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KITの特色

われわれを

“金沢工業大学”

たらしめるもの

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金沢工業大学(KIT)が目指すのは「自ら考え行動する技術者」の育成だ。そのために、大学と企業の壁、次世代技術の壁と、あらゆる壁を越える独自の革新的なカリキュラムを展開している。ここで紹介するのは、代表的な学びの特色であると同時に、われわれを“金沢工業大学”たらしめるものである。

01
自分の壁を超える プロジェクトデザイン
成島束咲さん
心理科学科2年
石川・小松高等学校 出身

コンテストで高い評価を得たチーム「金沢工業大学 心理科学科6班」は成島さんを中心に7名で結成。

スマホを使った調査で

バリアフリーの視点から

未来の歩行空間を構想

国土交通が主催する「バリアフリー・ナビプロジェクト」のアイデアコンテストで、成島束咲さんをリーダーとする「金沢工業大学 心理科学科6班」が優秀賞を受賞した。これは2年次前学期に行われる「プロジェクトデザインⅡ」の一環として、課題発見力とアイデアの創出力を養うことを目的に取り組んだものだ。

成島さんたちに与えられたテーマは「10年後の歩行って?」。道路や室内など人間が移動するすべての空間を「歩行空間」と捉え、子どもから高齢者まで誰もが安全に歩行できる未来の歩行空間はどうあるべきか、そのために何が必要かを問うものだった。

「まずは目の前にある危険を取り除くという観点からアイデアを出していきました」と成島さんは当時を振り返る。そもそも歩行空間にはどのような危険が潜んでいるのかを知るため、身近な人へのアンケート調査を実施。「足が不自由な人は、少しの段差でも危険だと感じている。その事実にハッとさせられました」。

チームだからこそ
辿り着ける答えがある

アイデアを創出するうえで、生の声を取り入れる重要さを実感した成島さんたちは、もっと多くの意見を集めて、対処する優先度を可視化しようと考えた。情報収集において、数を重視するならインターネット。一般の人が街の課題を投稿できるシステムはすでに存在していたが、操作が複雑で認知度も低かった。

そこで操作を簡略化し、危険な場所を投票できる「危険地点投票システム」を考案。位置情報・危険度・利用頻度のみで参加できて、スマホ一台で完結する手軽さにこだわった。「入力内容や操作が複雑だと利用者が離れやすいという心理学の学びもヒントになりました」。

座学で得た知識を社会で実践できることや、一つの課題にチーム全員で向き合い、アイデアをブラッシュアップしていけるのがプロジェクトデザインのよさだ。

2年次後学期の「プロジェクトデザイン実践」では、アイデア創出の先にある検証方法を含めたワンランク上の学びが待っている。「検証するとなるともっと手探りの状態になるはず。だけど今回の経験が、次への自信につながっています」。

02
ビジネスの壁を超える コーオプ教育

「KITコーオプ教育プログラム」は学生が企業で働きながら学ぶ、KITが独自に展開する産学協同の取り組みである。通常のインターンシップと違い、期間は4カ月~1年に及び、給与の支払いを受けながら、企業での本格的な業務に携わる。その具体的な内容とは?

寺尾静夏さん
環境土木工学科4年
石川・金沢錦丘高等学校 出身 田中研究室
大学院進学

寺尾さんが携わった光ファイバ計測の技術が実用化すれば、人の手が届かない場所でも効率的にインフラ構造物を点検することが可能に。

第一線の研究者と

一緒に仕事をすることで

働くことの意味を再確認

橋梁やトンネルなどのインフラ構造物の強さと耐久性を確かめる技術を開発する。それが寺尾さんの所属する田中泰司研究室のメインの研究内容だ。「橋の構造」を専門的に学んでいた寺尾さんが「光ファイバ」に興味を持ったのは、載荷実験を行っていた橋に鹿島がそれを張り巡らせていたことがきっかけだった。

4年次の春、鹿島の社員によるコーオプ教育の寄附講座が開かれることを知り、「これは何かの縁かもしれない」と参加。受講者の中から抜擢され、夏から冬にかけて4カ月間、鹿島で実際の業務に携わることに。

目指す道への覚悟を
問われた場でした

東京で親元を離れて初めてのひとり暮らし。「楽しみな反面、専門外の分野に携わる不安もありました」。寺尾さんが配属されたのはインフラセンシングなどの研究を行う先端・メカトロニクスグループ。関連する研究に加え、光ファイバを用いた新しいセンサーを開発する大仕事も任された。「解析からセンサーの案出し、試作品の実験までひととおり。これが実際に現場で使われるかもしれないと思うと責任重大でした」

企業での業務は常に現場と直結している。そのプレッシャーを感じながらも、実験データの比較・整理を進め、独自に考案した方法により、光ファイバでコンクリートのひび割れ箇所を特定できることを証明。社内で高い評価を受けた。「光ファイバでの計測はまだまだ発展途上。データの処理も一筋縄ではいきません。だけど、この黎明期に第一線で活躍するプロと一緒に開発に携われたことはとても貴重な経験でした」

コーオプ教育を終えた寺尾さんは「橋の構造についてもっと踏み込んでみたい」と大学院への進学を決意。未知の分野に目を向ける大切さを知った一方で、勤務終了前日にもらったある社員のアドバイスが彼女を突き動かしていた。「まずは自分の軸になる専門分野を持ちなさい。視野を広げるのはそれからでいい」。

自分には何が向いているのか、今、何をすべきなのか。コーオプ教育は社会に出る前にそれを見極めるチャンスでもある。「私にとってコーオプ教育は目指す道への覚悟を問われた場でした」