第5回 空から見た世界遺産と自分自身

○開催日/2009年12月6日(日) ○時間/9:00~15:30 ○場所/金沢工業大学

地球儀ソフト Google Earth を操作して、世界遺産めぐりを体験。実験では上空から自分の写真を撮影し、それを使って身長を測りました。

【学びのポイント1】 リモートセンシングって、何だろう?

リモートセンシングとは「地球観測衛星などを使って、遠く離れたところから、物にふれずにその大きさや様子を調べる技術のこと」です。この技術を使えば、地球上の大陸や海、そこに生息する動植物、存在する建物の様子まで知ることができます。例えば、過去とくらべて地球の温度がどれぐらい上昇したか、それによって動物たちをとりまく環境がどう変化したかを調べることもでき、「地球温暖化」の状況を知ることができます。

実験に入る前に、講義でリモートセンシングについて学んでおきましょう。

講義の時間

教えてくれるのは徳永研究室の学生たちです。

遠くから地球の様子を調べるリモートセンシングとは?

学生「午前中の講義では、まずリモートセンシングについて学びます。皆さん、前の画面を見てください。これは何だかわかる?」

キッズ「ゴジラ!」「恐竜?」

学生「どれも不正解。近すぎてわからないですね。でも、離れて見てみると・・・」

キッズ「カバ!」

学生「そうです!このように近くから見てもわからない様子を、遠くから見て調べることをリモートセンシングといいます。日本列島や地球全体の様子を調べるには、宇宙から写真を撮影する必要がありますよね。それを行っているのが地球観測衛星なんです」

学生「地球観測衛星の仕組みを見てみましょう。地球上の物体は昼間、太陽の光があたっていますね。物体に光をあてると、それぞれ反射光や電磁波を出します。地球観測衛星は、物体から出ている反射光や電磁波を観測し、そのデータを地球へ送っています。この観測データをもとに地球の様子を知ることができるんです」

学生「それではここでクイズです。地球観測衛星はどのくらいの速さで地球の周りを回っているのかな?1番は1時間に350㎞、2番は1時間に1500㎞、3番は1時間に25000㎞。わかるかな?」

キッズ「1!」

学生「残念!正解は3です。フルマラソンを6秒で完走してしまうスピードで回っているんですね」

学生「他にも天気予報でよく見る雲の様子や台風の温度、オゾンホールの様子も、このリモートセンシングで調べることができるんですよ」

学生「ここで、地球温暖化について見てみましょう。地球温暖化とは、人間が排出した二酸化炭素、メタンといった温室効果ガスの大気中の濃度が高まり、地表面の温度が上昇することです。地球温暖化が進むと、南極の氷が解け、沈んでしまう島が出てくるかもしれません」

学生「でも、普段の生活ではあまり温暖化を感じることはありませんよね。それでは、リモートセンシングの画像を見てみましょう。昔と比べ、温度が上昇しているのがわかります。氷が解ければホッキョクグマも狩りがしにくくなり、その数は年々減少しています。このように地球観測衛星は、地球に住むすべての動物のために、地球を見守り続けているんです」

学生「それでは最後に、衛星がとらえた石川県の様子を見て、講義を終わります」

リモートセンシング
広い意味では遠く離れた場所から、対象物を測定する技術のこと。一般的には、人口衛星や航空機を使用して、地球の状況を観測する技術のことをさします。
地球観測衛星
地球の大気や海洋、地表面の観測を行うことを目的にした人工衛星のこと。気象衛星「ひまわり」も地球観測衛星のひとつです。
地球温暖化
人間が排出した二酸化炭素、メタン、フロンといった温室効果ガスの大気中の濃度が高まり、地表面の温度が上昇すること。人類が現在と同様の生活、産業活動を続ければ21世紀末には二酸化炭素の濃度は現在の2倍以上になり、地球の平均温度は今より上昇すると考えられています。

【学びのポイント2】 地球儀ソフト「Google Earth」で、世界遺産めぐりへGO!

地球儀ソフトGoogle Earthを操作してみましょう。

Google Earthは地球上のあらゆる場所の衛星画像を表示させるとこができ、建物を立体的に見ることができます。なかなか行くことができない外国や宇宙の様子までも、このソフトを使えばパソコン上で簡単に見ることができます。

お兄さんに聞きながら操作方法を学び、世界遺産をめぐってみましょう。

実習の時間

地球儀ソフト「Google Earth」で、世界へ飛び立とう!

学生「講義の後は Google Earth というソフトを使って、世界遺産を見てみましょう。ソフトの使い方を近くのお兄さんに聞いてください」

キッズ「お兄さん、教えてください」

学生「検索ツールを使って、自分の行きたい場所を探してみます。試しに東京ドームと入力してください」

キッズ「すごい、東京ドームが表示された」

学生「視点ツールには回転、移動、拡大・縮小の3つの機能があります。使い方を覚えましょう。建物を立体的に表示させることもできるので、お兄さんに聞いてみてください」

学生「ツールの使い方を覚えたところで、Google Earth を使って世界旅行へ行きましょう。徳永ツーリストの地球一周ツアーをご利用いただき、ありがとうございます。私どものツアーでは飛行機や電車に長い時間乗る必要がなく、パスポートもお金もいりません」

学生「地球には南北を表わす緯度と、東西を表わす経度があり、数字で表わされています。例えば、金沢工業大学のある場所は北緯36度31分49.99秒、東経136度37分42.28秒です。これを Google Earth に入力すれば、金沢工業大学が表示されます」

学生「同じ要領でいろんな場所に行ってみましょう。資料に金閣寺、通天閣、東京タワー、原爆ドームの緯度経度が書いてあるので、入力してそれぞれの名所を表示させてみてね。日本を回ったら、次は世界遺産をめぐりましょう。資料には、国名と経度、緯度しか書かれていないので、何の建物かあててみてね。それではいってらっしゃい!」

キッズ「最初はカンボジアのアンコールワット」

キッズ「わかった!これはフランスの凱旋門」

学生「さっき教わったやり方で、立体的に表示してみてね。オプションツアーでは宇宙に行くこともできるので、最後にためしてみましょう」

Google Earth
パソコンソフトのひとつ。地球上のさまざまな場所の衛星画像、地図、地形、3D画像を表示させることができます。
世界遺産
ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産条約に基づいて世界遺産リストに登録されている遺産のことで、「文化遺産」(中国の万里の長城、京都など)、「自然遺産」(屋久島など)、「複合遺産」(ペルー共和国のマチュピチュなど)の3種類に分けられます。日本では古都京都の文化財や広島の原爆ドームなど現在14件の文化遺産、自然遺産が登録されています。