支援に関するリポートが届きました。以下全文を掲載します。

私たちは、金沢工業大学建築学部3年の末木康晴と川村昂己を代表とする学生団体“Ko-Ko-ro“です。令和六年能登半島地震を受け、被災地支援を目的とした活動を行っており、現在は建築学部を中心とする学生10名で構成されています。

この団体を立ち上げた背景には、私自身の被災経験があります。居住地における被害は比較的軽微でしたが、能登地方の状況は想像をはるかに超えるものでした。大学の友人の実家が全壊したという話を聞いたとき、“被害はすぐ隣にある”という現実を突きつけられ、言葉を失いました。私たちは行政機関でも企業でもなく、特別な支援スキームや資金力があるわけではありません。そのため、経済的あるいは物理的な支援には限界があります。しかしながら、被災した人々の“心の復興“に対しては、私たちだからこそできる支援の形があると考えています。“Ko-Ko-ro“は、“その地域で暮らす学生”という立場を活かし、被災された方々の立場に少しでも寄り添うため、声に耳を傾け、同世代に呼びかけることで、支援の輪を少しずつ広げていくことを目的に何かしたいと思い立ち、まず行動を起こすことから始めようと思いました。

「支援活動の第一歩とふくしまっ子チャレンジスクールへの参加について」

支援の意志を掲げてはみたものの、具体的に何から始めるべきか分からず模索していた私たちは、建築学部の下川教授より、岩井繁樹氏をご紹介いただきました。
そのご縁により、岩井氏が代表として運営されている“ふくしまっ子チャレンジスクール”の活動のお手伝いをさせていただくことなりました。
ふくしまっ子チャレンジスクールは、2011年に発生した東日本大震災とそれに伴う福島第一原子力発電所事故によって、放射線の影響を受けた福島県および周辺地域の子どもたちを対象とし、石川県金沢市や能登町に招いて夏休み期間中に豊かな自然の中で心身のリフレッシュを図ることを目的として、2012年に開始された取り組みです。
今回の令和六年能登半島地震を受けて、岩井氏はこの活動の趣旨と手法が能登地域の被災地支援にも生かせると考えられ、同様の機会を能登半島地震の被災者の方々にも提供しようと思い立たれ、私たちはそのお手伝いをさせていただけることになりました。

「珠洲馬緤・高屋支援」2024年12月1日

被災地支援の第一歩として、珠洲市馬緤地区にて活動を行いました。ふくしまっ子チャレンジスクールの皆さまに、私たち建築学生3名も加えていただくかたちで開催されました。活動当日は、地域の八百屋から提供された新鮮な野菜や果物、手づくりのお弁当やお菓子、衣類などの生活必需品を、被災された住民の方々に直接配布しました。また、昼食の時間には、地域住民と私たち支援側が一緒に机を囲み、お弁当を共にしながらクリスマスコンサートを楽しむひとときを持ちました。
現地に初めて足を運び、被災状況をこの目で見た私たちは、その過酷な現実に大きな衝撃を受けました。にもかかわらず、住民の皆さまが「少しでも良くなるように」と前を向き、日々の生活に懸命に向き合う姿に、私たちの方が勇気をいただいた気がしました。
特に印象的だったのは、地域の方々が私たちのような「よそ者」の若者を温かく受け入れてくださったことです。「ありがとう」「またお願いします」といった言葉を多くいただき、今後の活動への大きな励みとなりました。
今回の経験を通して、若者が現地に関わることの意義と必要性を強く実感しました。復興には長い時間がかかりますが、こうした小さな接点の積み重ねが、地域の心を支える力になっていくと感じました。

「第一回 のとほっこり時間 野々市」2025年3月2日

ふくしまっ子チャレンジスクールの方々が企画した「のとほっこり 時間」というイベントが野々市市にある”ののいちカミーノ”で開催されました。
本イベントは、震災後に地元から離れ、金沢市内や周辺で暮らしている子育て世帯を対象としました。私たち建築学部の学生8名がスタッフとして参加し、事前準備から当日の運営まで携わりました。
イベント当日に向けては、数か月前から複数回のミーティングを重ね、子どもたちの安全を第一に考慮した運営体制の構築を行いました。子どもたちをお預かりするという責任を自覚し、班編成や活動内容、役割分担を明確化し、安全で円滑な運営を目指しました。
当日は、アイスブレイクを皮切りに、手作りナンづくり、昼食会、レクリエーション、そして親子ヨガといった多彩なプログラムを実施しました。特にナンづくりでは、子どもたち一人ひとりの個性が光るユニークな形のナンが並び、私たち大学生も一緒に盛り上がりました。
活動の終盤、子どもたちから「楽しかった」「帰りたくない」といった声や、保護者の皆さまからの感謝の言葉をいただき、私たちにとっても大きな励みとなりました。
この活動を通して、避難先で不安な思いを抱えている子どもたちに、少しでも笑顔と安心を届けることができたこと、そして若者が地域と関わる意義を再認識する機会となりました。

「第二回 のとほっこり時間 珠洲市」2025年5月11日

前回に引き続き、のとほっこり時間を珠洲市にある”ラポルト珠洲”で開催しました。
今回は、前回の活動実績を評価していただき、ふくしまっ子チャレンジスクールの皆様のバックアップのもと私たちがイベントの企画立案から当日の運営までを主体的に担当させていただくかたちで開催しました。本イベントは、震災後もなお地元・珠洲市で暮らし続けておられる子育て世帯を対象とし、22世帯・38名の子どもたちにご参加いただきました。遠方での実施となることから、前日には珠洲市内にて宿泊し、ふくしまっ子チャレンジスクールの皆様と私たちで夕食を共にしながら全体の最終打ち合わせとリハーサルを重ね、当日の進行が円滑に進むよう準備を整えました。イベント当日は、アイスブレイクを皮切りに、手づくりのバスボム体験、昼食会、レクリエーションといったプログラムを展開しました。とくにバスボムづくりでは、子どもたちが自分の好きな色や香りを工夫しながら、大学生と一緒に試行錯誤を重ね、創造性豊かな作品を完成させていました。
前回のイベントにも参加してくれた子どもたちが、私たちの名前や顔を覚えていてくれたことに感激するとともに、彼らが無邪気に楽しむ姿に活動の手応えと意義を改めて実感しました。
保護者の方々からも、
「息子がこんなに楽しんでいる姿を久しぶりに見て感動しました」
「大学生のお兄さんお姉さんと遊べて本当に喜んでいました。また参加したいです」
といった心温まる言葉を数多くいただきました。
この活動を通じて、地域に寄り添いながら、子どもたちの「心の復興」を支えることの重要性、そして私たち若者がその一端を担うことの意味を強く感じました。今後も継続的な取り組みに発展させていけるよう、引き続き努めていきたいと考えています。

「今後の展望 」

今後は、私たちの想いを継続的な形にしていくために、大学公認のサークルとして正式に 団体を設立し、活動を広げていきたいと考えています。 その第一歩として、この団体の名称を”Ko-Ko-ro”と名付けました。学内には私たちと同じように「何かしたい」と思っている学生は、実は周りにたくさんいます。 でも、その想いを行動に移す“きっかけ”や“場”がないのが現実です。 だからこそ、私たちはこの団体を、学生同士がつながり、学び合い、支え合いながら、能 登の復興に関わっていけるプロジェクト活動にしたいと考えています。 最初は小さな一歩かもしれません。 でも、仲間が増えれば、できることも確実に広がります。 今まで行ってきた現地での支援はもちろん、 復興の現状を発信する企画など、学生だからこそできる柔軟で継続的な心の支援をモットーに活動を続けていきたいです。

2025年7月6日

学生団体”Ko-Ko-ro”

KIT金沢工業大学

  • Hi-Service Japan 300
  • JIHEE
  • JUAA
  • SDGs

KIT(ケイアイティ)は金沢工業大学のブランドネームです。

Copyright © Kanazawa Institute of Technology. All Rights Reserved.