Go beyond!
KITの特色

われわれを

“金沢工業大学”

たらしめるもの。

SCROLL

金沢工業大学(KIT)が目指すのは「自ら考え行動する技術者」の育成だ。そのために、大学と企業の壁、次世代技術の壁と、あらゆる壁を超える独自の革新的なカリキュラムを展開している。ここで紹介する全学生必修の「プロジェクトデザイン」と「データサイエンス・AI教育」は、代表的な学びの特色であると同時に、われわれを“金沢工業大学”たらしめるものである。

01
自分の壁を超える プロジェクトデザイン
渡邉香耶さん
応用バイオ学科2年
静岡・富士東高等学校 出身
末吉真菜さん
応用バイオ学科2年
福井・高志高等学校 出身

授業では現状、市場、原因の分析から始まり、課題設定や評価方法の決定に至るまで協力して進められた。学生はリアルなプロジェクトを実際に体験しながら学んでゆく。

加賀のブランド野菜

「金沢春菊」の

うまさの秘密に迫る。

「プロジェクトデザイン」はKITの全学生が受講する独自のカリキュラムだ。1年次から段階的にレベルを高め、特に2年次には社会で実際に起こっている問題に対し、チームで解決に取り組む本格的な活動となる。

渡邉香耶さんがリーダーの応用バイオ学科のチーム「D2班」が着目したのは伝統的な加賀野菜「金沢春菊」だった。「一般的な春菊より柔らかく、味が良いことで知られるブランド野菜で価格は1.5~2倍ほど。ただ年々売り上げが下がっていました」(渡邉さん)。

そこでチームでは一般的な春菊と金沢春菊の違いに着目。茎の柔らかさや、成分を比較調査する取り組みが始まった。

普通の春菊の成分や栄養は調べればすぐに出てくるが、金沢春菊のデータは一切なかった。しかも「茎の硬さを調べる」「成分を調べる」のも、どんな器具を使って、どんな方法で行うか。そんなところから探し始めるのだった。「春菊の苦み成分をつかさどるポリフェノールの検出方法だけでも数種類あってどれが最適かわからない。だから全員で分担して実験を繰り返しました」とメンバーの末吉真菜さんは振り返る。

たとえ学生でもリアルに
世界を動かせる。

こうした地道な検証で導き出されたのが「一般的な春菊に比べ金沢春菊は茎が柔らかく、ポリフェノールの含有量が少ないため苦みが穏やかである」という結論だ。1年間の活動でチームはJA金沢中央の「金沢春菊部会」とも連携。研究結果を報告すると「今後の販促活動にデータを活用したい」という申し出もあった。

プロジェクトデザインで鍛えられるのは、前例のない中でも前に進む力だ。調べても答えが出ない課題に対して、精いっぱいの考察をしたうえで、さらにチームで協力してやってみる。「“手さぐり”は不安でしたが、結果を出せたことが何よりうれしかった」(末吉さん)。

規模の大きさに関係なく社会と関わり、試行錯誤して結果を残した経験は大きい。チームのメンバーが今後どんなことに挑むとしても、ここで得た力やスキル、経験がそれぞれを支え、背中を押してくれるだろう。


金沢春菊って何だ?
一般的な春菊
金沢春菊

「金沢春菊」は金沢市で認定される伝統的な加賀野菜15品目のひとつ。葉の切れ込みの少ない丸葉で「柔らかくておいしい」といわれる。今回、プロジェクトデザイン・D2班はこの「おいしさ」の背景・理由の解明に挑んだ。


02
ビッグデータの壁を超える データサイエンス・ AI教育
三ケ山優斗さん
経営情報学科3年
滋賀・近江高等学校 出身
水野智章さん
経営情報学科3年
富山・富山第一高等学校 出身

「データサイエンスの基礎やスキルは重要ですが、個人的にポイントになるのは”モノの見方”。そこから仮説を立てる力です。あとは試行錯誤する気力と体力も重要です(笑)」(三ケ山さん)。

50万件のデータから、

解き明かしていく、

おじいちゃんの本音。

2021年夏、三ケ山さんと水野さんが参加した「第13回 データビジネス創造コンテスト」。企業や経済産業省などが協力・後援する、データサイエンスの観点から社会課題の解決策を提案する全国大会だ。

今回のテーマは「モビリティデータが創るスマートシティ」。IoT技術やデータを用いた快適な暮らしを実現するために何が必要か。企業から提供された「タクシー乗降データ」を活用・分析し、全国から集まった学生44チームが新たなアイデアの創出を競い合った。

50万件を超える膨大な情報の中から2人が着目したのは高齢者のタクシー利用についてだった。ある特定の地域に絞り、時間帯別に細かくデータを分析すると、「乗降者数が急増する時間帯」があることに気付いた。さらに周辺の環境や地形などもリサーチしていく中で、2人は「高齢者が病院やデイケアセンターへ通うために利用しているのではないか」と仮説を立てる。

「高齢者がいつも利用する施設へのルートを、簡単に運転手に伝えられたら?」。そこで指定の場所を事前登録できる高齢者向けタクシーアプリ「ここナビ」を提案。従来のアプリより操作が簡単なユーザーインターフェースにもこだわった。データを基にした的確な仮説と、それをフォローする細やかな心配りは高い評価を得て、みごと全国2位の優秀賞を受賞する。

データサイエンスの本質は、
“モノの見方”にある。

「データは巨大で複雑な建造物みたいなもの」と三ケ山さん。100件のデータなら目測だけで大体の構造を把握できるが、ビッグデータが相手だと分析ツールを駆使して一つずつ崩していくほかない。

「データサイエンスの本質は“モノの見方”にあります」。三ケ山さんの言葉に水野さんも大きくうなずく。分析ツールはあくまでデータを測るモノサシ。導いた結果をどのように捉えてどう対処するか、その視点を鍛えるのがデータサイエンスの学びの核だ。

KITでは2022年からデータサイエンスに関わる3科目が全学部・学科で必修となった。データを扱う基礎はもちろん、2人のように独自の視点を生かす応用の学びも待っている。そこで獲得できるスキルや視点は、今後の研究活動や将来のビジネスに欠かせない重要な武器となるはずだ。


データサイエンスのイメージ
(ビッグデータ分析の例)

数万件以上の膨大なデータを日時や年齢など、複数の視点で並べ替え、絞り込み、切り取っていく。そこから傾向や法則性を見つけ出すのが、データ分析の基本のアプローチとなる。