平成25年度「地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)」採択 地域志向「教育改革」による人材育成イノベーションの実践

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情報セキュリティ・スキルアッププロジェクト

プロジェクト概要

「もっとセキュリティを学びたい」というひとりの学生の声から生まれた活動が、COC事業によって大きな発展を遂げ、産官学一体となったICT人材育成機関の設立が実現しつつあります。学生たちは、利便性と引き換えに大きな危険性を抱える情報セキュリティの最前線で、自らのスキルを磨きながら、地域貢献活動にも積極的に取り組んでいます。

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情報セキュリティ最前線、さらにその先へ

学生の「学びたい気持ち」をサポート

現プロジェクトの前身であるセキュリティ勉強会が誕生したのは、ちょうどセキュリティに対する注目が高まりつあった平成18年です。セキュリティに興味を持ち、東京などの勉強会に参加していた学生が、情報工学科の五十嵐教授に「勉強会を開きたいので、研究室でサポートしてほしい」と相談したことがきっかけでした。
そして、産学連携室が窓口となり、初めて学内で開催されたのが今も継続する「KITpro勉強会」です。
「当初は研究室内だけの勉強会でしたが、学生の要望で、次年は他の研究室の学生も、その翌年は学科全体で、というふうに年々規模が拡大していきました。その背景には勉強会をサポートしてきた産学連携室の存在が大きいと思います。学生の“学び”に対する意欲を受け止め、実現する仕組みが本学にはある。そのあたりが本学が教育付加価値日本一とも言われる所以だと思います」(工学部 情報工学科 五十嵐教授)。
週に一度の勉強会が定着したころ、平成26年度のCOC事業への採択が決まり、「情報セキュリティ・スキルアッププロジェクト」という名称で体系化、さらなる発展を遂げることになりました。

採択後、最初の活動として、東京にある情報セキュリティに関連する企業の視察・見学が行われ、1年から4年の学生28名が参加しました。視察先は、NICT、(株)ラック、トレンドマイクロ(株)、(株)インテックの4社です。
「宇宙基地のような最先端設備や、見学中に監視センター内のパトライトが点灯する臨場感あふれる現場に刺激を受けた」(見学会に参加した学生)という声があるように、情報セキュリティの最前線を目の当たりにしたことは、今後の学習へのモチベーションアップおよび就職活動への意識づけにもなりました。

学生がプロジェクトに参加した理由として多いのは、

  • 情報セキュリティという言葉に惹かれ、見学会後に参加した。
  • 大学で何かしたいと思っていたところ、以前から興味があったセキュリティのプロジェクトがあったので参加した。
  • 授業の内容について先生に質問に行ったときにプロジェクトのことを教えてもらって参加した。
  • 1年生のときに「なんだかおもしろそう」と深く考えずに参加したが、想像していた以上に奥が深く卒業後も勉強したいと思っている。
  • オープンキャンパスでの発表がおもしろく、入学後すぐ参加した。

などとなっており、1年次から参加する生徒が多いことからも、学生のセキュリティ分野への関心が高さがうかがえます。

主な活動内容

プロジェクトは、主に情報工学科の学生を中心に構成されており、平成26~27年度は主に次の5つを柱に活動を行ってきました。

① KITpro勉強会
② セキュリティ勉強会
③ スキルアップ活動
④ 地域住民を対象としたボランティア活動
⑤ 正課授業との連携

KITpro勉強会(KITセキュリティフォーラム)

プロ向けの勉強会。地元のセキュリティ関連企業の専門家や石川県警察本部サイバー対策室の職員、自治体の職員にも講演者として協力を仰ぎ、地域住民にも門戸を開いています。

身近なセキュリティ
日時:平成26年11月29日
場所:金沢工業大学23号館
概要:講演/(株)ラックの扇沢氏、ソフトバンク・テクノロジー(株)辻氏、ポスターセッション
IoT社会に向けたセキュリティ業界に必要な人材育成する環境とは
日時:平成27年1月23日
場所:金沢工業大学 アントレナーズラボ
概要:講演/(株)ディー・エヌ・エー 茂岩氏 NECソリューションイノベータ(株) 高江氏、ソフトバンク・テクノロジー(株) 辻氏、パネルディスカッション
セキュリティ勉強会

情報セキュリティ分野は通常上級生が学ぶ高度な内容です。そのため週1度のペースで学内における勉強会を実施。地元企業が参加することもあり、実践に近い知識を習得できます。勉強会には本学の学生だけでなく、地元企業の若手社員や自治体の職員も参加しています。地元小中学校向けのセキュリティ教室の教材作成に石川県警察の職員がアドバイザーとして参加しています。平成27年度には、CTFサーバーを構築し、大会も開催しました。

スキルアップ活動

各種団体が主催するセミナーや講習会に参加することで、個々のスキルアップを図る活動です。

見学・講演受講
平成26年4月30日 情報通信研究機構(NICT)
平成27年6月3日 情報通信研究機構(NICT)
平成27年8月20日~21日 情報通信研究機構(NICT)本部、(株)ラック、トレンドマイクロ(株)、(株)インフォセック
セキュリティーセミナー
日時:平成26年6月10日
テーマ:「サイバー犯罪の現状と対策」 石川県警察 桜井氏
日時:平成26年6月28日
テーマ:「ソーシャルメディアで起こる問題」 子供とネットを考える会 山口氏
セキュリティ競技会(CTF)への参加
平成26年9月27日~28日(長野大会)
平成26年11月9日(大阪大会)
平成26年7月19日(オンライン予選国内大会)
平成26年12月6日~7日(オンライン予選国際大会)
平成27年12月5日~6日(オンライン予選国内大会)
ボランティア活動

地元の教育機関、自治体、警察と連携し、学生が講師となって小中学生を対象としたセキュリティ教室を開催しています。 「学生は事前に講演を行う学校に足を運んで課題を聞き、その内容に応じた資料をつくって講演会に臨みます。講師を務める学生だけでなく、アドバイザーである石川県警の職員、資料作りを手伝うプロジェクトメンバーなど、当日までに多くの人がかかわり、産学官が一体となって子どもたちへの啓蒙活動を続けています」(五十嵐教授)。

セキュリティ教室
■平成26年度
 7月9日 金沢市立泉中学校
 7月16日 金沢市立湯涌小学校・芝原中学校
 12月4日 野々市中学校
■平成27年度
 7月1日 金沢市立泉中学校
正課授業との連動

講演の聴講
日時:平成26年10月8日 
テーマ「セキュアなソフトウエア開発」 (株)富士通北陸システムズ 滝口氏

総括および今後の展開


工学部 情報工学科 教授 五十嵐寛

「COC事業における活動後、新たな動きとして、産学連携による新たな組織『北陸セキュリティコンソーシアム』の設立が進められています。本学以外では金沢大学、JAIST(国立大学法人 北陸先端科学技術大学院大学)、民間企業では(株)PFUらが参加予定です。これまで、IPAおよび本学、金沢大学大学院、北陸先端科学技術大学らが主催、経済産業省共催の『セキュリティ・ミニキャンプin北陸』が石川県内で3回開催されてきましたが、来年度からは県や市の協力も仰ぎ、北陸セキュリティコンソーシアム単独のイベントとして開催予定です」(五十嵐教授)。この組織の誕生により、産官学が一体となった優秀な人材育成のプラットホームとしての役割が期待されています。

※IPA(Information-technology Promotion Agency, Japan) 独立行政法人情報処理推進機構
日本におけるIT国家戦略を、技術面や人材面で支えるため設立された、経済産業省所轄の独立行政法人。

プロジェクトに参加した学生の声
  • より知識を深め、いろんなことに挑戦したいと思い、積極的に外に出るように心がけています。個人的に総務省のセキュリティイノベーダー育成プログラム「SecHack365」に参加し、全国から選ばれた人材と一緒にセキュリティ技術の研究・開発を1年間かけて行っています。そこで得た知識をプロジェクトにフィードバックし、全体のレベルアップにつなげたいです。
  • 1年生からずっと活動を続けてきました。高校生のころは、熱中できるものがなく勉強にさほど興味がありませんでしたが、プロジェクトに参加したことで、「学ぶことはこんなにもおもしろいことなんだ」と気づきました。4年生になってからは、個人で各地の講演会や勉強会にも積極的に参加しており、セキュリティについてもっと学びたいと思っています。
  • 地元の中学校に、ネット社会についての講演に行きました。当日はSNSに関する事例をたくさん入れ、理解しやすいような工夫をしました。大勢の人の前で話をした経験はなかったけど、思い切ってチャレンジしました。
  • プロジェクトが主催するイベントの運営が印象に残っています。準備期間にいろいろな人と協力して当日を迎えたことが一番の思い出です。この経験を今後に生かしたいと思う。
  • セキュリティ技術は大事だけど、とても難しい。一人でも多くの人にセキュリティのことを分かりやすく伝えていきたい。そうすることで、学校、最終的には地域社会全体のセキュリティへの意識向上を図れたらいいと思っている。
  • 当初はセキュリティという言葉に惹かれて参加しました。活動を続けるなかで、基礎をしっかりと固めないとセキュリティに進めないと判断し、通信の勉強に力を入れました。
    それがきっかけで、自分が学びたいことを見つけ、今はその分野の企業のインターンシップに参加しています。プロジェクトに参加したことで、将来の夢に出会えました。

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