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日本酒成分に新たな保湿機能を発見。
スキンケア製品や飲用による美容食品など、企業と連携しで新製品開発を推進

金沢工業大学バイオ・化学部 応用バイオ学科 尾関健二教授(専門:発酵、酵素、発酵微生物の分子育種、機能性食品・化粧品・飼料素材開発、バイオコンバージョン)の研究室では、日本酒の主成分で、麹菌によって生成される「α-エチル-D-グルコシド」(以下「α-EG」という)に2つの新規保湿機能があることを発見し、シャンプー、石鹸などの日用品や飲用による美容食品など、「α-EG」を利用した幅広い新製品開発を産学連携で取り組んでいます。

「α-EG」は日本酒に0.5%程度含まれる旨味成分として知られています。従来から長期使用による肌の保湿効果があることが知られていましたが、尾関研究室の4年生2名と大学院博士前期課程2年生1名の計3名の学生が、肌への塗布や経口摂取により、「α-EG」に新たに次の2つの保湿機能があることを発見し、今年2月にプロジェクトデザインIII(卒業研究)と修士論文として発表しました。

1) 「α-EG」が0.03%という低濃度でも水分保持効果が得られることを発見。さらに長期間の使用でなくても、15分から2時間という短時間で速効性のある水分保持機能(水分蒸発を抑える機能)があることを発見。

(従来の研究では、「α-EG」は肌の角化の促進により水分の蒸発を抑制する長時間での保湿効果が知られていました)

2) 飲用や外用(塗布)でも、0.00001%(0.48μM。μM:マイクロモル)という非常に低濃度の「α-EG」が表皮の真皮層にある主要な細胞数(線維芽細胞数)を増やし、真皮内で保湿効果が高いコラーゲンの生産量を増やすことを発見。

上記の2つの新規発見により、外用では洗顔石鹸やシャンプー、入浴剤やスキンケア製品などに配合する日用品への商品展開が、さらに飲用では保湿効果の高いコラーゲンを真皮内で増やす美容機能食品などの新しい用途開発に道を拓きました。

日本酒中の「α-EG」の含有量は0.5%程度ですが、尾関研究室では「α-EG」の増産技術の研究にも取り組み、3%を超える清酒醸造法を開発したほか、今まで廃棄物になっていたもろみの残渣に「α-EG」を2%以上含む焼酎製造方法の開発にも成功しています。

すでに製品化を進めている企業や年内に製品化を予定している企業もあり、尾関教授は全国の女性に、新製品を通じて「α-EG」の優れた保湿効果を知っていただければ、と語っています。

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