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大学院在学中の研究成果がマイクロ波技術の代表的な国際学会論文誌で論文賞受賞

橋本潤さんと指導教員の伊東健治教授(電子情報通信工学科) 


2014年3月に金沢工業大学大学院電気電子工学専攻博士前期課程を修了し、同年4月に三菱電機株式会社に入社した橋本潤さんが、大学院在学中の研究成果を評価され、2015年11月26日(木)に、IEEE(米国電気電子学会)Microwave Theory and Techniques-Society(MTT-S、マイクロ波技術ソサエティ) Japan/Kansai/Nagoya Chaptersより「Futoshi Kuroki Prize」を受賞しました。


「IEEE MTT-S Japan/Kansai/Nagoya Chapters」は携帯電話をはじめとする無線技術やレーダー技術に用いられる電波であるマイクロ波に関する代表的な国際学会組織IEEE MTT-Sにおける、日本の支部組織です。IEEE MTT-Sは全世界で11000人の会員を擁し、日本のJapan/Kansai/Nagoya Chapters には980人の会員がいます。

この「IEEE MTT-S Japan/Kansai/Nagoya Chapters」では、2008年よりマイクロ波の理論および技術の分野に貢献する論文を発表した若手の研究者にAward を贈呈しています。その前年にIEEE MTT-Sより出版された論文のうち、38歳以下の若手の研究者により執筆された論文が選考対象となります。


橋本潤さんが金沢工業大学在学中に執筆した論文「Fundamental Limitations on the Output Power of Balanced Mixers and Even Harmonic Mixers in Modulator Operation」は、卒業後の2014年12月にIEEEの論文誌Transactions on Microwave Theory and Techniquesに掲載されました。本論文誌はマイクロ波分野で最も権威のある論文誌であり、採択率は30%です。そして、このたび「IEEE MTT-S Japan/Kansai/Nagoya Chapters」より「Futoshi Kuroki Prize」を受賞しました。本賞である「Japan Young Engineer Award」については惜しくも選から漏れましたが、僅差であり、また内容的にも優れた論文との判断から「Futoshi Kuroki Prize」を授与されたものです。


受賞者の多くは企業の研究者、博士課程以上の大学の研究者が主体であり、修士課程での論文投稿、受賞は希です。



■■受賞した橋本さんの研究の概要■■

本論文は携帯電話や衛星通信などの無線通信分野で送受信機に広範に用いられるミクサ回路の理論検討に関するものです。ミクサ回路は、通信に用いられる高周波の電波を、信号処理が容易な低周波に周波数変換する回路であり、無線通信の黎明期である1920年代から用いられています。近年の無線通信需要の著しい増加のなか、通信の周波数利用効率を高めるために、他の通信への妨害となる送受信回路で発生する歪み波の抑制が重要な課題となっております。ミクサ回路の歪み抑制もその課題のひとつです。橋本さんの論文は、このミクサ波の歪み特性を与える出力電力特性を解析したものです。100年近く前から存在する回路ですが、その性能の一つである出力電力特性が定式化されておらず、それを初めて定式化したことが評価されました。


この学術的な成果は、橋本さん在学中にも国際学会等で発表を行い、注目されました。卒業時に厳格な審査がある米国の論文誌に投稿し、採録されるととともに、その内容が高く評価されたものです。橋本さんは三菱電機株式会社に就職し、現在、ファクトリーオートメーション(FA)機器の設計に携わっています。

 
【無線通信用ミクサ回路について】
携帯電話などの無線通信では、電波を送受信することで遠方の基地局との情報伝達を行います。この電波は高周波の交流(携帯電話:0.8GHz帯から2GHz、衛星通信:1.6GHz帯から30GHz帯、GHz:1秒間に109回の振動)であり、そのままではCPUを用いた情報機器に接続できません。そこで、ミクサ回路を用い、情報機器へ接続可能な低周波へ変換します。

近年、重要視されているのは送受信機の歪み特性です。電波が歪むと、電波の占有帯域幅が増大し、多くの通信回線を収容することができません。そのため、ミクサ回路を含め、送受信機を構成する部品には低歪み特性が求められています。


【橋本さんの研究について】
このミクサ回路には様々な回路がありますが、橋本さんが取り上げるダイオードでスイッチングする回路は1920年代から用いられる古典的なもので、かつ現代も広範に用いられる回路です。高周波の入力波(周波数:frf)を、局部発振波(周波数:fp)で励振されたダイオードでスイッチングすることにより、信号処理に適した低周波(周波数:frf-fp)の出力波に周波数変換します。
このミクサの歪み特性を定式化するためには、入力波の電力に対する出力波の電力を求める必要があります。橋本さんは、この電力特性を級数で表すことにより、歪み特性を明らかにすることができました。
本研究はそのような電子工学分野での基礎的な取り組みが学会で評価され、表彰されたものです。


2015年12月17日UP

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