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極低電力での整流実験に初めて成功。電気電子工学専攻2年の百瀬駿さんが国際学会「IEEE S3S 2018」で「Student Best Paper Award」Finalistに選出

極低電力デバイス関連の国際学会である「IEEE S3S(SOI-3D-Subthreshold Microelectronics Technology Unified Conference) 2018」が10月15日から10月18日の4日間、米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催され、大学院工学研究科電気電子工学専攻2年の百瀬駿さん(電気電子工学科・井田次郎研究室)の論文が、「Student Best Paper Award」のFinalistに選ばれました。

IEEE S3Sは、極低電力デバイスと回路、さらには、3次元集積化をテーマにしたIEEE(米国電気電子学会)の学会です。井田研究室が扱うSOI (Silicon On Insulator) 技術に関係したIEEEの専門学会であり、井田研究室が最も力を入れている国際学会です。

IEEE S3Sでは、論文査読の段階で、学生が第1著者の論文のなかから優秀な論文が「Student Best Paper Award」Finalistとして選ばれますが、今回は採択論文約40件から百瀬さんの論文を含む7件がリストアップされました。百瀬さんにはFinalist認定証が授与され、会場の審査で、次点との評価をいただきました。

研究内容は、井田研究室、伊東研究室、牧野研究室が共同で進めているJST-CREST(革新的な環境発電技術)の成果です。百瀬さんは、井田研究室が提案している極低電力デバイス(PN-Body Tied SOI FET)を使い、極低電圧(10mV)での整流実験に初めて成功したことを報告しました。この極低電圧での整流は、現在知られているどのダイオードを使っても不可能なものです。百瀬さんは、実験にあたり測定環境の立ち上げからスタートし、各種測定条件の設定を自ら考えて測定を成功に導きました。特に、ミクロンオーダーの微細パターンへのワイアーボンディングでは、100mのアルミ線を2週間で使い切るほどの試行錯誤をし、成功させました。

なお、この論文は、井田研究室が参加した科研費(新学術)のリーダである高エネルギー加速器研究機構及びJST-CRESTを共同で実施している電気通信大学との共著です。

発表題目 “First Experimental Confirmation of Ultralow Voltage Rectification by Super Steep Subthreshold Slope “PN-Body Tied SOI-FET” for High Efficiency RF Energy Harvesting and Ultralow Voltage Sensing”

Finalist認定者 電気電子工学専攻2年 百瀬駿さん(井田研究室)

著者 Shun Momose, Jiro Ida, Takuya Yamada, Takayuki Mori, Kenji Itoh, Koichiro Ishibashi, and Yasuo Arai

指導教員 井田次郎教授(電気電子工学科)

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