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大学院生の中野 勝章さんと渡辺 魁さん、中沢 実教授の共著論文が情報処理学会 論文誌ジャーナルの 「特選論文」として表彰されました
金沢工業大学大学院生の中野 勝章さん(情報工学専攻2年)と渡辺 魁さん(情報工学専攻2年)、中沢 実教授の3名による共著論文「交差点の交通量調査におけるカメラ設置最適化の提案と評価」が情報処理学会論文誌ジャーナル Vol.64 No.7の「特選論文」に選ばれました。
情報処理学会では、論文誌ジャーナル及びJIP(Journal of Information Processing)に掲載された論文の中から、多くの研究者が参照すべき論文に対し「特選論文」(英語名:Specially Selected Paper)の名称を与え、表彰しています。
2023年度は、金沢工業大学のほか、人工知能の研究で知られる東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻の松尾 豊教授の研究室(論文誌ジャーナル Vol.64 No.4)と、福井大学工学系部門工学領域 情報・メディア工学講座の長谷川 達人准教授(論文誌ジャーナル Vol.64 No.4)の3件が選ばれています。
「交差点の交通量調査におけるカメラ設置最適化の提案と評価」について
本論文は、2022年5月の第191回情報処理学会マルチメディア通信と分散処理研究会にて報告された中から最も優秀な論文として同研究会主査により情報処理学会ジャーナルへの掲載が推薦されたもので、厳しい査読の上、情報処理学会論文誌ジャーナル Vol.64 No.7(2023年7月)に掲載されました。そして当該号の中で、多くの研究者が参照すべき論文として論文編集委員会により「特選論文」に選定されました。
概要
国土交通省では、全国の道路における交通量を把握し、道路の管理計画のための基礎資料を得る目的で、5年に 1度、「全国道路・街路交通情勢調査」を実施しています。
国土交通省直轄の道路、特に単路の環境では、人手による観測は2021年秋から廃止され、監視・防犯カメラとして使われているCCTV カメラの画像を利用した AI 解析や常設トラフィックカウンタによる常時観測が行われています。
一方で、地方一般道における調査は依然として人手による計測が主で、センサや AI を活用した交通量調査の自動化が急務となっています。
地方一般道では交差点などの複雑な環境での進行方向別計測が要求されます。交差点では単路に比べてカメラでとらえるべき範囲が広く、自治体によっては交差点全体をとらえられるカメラ位置の高さを制約により確保できない場合もあるため、 CCTV カメラではなく、設置位置の自由度が比較的高い携帯型のカメラを活用することが必要となってきます。
中沢実研究室では、人手による目視計測の結果を用いず、交差点内に設置した可搬型カメラで取得した短時間の動画像データのみで最適なカメラ設置を行うことを目指しました。物体追跡アルゴリズムによって動画像から軌跡データを取得し、流入口の位置関係から計測精度に影響を与える指標を推定し、最適なカメラ設置位置を決定することを提案しました。さらに金沢市内の 3 地点の交差点を対象に、提案した指標と実際の計測精度を比較し、妥当性を評価しました。
【一般社団法人情報処理学会 特選論文について】
https://www.ipsj.or.jp/award/ssp_award.html
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