第3回 GPSで地球にお絵かき&パソコンでMy地図づくり

【学びのポイント3】 昔と今の地図の違いは何だろう?

ここからはパソコンでMy地図作りに挑戦しますが、その前に地図の歴史を学んでおきましょう。地図の歴史は文字の歴史より古いといわれています。また、「地球が丸いこと」が発見される前と後では、地図の描かれ方が大きく変化しました。

日本では、商人であり、測量家であった伊能忠敬が初めて日本地図を作りました。当時はGPSもトータルステーションもなかったので、距離は歩測で測られていました。石川から東京までという遠い距離も、地道に歩いて測っていたのです。

講義では、クイズに答えながら世界地図と日本地図の変化について楽しく学びます。

講義の時間

古代人が想像した地球はカメとゾウに支えられていた!

学生「午後からの講義では、地図の歴史について学びましょう。さっそくクイズです。世界一古い地図はおよそ何年前に作られたのでしょうか? 1の1500年前だと思う人? だれもいないかな。2の2500年前は? 3人の子が2だね。じゃあ、3の3500年前だと思う人」

15人のキッズ「はーい」

学生「ほとんどが3かな。そう、答えは3です。これはカモニカの地図とよばれるもので、イタリアに残されています」

学生「スクリーンに映し出されているのは、世界一古い世界地図です。これが作られたのは、およそ何年前でしょう? 1の600年前だと思う人?2の2600年前だと思う人? 1と2はいないかな。じゃあ、3の2600年前だと思う人は?」

キッズ全員「はーい」

学生「はい、全員正解ですね。世界で一番古い世界地図はバビロニアの世界図です。現在のイラクで作られ、紙ではなく粘土板に描かれています」

学生「この頃は、まだ地球は丸いと考えられていませんでした。例えば、古代のインド人が考えていた地球の絵を見てみると、一番下にカメがいて、その上にのったゾウが陸地を支えています」

キッズ「変なの~」

学生「いつ地球は丸いとわかったのでしょう?スクリーンに映しだした地図は、およそ2100年前にプトレマイオスという人が作った地図です。丸い地球を地図にするために、みかんの皮を広げたような形になっているのがわかるかな。ここで、さらに一問。初めて世界一周をした人はだれでしょう? 1のコロンブスだと思う人?2のマルコ・ポーロは? 3のバスコダ・ガマは? 正解は2のマルコ・ポーロです」

石川から東京まで歩いて距離を測ったって本当?日本地図の歴史を学ぼう。

学生「日本で最初に地図を作った人を知っていますか? 伊能忠敬という商人であり、測量家でもあった人物です。それでは、当時、どうやって石川県から東京までの距離を測っていたのでしょう? 1の勘だと思う人? 2のものさしの人? 3の歩いて測ったとも思う人?」

キッズ「はーい、3です」

学生「はい、正解ですね。昔の人はなんと歩いて距離を測っていました」

学生「明治時代になるとフランス人の技術者に習って地図を作ったため、フランスの地図とよく似たい色合いのものができました」

学生「その後、明治の終わりから昭和にかけて日本中で測量が行われます。だけど、一部分だけ測量にとても時間がかかった場所があります。それは『剱岳 点の記』という映画にもなっている富山の剱岳です。険しい剱岳の測量を命がけで終え、日本地図は完成しました」

カモニカの地図
イタリアのカモニカ渓谷に残されている地図で、紀元前1500年頃の集落や耕地が描かれているといわれています。世界最古の地図といわれ、世界遺産にも登録されています。
バビロニアの世界図
紀元前700年頃にバビロニア(現在のイラク)で作られ、世界最古の世界地図といわれています。円盤のような形をした陸地には首都バビロンやユーフラテス川などが描かれ、周りを海に囲まれています。紙が発明される前に作られたため、粘土板に描かれています。
マルコ・ポーロ
13~14世紀に活躍したイタリアの商人であり、旅行家。アジア諸国で見聞きしたことを口述(口で述べること)し、ルスティケロ・ダ・ビサという人物が編残した旅行記『東方見聞録』(別名『世界の記述』)が有名です。
伊能忠敬
江戸時代中期に日本中を測量し、初めて実測による日本地図を作った人物です。完成した地図はとても精度が高く、ヨーロッパで高く評価されました。
剱岳
北アルプスの立山連峰にある標高2999mの山。『剱岳・点の記』は明治時代、日本地図最後の空白地帯を埋めるため、測量に挑んだ人々を題材にした小説(著者は浅田次郎氏)と、それを原作に制作された映画(監督は木村大作氏)です。

【学びのポイント4】 My地図作りに挑戦してみよう。

地図の形や素材、作り方は、長い年月をかけて、どんどん変化してきたことがわかりました。現代では、GISという地理情報システムが注目を集めています。GISとは、コンピュータ上で、地図といろいろな情報(文字や画像など)を組み合わせ、活用するしくみのことです。みんなも地図太郎というGISソフトを使って、オリジナルの地図を作ってみましょう。野々市町の地図に自分のお家や学校、通学路などの情報を入力し、GISの便利さを体験しましょう。

My地図作成の時間

パソコンを使って、お家の周りのオリジナル地図を作ろう。

学生「次は、地図太郎というソフトを使って地図作りをしましょう。まずは元になる野々市の地図をお兄さん、お姉さんに聞きながら表示させてね」

学生「地図を表示させたら、野々市町役場をさがしてください。わからなかったら、周りの目印になる建物をさがすと見つけやすいですよ」

キッズ「あったー。役場はここや」

学生「野々市町役場をマークしたら、レイヤーを作って情報を入力しましょう。認識方法を点、線、面の3つから選択してください。まずは点を選びましょうか。次に色を選び、内容欄に野々市町役場の情報を入力してください。役場でも、カメリアキッズでもいいですよ」

学生「地図上の場所をマークし、その情報を入力すれば、地図上に表示させることができます。認識方法を点ではなく、線にすれば道など長いものを、面にすれば広範囲を表示させることができます。定規のマークをクリックすれば、マークした道の距離や広範囲の面積を測ることもできます。この要領で、自分のお家をマークして情報を入力しましょう」

キッズ「ぼくのお家ここや」

学生「自分の学校をマークして、情報の中に写真も入れてみましょう。いつも通っている通学路をマークして、お家と学校をつないでね。通学路の距離を測ることもできるよ」

キッズ「学校までの距離、思っていたより近かった」

学生「お家の周りにあるお気に入りのスポットの情報も入れて、オリジナルの地図を完成させてください」

GIS
Geographic Information Systemの略。コンピュータ上に、さまざまな地理空間情報を重ね合わせて表示させるシステムのことです。都市計画や資源・施設の管理、防災等、さまざまなことに活用されています。