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旅をしながらテレワークを行い、生活も可能。車中泊仕様のモビリティとして建築学部 宮下研究室が「モバイルハウス<動くホテル>」を設計・製作。afterコロナ時代の白山麓における新たな旅のスタイルを提案

宮下研究室と関係者のみなさん

建築学部宮下智裕准教授の研究室が設計・製作した「モバイルハウス<動くホテル>」が、9月12日(土)、白山麓にある白山癒しの湯 天領 駐車場で初公開され、関係者や地元住民ら約40名を交えての意見交換会が行われました。afterコロナ時代の白山麓における新たな旅のスタイルとして注目を集めそうです。

完成したモバイルハウスの外観

公開されたモバイルハウスは木製で、高さ約250cm、幅約130cm、奥行きが約250cmあります。宮下研究室の学生13名が約2週間かけて製作しました。

カラフルな外装は学生が草木染で着色した木の板を貼り合わせたもので、白山市在住の草木染作家 島田鯛子さん(吉野工芸の里所属)から白山麓由来の染料を提供していただくとともに、学生の指導にあたっていただきました。また内装床材等には白峰産業株式会社(石川県白山市白峰)から地元産の木材を無償で提供していただいています。

ハウスは2人用で、木製の椅子や机が収納され、旅をしながらテレワークを行うことが可能です。車中泊用に電灯や炊事用の簡易的な水回りの設備がつけられ、一輪挿も挿せるようになっています。側面の板を上下に開けば開放感あふれる縁側として利用でき、屋上にはテントも張れます。階段はそのままハウスの中に収納できるように設計されています。

9月12日(土)の意見交換会では冒頭、最後の仕上げが行われ、学生の指導のもと地元の方や関係者が外壁にビス打ちを行いました。参加者から出された改善点は今後の設計・製作に活かしていく考えです。

当プロジェクトについて

afterコロナは、テレワークがますます広がると予想されていますが、自由な働き方や暮らし方を実現していく上で、インフラ整備が進んでいないことが課題となっています。

このたび製作されたモバイルハウスは、車中泊スペースとキャンピングカーのシェアリングサービスなどを手掛けるCarstay株式会社(東京都新宿区)が進めるプロジェクトの一環として行われました。

同社では、荷台スペースが広いバンを家やオフィスのように作り変え、働く・遊ぶ・暮らしの拠点とする新たなライフスタイルとして「バンライフ」を提唱しています。東京都のスタートアップ事業である”NEXs Tokyo”の支援のもとで、動く家・動くオフィスとしてのモバイルハウスを地域で製作。地域観光の足となり、働き、泊る場所となる”可動産”として、地域創生に活かしていく実証実験を「Local Vanlife Project in Hakusan」と名付けて、白山麓で進めています。

金沢工業大学では白山麓キャンパスを拠点に地方創生に関するさまざまな実証実験を進めています。同社のプロジェクトが、白山麓における既存の遊休観光スポットや社会インフラを工夫し利活用することで、観光へのインフラ投資を最小限に抑えつつ、観光の促進や関連人口の増加を実現可能にする新たな試みとなることから、このたび同社に協力することになり、建築学部宮下研究室がモバイルハウスの製作に取り組みました。

プロジェクトでは今後、白山麓の住民が中心となり、民家・商店・事業所などの駐車場や空き地を車中泊スポットとしてシェアサービスの「カースティ」に登録。モバイルハウスで地域密着型の生活体験ができるようにします。完成したモバイルハウスは10月以降、白山麓で登録されたカースティスポットの一つ、安田自動車(白山市瀬戸)に置かれ、レンタルなどに活用される予定です。

側面の板を上下に開くと開放感あふれる縁側に

縁側は大人2人が座れる強度が保たれている

側面は白山麓の染料で学生が着色

着色の指導にあたった島田鯛子さん(右)

モバイルハウスの居住空間

椅子や机が収納されている。左は水回り

参加者によるビス打ちで最後の仕上げが行われた

設計・製作に携わった学生の名前が刻まれている

屋上への階段はハウス内に収納できるようになっている

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KIT金沢工業大学 研究室ガイド 建築学部建築学科 宮下智裕 研究室

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