平成25年度「地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)」採択 地域志向「教育改革」による人材育成イノベーションの実践

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空間デザイン研究

プロジェクト概要

プロジェクト発足以前から定期的に活動してきたライトアップイベントが、平成26年度COC事業に採択。その後も「建築とテクノロジーの融合」をテーマに進化を続け、産学官の連携によって生まれる「あかりのオブジェ」は、金沢の新しい顔として親しまれています。

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新たな出会いとまちの魅力を創出する光のオブジェ

金沢のまちに新たなムーブメント

プロジェクトのメインは、学生がつくった光のオブジェがまちを幻想的に彩る「金澤月見光路(かなざわつきみこうろ)」です。この試みは、石川県庁が移転し、中心市街地の空洞化を危惧した商店街の要請で始まりました。平成16年の開始以後、学部を横断する空間デザインプロジェクトが立ち上がり、市内の中心部にある商店街(広坂・香林坊・竪町など)へとエリアを拡大。さらに平成26年から通りをアートで飾る「タテマチアート(竪町商店街)」や金沢駅もてなしドーム・鼓門のプロジェクトマッピングも水平展開するようになり、その存在は徐々に浸透してきました。
そして同年、それまでの活動がゆるやかに統合する自然な流れで「空間デザイン研究」としてCOC事業に採択。この年、金澤月見光光路、月見ゲートがダブルで開催され、それを機に、各地で「灯り」をテーマとしたイベントが次々開催されるようになり、現在に至っています。


平成26年に「つなぐ TSU-NA-GU」をテーマに注目があつまる金沢駅にてプロジェクションマッピングを実施

平成29年の金澤月見光路と金沢駅もてなしドームにおけるイベント告知チラシ(A4サイズ)

産学連携、学部横断が感動と魅力を生み出す

空間デザインプロジェクトの特徴は、建築デザインとメディア情報系の学部横断にあり、互いの技術を駆使することで、建築と照明や映像、音響が融合した非日常空間の演出が可能となります。
学生の参加理由は
「設計図で終わるのではなく、実際にモノをつくることができる」
「地元企業の最新技術や発売前の製品を自分の作品で試せる」
「金沢21世紀美術館をはじめ、世界的に有名な場所に自分のデザインを設置できる」
など、「モノづくり」への期待が多くを占め、賑わい創出とともに学びを実践する場としての役割も果たしています。

プロジェクトでは、時期を問わず地元企業から新しい技術や製品の提供を受けており、その関係は良好です。企業側からも学生の枠にはまらない発想に刺激を受けるという意見が寄せられており、学生の声から生まれた製品がすでに市場に出回っています。


会場/金沢21世紀美術館市役所口

会場/しいのき迎賓館正面広場

主な活動内容

金澤月見光路

金沢市中心市街地で毎秋開催され、複数のチームが「あかりのオブジェ」を制作します。
オブジェのデザインは毎回新しい価値を加えますが、全体のイメージは継承することで地域への定着を図り、より魅力的な地域資源となることを目指しています。
平成25年度から、同時開催として、情報フロンティア学部メディア情報学科・出原研究室が金沢駅もてなしドーム・鼓門をプロジェクションマッピングした「金澤月見ゲート」も実施されました。

  
金澤月見ゲート 会場/金沢駅もてなしドーム・鼓門
①人のふるまいに感応する星型オブジェの光色変化(平成27年度)

音センサーに感応して光色が変化する星型オブジェを制作し、動的なあかりの演出を行った

  
②携帯型あかりオブジェによるエリア巡回企画(平成27年度)

メディア情報学科の知識を生かし、ICチップを実装した携帯型あかりオブジェを開発。スポットをめぐる参加型イベントを開催

  

金沢工業大学では現在、専門横断型の「共創教育」に力を入れており、本プロジェクトもすでにその理念が実践されていると言えます。地域、企業との共創だけでなく、まちの人々が自然とアートの中に入って楽めたり、スマートフォンを利用するなど、地域住民主体型の活動として中心市街地活性化の課題に取り組んでいます。

金澤月見光路に参加した学生の声

オーガニックをテーマとした飲食と物販を行う店舗をデザインしました。立山科学工業(株)のフレキシブルLED電極シートや、(株)トーケンの緑化材をふんだんに使用し、店舗の特性や周囲の環境とマッチするデザインとしました。制作過程では模型を制作して素材提供企業にプレゼンテーションを行い、先方の技術者のアドバイスを反映することでデザインをブラッシュアップしました。実際の設置では図面上ではわからなかったリスクも発覚し、その対策も勉強になりました。


金沢21世紀美術館に設置するオブジェのリーダーとして、ランドスケープデザインを行いました。1年生からプロジェクトに参加し、これまでは先輩をサポートしてきましたが、今回初めて自分がサポートしてもらう立場になり、改めてまわりの人への感謝の気持ちを強く感じました。快く協力してくれた企業の皆さんにもとても感謝しています。学生が世界的に有名な美術館の担当者に直接プレゼンテーションできる機会は稀なので、プロジェクトに参加して本当によかったと思います。


金沢21世紀美術館の芝生広場に設置する花のオブジェのデザインを担当しました。
プロジェクトでは、ワークショップで参加者とふれあえたり、その場で作品を見た人の反応を確かめられて刺激になりました。また、モノづくり以外にも、安全管理を考えたり予算やスケジュールのマネジメントを行うなど、将来建築デザインを志す者にとって貴重な体験ができました。


総括および今後の展開


環境・建築学部 建築デザイン学科 教授 川崎 寧史

金沢のまちだからこそ実現

プロジェクトの順調な発展について、代表を務める環境・建築学部の川崎教授は、金沢のまちの特性が背景にあると言います。
「金沢は江戸時代から文化やデザインに対する意識が高く、新しい試みを受け入れ、支える土壌があったことが追い風となりました。学生には、まずプロジェクトを通じて金沢のまちの魅力を肌で感じてほしいと思っています。あとは我々の万全のサポート体制がありますから、恐れずにチャレンジしてほしいですね」。

近年、北陸新幹線開業の影響もあり、金沢のまちそのものが大きく変貌しました。しかし、夜間に観光資源となるコンテンツはまだまだ少なく、産学官が一体となった賑わい創出は今後も地域にとっての重要な課題です。
プロジェクトの今後のテーマとして川崎教授は、「建築デザインとテクノロジーあるいは知識の実装」を掲げ、個々の学生が地域の賑わい創出を通じて自らのスキルを高めることを目指します。

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金沢工業大学 産学連携局 連携推進部 連携推進課

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