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台湾の認知神経科学研究グループと金沢工業大学で 認知神経科学に関するワークショップを開催

台湾から研究者をお招きし、活発な議論が行われた

金沢工業大学人間情報システム研究所(所長:上原 弦教授)は、2023年10月10日(火)、台湾中央研究院・Ovid Tzeng(曾 志朗)教授ほか台湾の研究者をお招きして、認知神経科学に関するワークショップを、金沢工業大学扇が丘キャンパス1号館で開催しました。

金沢工業大学では、2004年に台湾中央研究院と学術協力協定を締結して以降、脳磁計を利用した認知神経科学に関する研究交流を進めてきました。今回のOvid Tzeng(曾 志朗)教授らのグループの訪問は、2015年の合同脳磁計応用研究会、2018年に金沢工業大学天池自然学苑内にある金沢工業大学先端電子技術応用研究所で脳磁計の応用に関する研究討論会を開催したのに続き3回目。発表や質疑応答は英語で行われます。

Ovid Tzeng(曾 志朗)教授のほか、国立陽明交通大学のWen-Jui Kuo(郭 文瑞)教授、国立中央大学のShih-Kuen Cheng(鄭 仕坤)教授、国立台湾師範大学のJun Ren Lee(李 俊仁)教授、中原大学のAngela Tzeng(鄭 谷苑)准教授ほか9名が来日しました。

当日は9時30分から、鈴木良次 金沢工業大学名誉教授により、これまでの研究協力関係の経緯を含む挨拶が行われたあと、台湾中央研究院のOvid Tzeng教授が「In Search of a Missing Link: A Brand New Two-Brain Theory of Cognitive Function」と題して、「認知機能における脳の皮質および皮質下の領域の活動と小脳機能、特に言語と記憶処理に関連する機能の研究」をテーマにした基調講演を行い、ワークショップが開始されました。

人間情報システム研究所からは以下の発表が行われました。

辰巳 仁史教授
発表テーマ「Amyloid‑β1-42 slows cilia movement along the ventricle, impairs fluid flow, and exacerbates its neurotoxicity in explant culture」
アミロイドβ1-42がアルツハイマー病などの原因となる神経毒性を悪化させることについての発表しました。

平田 宏聡教授
発表テーマ「Regulation of cell proliferation by force」
アドヘレンスジャンクションにおける張力が抗増殖因子として作用し、角化細胞癌の新たな治療標的となる可能性があることについての発表しました。

曽我部 正博教授
発表テーマ「Mechanobiology of ATP: Mechanosensitive ATP Release from Cells Orchestrates Multicellular Behavior」
すべての生物の細胞の中に存在しているエネルギーが蓄えられている物質・ATP(アデノシン三リン酸)放出に関するメカノバイオロジーに関する発表を行いました。

小島 正己教授
発表「Yin and Yang of Brain-derived neurotrophic factor (BDNF) action in the brain and the proposal of a new biomarker for psychiatric disorders」
脳由来神経栄養因子(BDNF)がうつ病と統合失調症の有望なバイオマーカーである可能性を示唆することについての発表が行われました。

台湾の研究グループからも7人の研究者が発表を行い、休憩時間を惜しんで活発な議論が行わました。

最後に、人間情報システム研究所の上原教授から今回の研究交流が双方にとって実りあるものであり、基礎・臨床での今後の研究活動の発展とさらなる研究協力につながっていくことを期待する言葉で締めくくられ、18時にワークショップが終了しました。

基調講演を行うOvid Tzeng教授

ワークショップの模様

【関連ページ】

金沢工業大学研究室ガイド  応用バイオ学科 辰巳仁史 研究室

金沢工業大学研究室ガイド 応用バイオ学科 平田宏聡 研究室

金沢工業大学研究室ガイド 応用バイオ学科 小島正己 研究室

研究業績 曽我部 正博教授 

金沢工業大学人間情報システム研究所

金沢工業大学先端電子技術応用研究所

【先端電子技術応用研究所で研究開発されている脳磁計について】

金沢工業大学先端電子技術応用研究所は、超伝導量子干渉素子(SQUID)と呼ばれる超伝導磁気センサを用いた微弱磁気計測技術の研究開発を進めています。地磁気の10億分の1という微弱な磁場も計測できるため、さまざまな領域へと応用が可能です。SQUID磁気センサを応用して開発した脳磁計は、医療の現場での臨床や脳機能の研究に広く活用されています。また脳磁計の研究開発でこれまでに培ったデバイス技術、システム化技術、計測解析技術などの技術を、脊磁計や心磁計、低磁場MRI、室温動作の高感度磁気センサなどの新しい生体計測システムにも展開し、これらの実用化を通じて社会貢献を目指しています。

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