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【木材を容易に不燃化】特許技術が幅広く社会実装される。 露本伊佐男教授が中部地方発明表彰 発明奨励賞を受賞。
令和5年度中部地方発明表彰授賞式が令和5年11月17日(金)にANAクラウンプラザホテル金沢で開催され、バイオ・化学部応用化学科の露本伊佐男教授の発明が発明奨励賞を受賞しました。
公益社団法人発明協会では、全国を8つのブロックに分け、各地域において優れた発明等を完成した方々や、発明の実施化及び指導、奨励、育成に貢献した方々を称える地方発明表彰を実施しています。
今回露本教授が受賞した発明は、ホウ酸、ホウ砂を高濃度に含有した水溶液を簡便な方法で製造する技術。本技術によって木材を容易に不燃化することが可能になりました。
平成22年に「公共建築物等における木材の利用促進に関する法律」が成立、施行されたことにより、不特定多数の人が利用する駅や空港、バスターミナル、地下街、公立美術館、保育所、福祉施設などに不燃木材が数多く採用され、意匠を凝らしたデザインの天井や壁、床などで、利用する人の目を楽しませています。また最近、木材による暖かみのあるデザインを採用する居酒屋などの店舗も増え、難燃木材の需要が増えつつあります。
[発明の名称]ホウ素化合物を用いた液状難燃剤
[登録番号] 特許第5079983号
[賞の名称] 発明奨励賞
[発明者] 露本伊佐男 教授
本特許権は、株式会社SOUFA、加賀木材株式会社の2社にライセンスを行っています。
株式会社SOUFAが製造販売する「SOUFA」は、防蟻効果のある難燃剤として、伊勢神宮の外宮参道鳥居など、神社・寺院の難燃施工、防炎施工の放火対策にも使用されています。
加賀木材は「もえんげん」という名称で不燃木材の製造販売を行っています。グランフロント大阪や新潟県三条市の図書館等複合施設「まちやま」、金沢駅の西口シェルターや駅構内の店舗(あめの俵屋、黒百合、8番らーめん等)、近江町市場など、県内外の公共施設や教育機関、商業施設などに幅広く使用されています。
【不燃木材 施工実績】
【ホウ酸ナトリウムの難燃メカニズム】
木材に含浸されたホウ酸ナトリウムが熱に反応して発泡し、その発泡層で可燃物が包み込まれ、酸素と熱を遮断。表面の炭化が促進され、炭化層と発泡層で内部を保護します。
デンプンを加えたホウ酸ナトリウム水溶液を塗布したプラスチックの場合も加熱時にホウ酸ナトリウムが造膜し発泡層を形成するため酸素が遮断されます。デンプンは酸素を遮断された状態で加熱されるので緻密な炭化層を形成。これら発泡層と炭化層の両者が基材を熱と酸素から保護し、燃焼が抑制されます。
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