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森本・林研究室の大学院生、河村さん、瀬川さん、田和さんの3名がボストンで開催されたアメリカ精密工学会で発表。 田和さんはKIT-RIT Dual Degreeプログラムで留学中のRIT(ロチェスター工科大学)から参加。
2023年11月16日に、米国・ボストンにて開催されたアメリカ精密工学会(ASPE - American Society for Precision Engineering)主催の国際会議(38th ASPE Annual Meeting)において、金沢工業大学大学院工学研究科機械工学専攻の大学院生で森本喜隆・林晃生研究室所属の河村夏風さん(修士2年)、瀬川開成さん(修士1年)、田和あかりさん(修士1年)の3名が研究発表を行いました。
田和あかりさんは金沢工業大学大学院機械工学専攻としては初めてとなる「KIT-RITデュアルディグリープログラム」(Dual Degree Master’s Program)に選抜され、留学先の米・ロチェスター工科大学からの学会参加となりました。KIT-RITデュアルディグリープログラムは金沢工業大学大学院工学研究科博士前期課程(修士課程)の学生が、金沢工業大学(KIT)とRITの両大学院で学び修了要件を満たすことで、最短2年間で両大学の修士号取得が可能となるもので、現在は情報工学専攻と機械工学専攻で実施されています。
【機械工学専攻修士2年 河村夏風さんの発表】
河村さんは「Energy consumption simulation for tool path using model of feed drive system」(送り駆動系モデルを用いた工具経路のエネルギー消費シミュレーション)について発表しました。
生産現場では省エネルギーの取り組みが求められています。河村さんは「3DCADによる加工シミュレーション」と「送り駆動系の数学モデル」を使って、工作機械の送り駆動軸の違いによるエネルギー消費の変化についてシミュレーションを行い、消費電力をコスト指標にして省エネな工具の経路を生成する方法を提案しました。
【機械工学専攻修士1年 瀬川開成さんの発表】
瀬川さんは「Active center position control of machine tool spindle」(工作機械主軸のアクティブ中心位置制御)というテーマで発表を行いました。
地球環境の温暖化対策には、電気自動車へのシフトと内燃機関のさらなる効率化を実現する必要があります。その鍵となる技術にモータケーシングとエンジンシリンダの非円形・非軸対象ボーリング加工の実現があります。半径方向に数十μm程度の起伏と深さ方向に連続的に変化する内筒形状の創成は,EVモータのコギング現象の激減,内燃機関の熱効率50%以上達成の突破口になるものと期待されています。瀬川さんは回転トルクとラジアル力を独立に発生するベアリングレスモータを使用して工具先端の位置を制御し、非円筒内面加工を実現させることで、これまで不可能であった内筒形状の非円形・非軸対称加工を可能とする世界初の高機能工作機械用主軸の開発を目指しました。
【機械工学専攻修士1年 田和あかりさんの発表】
田和さんは「Error compensation of parallel mechanism machine tools using the mirror method」(パラレルメカニズムの誤差補正ミラー方式による工作機械)をテーマに発表を行いました。近年、産業分野でのロボットの活用が進み、パラレルメカニズム工作機械が注目されています。パラレルメカニズムとは、直列(シリアル)された関節でいろいろな動きを作り出すのではなく、複数の駆動リンク(節)が同じ平面の上に並列に結合され駆動される機構のことです。質量を軽量化でき、高速・高加速度の動作が可能となる一方で、機構上,加工精度に問題があると言われています。
田和さんは,Challenge Labにある5軸ロボット加工機「XMINI」を使い、ミラー法を用いた工具経路再生法のパラレルメカニズム工作機械の誤差補正への適用と評価について研究に取り組みました。
※「XMINI」は、3自由度パラレル機構(第1~3軸)と2自由度シリアル機構(A,B軸)で構成された5軸工作機械。
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金沢工業大学研究室ガイド 工学部 機械工学科 森本喜隆 研究室