- 虎ノ門大学院ブログ
- 2020年02月26日
『経営における知的財産戦略事例集』刊行記念セミナーを開催。
富士フイルム今井氏、Nokia守屋氏、PwC篠崎氏が登壇しました。
■ 知財領域の最前線で活躍する豪華なゲストスピーカー |
2020年1月17日(金)19時より、特許庁による『経営における知的財産戦略事例集』の刊行を記念して「新事業創造に貢献する知財人材とは?」をテーマに、KITプロフェッショナルミーティングを開催しました。
この事例集は、経営層や知財担当者が、経営戦略や知財戦略の立案の参考資料として活用することを目的に作成されたものです。メルカリやマイクロソフト、鴻海精密工業をはじめとする知財先進企業7社の経営層の方々が実名でメッセージを寄せており、海外企業28事例を含む全56事例のほとんどが社名入りで掲載されています。
取りまとめにあたっては、大企業・中堅企業からベンチャー・スタートアップまで国内外100社へのヒアリング調査に加えて、有識者を集めての委員会での検討が全5回実施されました。この委員会の委員長を務めたのが本学の加藤浩一郎教授で、多くの方々に事例集を知って頂きたいという目的のもと今回のセミナー開催となりました。
今回ゲストスピーカーにお招きしたのは3名。新事業創造において進歩的な取り組みが注目を集める富士フイルム株式会社知的財産本部長の今井正栄氏、国内外のICT企業で長年活躍してきたNokia Technologies Japan統括責任者の守屋文彦氏、そして事例集の調査を実施して取りまとめたPwCコンサルティング合同会社の篠崎亮氏です。
本事例集、そして講師の皆様の取り組みやご意見への関心の高さを反映し、早々に申し込み多数で受付終了となったこのセミナー。当日は86名もの方々にご参加いただきました。
セミナーは全4部構成となっています。
第1部 【イントロダクション~経営戦略とつながる知財部門の方向性~】 篠崎 亮 氏
第2部 【富士フイルムの構造改革と知的財産部門の役割】 今井 正栄 氏
第3部 【5G/IoT時代における知的財産戦略の事例について】 守屋 文彦 氏
第4部 【パネルディスカッション&質疑応答】 加藤 浩一郎 教授(司会進行)
左から富士フイルムの今井正栄氏、Nokiaの守屋文彦氏、PwCの篠崎亮氏
■ 新規事業やイノベーションの創出に寄与する知財人材とは? |
お一人ずつでも十分に素晴らしいセミナーが成立する豪華な講師陣3名によるレクチャーはそれぞれ学びやヒントが盛りだくさん。参加者の皆様もたくさんメモを取りながら聞いておられました。
そして最も白熱したのが、加藤浩一郎教授の司会進行のもと行われたパネルディスカッション。例えば、「新規事業やイノベーションの創出に寄与する知財人材とは?」という問いに対しては、講師陣から以下のような意見がありました。
「知財部門は事業戦略を一緒に考えられる存在に変わっていかないといけない。その中ではコミュニケーション能力に長けた人材が求められる」(今井氏)
「事業部門の人が知財を活用するための分析ツールの利便性が高まっている。知財部門の人はリテラシーの向上に貢献していくのではないか」(守屋氏)
「知財担当者は知財ならではの視座で経営課題を理解し、様々な情報を統合・分析する力を磨けば、0→1の新規事業に寄与できる」(篠崎氏)
決して正解が一つではない問いに対して、それぞれの経験や知見を踏まえた、未来志向でありながらも実践的な意見を頂きました。
パネルディスカッションでは活発な質疑応答が行われた
他にも、「知財部門と事業部門はどのようにコミュニケーションを取る必要があるか?」「人材をどのように育成し、どのようなチームをつくるのか?」「10年後、知財部はどのような役割を果たしているか?」など、様々なテーマで活発な議論が行われました。当然人により意見が異なることもあります。そして、それをきっかけに議論がより深まっていきます。そんな場面が何度も見られました。
わずか2時間余りのイベントでしたが、参加者から数多くの質問・発言をいただき、終了予定時刻を10分ほどオーバーしてしまいました。ただ時間を延長しても全く帰る人もおらず、非常に有意義なセミナーを実施できたと思います。
■ セミナー参加者のコメント・メッセージ |
参加者のプロフィールを見てみると、法務・知財・特許の業務に携わる方が最も多く、当日回収したアンケートでも、多くのご意見・ご感想をいただきましたので、いくつか抜粋して紹介したいと思います。
「後半のパネルディスカッションが良かった。自社で開発した技術を活かしていくために、知財部と事業部の関わりが重要という話を聞けて良かった」(製造業/30代女性)
「富士フイルムの今井氏の講演は、市場である程度知られている外部情報を、ご自身の観点で深堀されていて面白かったです。勉強になりました」(ソフトウェア/40代男性)
「Nokiaの守屋氏の話がわかりやすく面白かった。特に付加価値特許を持っているから、商品やサービスが売れる訳ではないという点が参考になった」(医療コンサル/30代男性)
KIT虎ノ門大学院では、今後も豪華ゲストをお招きして多彩なテーマでイベントを開催して参ります。そして「こうした講義や議論の時間を、少人数でもっと濃密に取りたい…」そんな方は、ぜひKIT虎ノ門大学院への進学をご検討ください。