平成25年度「地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)」採択 地域志向「教育改革」による人材育成イノベーションの実践

地(知)の拠点

ホーム > 活動報告 > 地域志向教育研究プロジェクト(平成29年度) > 全体概要

KITトピックス/活動報告(平成29年度)

全体概要 COC事業取組責任者 副学長 鹿田 正昭
学生と地域が一体となって課題解決

ただいまご紹介いただきました鹿田です。本年度が本学における「地(知)の拠点整備事業(大学COC事業/Center Of Community)」の最終年度となりますので、この5年間の全体概要についてお話しさせていただきます。
まず事業の目的は、学生・教職員・自治体・企業・地域住民がともに「学び」、「気づき」、「行動」して、コトづくりのプラットホームを構築しながら、地域の課題解決を実践することとして、最終的な教育目標に学生の人間力の向上を掲げました。
実際の活動では、野々市市、金沢市から自治体として実際に抱えている問題を具体的にご提示いただき、学生や企業、地域住民、大学関係者などが一体となって問題解決にまい進してきました。自治体だけでなく、時には企業からも課題をいただきながら、取り組みを推進しております。

本事業では年度ごとに活動目標を立てて、1年目の「学習環境の整備」に始まり、2年目の「地域志向の学内展開」、3年目の「プロジェクト支援強化」、4年目の「共創教育強化」、そして本年度の「自己点検」と進めてまいりました。そんな5年間を通じて取り組んできた事業の主な取り組みと成果について、簡単にご紹介させていただきます。


64プロジェクトに、年間300~500名が参加

事業の主軸として2つの大きな取り組みがありました。
1つは授業(正課)の中に地域志向の要素を導入することです。学習支援計画書(シラバス)において、「地域志向」をキーワードに入れる科目が全開講科目の40%に達することを目標に掲げ、最終的には36%の科目に「地域志向」や「地域連携」といった言葉が入りました。そのことで、学生全体の86%が、少なくとも1回は地域に触れたり考えたりする機会を持ったことになります。

もう1つは課外学習における「地域志向教育研究プロジェクト(COCプロジェクト)」の活動です。学長を中心としたチームが活動内容を精査し、採択したプロジェクトに対して、COC事業の予算から学長裁量で活動費を配分しました。必ず2つ以上の学科から学生と教職員が参加するという条件で、5年間で延べ64(実質37)のプロジェクトが活動し、年間で300~500名のメンバーが参加しました。年間600~700名が活動している夢考房プロジェクトに迫る規模だったことになります。

これらのプロジェクト活動には、1年間だけでなく、長年にわたって継続しないと地域の問題解決につながらないものもあります。平成29年度に活動している25のCOCプロジェクトのうち23は、前年度で助成が終わったあとも活動を継続しているグループです。さらに学長裁量ではない地域連携・産学連携プロジェクトも31グループが活動しています。これらは学内で地域連携や産学連携による活動への理解が深まった結果、個々に活動を始めたプロジェクトです。
企業や住民など地域の皆さんも、この5年間で64プロジェクトに延べ2844名が参加され、まさに大学がコミュニティの中心となるCOC事業が実践できたと考えております。中には年10回以上のミーティングを重ねているグループもあり、企業や地域住民がメンバーに加わることで、活動を通じて学生にアドバイスをいただいております。
5年間で立ち上がった地域志向のプロジェクト一覧をご覧ください。学長裁量で予算を付けたものが★、前年から継続して活動しているものが◎、活動の一部が継続しているものが○です。実際にこれだけの数のチームが現在も活動しています。


学生たちが人間力の成長を実感

学生の人間力における教育効果については、プロジェクトの学生代表者にアンケートを行いました。




「地域課題・企業の『課題』を意識して活動することができたか?」の問いに対して、83%の学生が「できた」と回答してくれました。ただ「地域住民や自治体・企業担当者と円滑なコミュニケーションをとることができたか?」との質問では、36%が「できた」と回答した一方、「少し足りない」と感じている学生が61%もいて、今後の課題です。
「プロジェクト活動を通して、自分の成長を感じるか?」という質問では、97%と、ほとんどの学生が「感じる」と回答し、活動によって自分の人間力が成長した実感があるようです。

5年間の活動成果の自己点検としましては、まず地域志向の全学展開については、目標値に近い36%を達成し、多くの学生たちに地域連携の活動が浸透したと感じます。地域連携・産学連携の活動が増え、コトづくりのプラットホームの基盤もできたと考えております。人間力の育成についても、参加した学生の多くが「人間力がついた」とアンケートに回答してくれました。地域・社会貢献の実績は、このあとの学生たちによるプロジェクト発表の内容とポスターセッションの様子からご評価をいただければと思っております。

5年間の成果を引き継ぎ、新たな地域貢献へ

今後の展開としては、年2~3回開催している「KITハッカソン」や、社会人が授業やプロジェクトに参加する「社会人共学者」の取り組みをさらに活発にしたいと考えます。


また、「ICT・IoT・AIの先端技術を活用した新たな里山都市の創生」をテーマに掲げる本学の研究ブランディング事業は、COC事業で取り組んだ地域・社会貢献の要素を多く含んだ内容です。「世代・分野・文化を超えた共創教育」、「理工系要素技術を融合した横断型」、「ビッグデータ、IoT、AI」、「SDGs」などをキーワードに、コトづくりのプラットホームを基盤としたプロジェクトを発展させ、継続していくことが私たちの狙いです。

結論としては、5年間のCOC事業を通じて、私たちが目指したコトづくりのプラットホームづくりはおおむね達成できたと考えております。以上、全体概要の説明をさせていただきました。ご清聴ありがとうございました。

ページトップへ

金沢工業大学 産学連携局 連携推進部 連携推進課

〒921-8501 石川県野々市市扇が丘7-1 TEL 076-294-6740 FAX 076-294-6706