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【産学連携による社会実装型研究の成果】
老朽化が進むとともに自然災害による被害も相次ぐ送電線をロボットで点検。米沢電気工事株式会社が株式会社BRAVE ROBOTICS 、金沢工業大学との共同で新型送電線点検用自走機の自社開発に成功

米沢電気工事株式会社(石川県金沢市進和町/代表取締役社長 上田学)では、株式会社BRAVE ROBOTICS (東京都千代田区/代表 石田賢司)と金沢工業大学(石川県野々市市/学長 大澤敏)との共同研究で、2025年3月に、新型送電線点検用自走機の自社開発に成功しました(特許出願中)。

当送電線点検用自走機は、満充電で4時間、最大2,000mの走行が可能で、重量18kgの軽量設計。傾斜30度での走行もできます。またダンパ※と呼ばれる送電線の付属品も通過が可能という他社製品に見られない特長を持ちます。米沢電気工事株式会社では2025年度自社が扱う点検作業に活用していく予定です。さらに今後は電気工事業界での幅広い各所での導入も促進してまいります。

※ダンパ:送電線の振動を抑制したり、着雪によるねじれを防ぐための装置

つきましては報道関係者を対象とした当自走機のお披露目会を7月7日(月)11時から米沢電気工事(石川県金沢市進和町32番地)で開催いたします。

【当日の式次第】

・米沢電気工事株式会社 上田学 代表取締役社長 挨拶

・金沢工業大学 大澤敏 学長挨拶

・自社開発した自走機について 米沢電気工事 電力工事部 向本賢洋氏

・自走機のデモンストレーション

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学校法人金沢工業大学企画部広報課

[電話]076-246-4784

[メール]koho@kanazawa-it.ac.jp

[フォーム]https://forms.gle/WitZAzq5cYV2qNHE9

【背景・開発の経緯】

近年、電気工事業界では高齢化や人材不足が深刻化しており、「2024年問題」に伴う作業時間の短縮やIT化による効率化が不可欠となっています。中でも全国に約9万km配置されている送電線は、地域を結ぶ基幹インフラであり、点検・維持の担い手確保は、大きな社会課題になりつつあります。

これらの送電線は高度経済成長期に整備されたものが多く、老朽化が進むとともに激化する自然災害による被害も相次いでいます。点検・修繕ニーズが増大する一方で送電線の多くは、山間部の高所など100m以上の高さにも設置されており、作業員の安全確保と人材不足への対応が課題となっています。
こうした背景を踏まえ、米沢電気工事株式会社では社員の安全確保と作業の効率化、次世代担い手の向上などを目指し送電線に係る自走可能な点検用ロボットの導入を模索していました。

そこで、金沢工業大学情報理工学部ロボティクス学科との共同研究で、送電線との一定距離があっても、数台のカメラと通信機器を備え、リアルタイムに送電線の状況が確認できる自走機を開発することで、作業員の安全確保及び人材不足への対応、基幹インフラを維持していくための問題解決を目指しました。

【各社・各機関の役割】

●米沢電気工事株式会社

・送電線工事、保守点検業務の経験に基づいた現場課題の抽出

・仕様、運用要件の構築

・フィールド実証

●株式会社BRAVE ROBOTICS

・ロボット本体の設計・製作(委託)

●金沢工業大学 情報理工学部 ロボティクス学科

・点検カメラ映像システムの構築

・遠隔操作のシステムの構築

【新型送電線点検用自走機の主な特長】

・遠隔操作距離:最大2000m(前進・後進・停止対応、満充電で2000m走行可)

・軽量設計かつ防水仕様

・傾斜30度でも走行可能

・送電線の付属品(地線用各ダンパや難着雪リング)の通過可能

・地上や事務所からリアルタイムで映像確認・録画が可能

・吊金延線のパイロットロープも取付可能

・特許出願中の独自ローラ構造を搭載

【今後の展開】

実装試験などを進め、送電線自走機の性能評価を高めていきます。また、基幹インフラである送配電線などにロボットや通信などのIT制御技術を活用した点検技術を向上させ、電気工事業界での幅広い各所での導入を促進してまいります。

【実証実験状況 新型送電線点検自走機】

【実証実験状況 パイロットロープ延線】

【実証実験状況 点検モニター】

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