平成26年から活動している「マーケティング調査」プロジェクトです。情報フロンティア学部の心理情報学科と経営情報学科の学生が学科を横断する形でチームを組み、「心理」と「経営」それぞれの視点で地元商店の方々と販促活動を行っています。
本学周辺にはさまざまな業種の商店が点在しており、その中には販促や広報についての悩みを抱える店も少なくありません。地域の商店を活性化させるためには、顧客のニーズを正しく把握し、それに応える戦略を立て、確実に実行する必要があります。
販促計画を調査会社やコンサルティング会社へ相談する方法もありますが、高額な費用が必要なため、よほどの費用対効果がなければ依頼は難しい状況です。
もし店主自らが調査し、集めた結果を分析して戦略を立てることができれば、費用を格段に抑えることが可能です。しかし、アンケート方法や集計後の分析についての専門知識がなければ、有効活用はできません。一方、学生はマーケティングの手法を学びますが、それを実践する場が限られています。
そこで両者が、産学連携プロジェクトのもと協力することで、互いにメリットがあると考え、活動がスタートしました。
ともにプロジェクトを行うのは、学内の産学連携室から野々市市商工会に声をかけ、紹介していただいた店舗です。
「学生はそれまで地域の社会人の方と接する機会はほとんどなかったはずです。このようなプロジェクトが実施できるのも、大学が地域にとって身近な存在であることと産学連携室の細やかなサポートがあるからです」(情報フロンティア学部 心理情報学科 教授 田中吉史)。
プロジェクトにおける取組みは以下の通りです。
初年度は、夏休み前までにアンケート調査方法に関する授業を行い、質問紙の作成や集計方法についての不足部分は勉強会で補いました。さらに東京の調査会社(株)インサイトファクトリーから講師を招き、講演会を開催したり、富山のマーケティング会社(株)ラックスでの研修会も実施しました。
その後、チームごとに商店の人と一緒に調査票の作成と実施、分析を行い、実行可能な解決策を店舗に対して提出しました。異なる学部のメンバーが同じチームになることで、互いの知恵を出し合えるチーム編成としました。
「時には店舗から次のDM発送までに調査と改善案を出してほしいとオーダーされることもあり、そういう社会のスピード感も学生にとっては刺激になっていると思います。商店の方も学生だからと甘やかすことなく、パートナーとして接していただき感謝しています」。(情報フロンティア学部 心理情報学科 教授 田中吉史)
これまでは基本的に、野々市市の店舗を対象としてきましたが、隣接する白山市へもエリアの拡大を進めています。すでに学生の提案を実行いただき、来店客数など、目に見える形で効果を確認できる店舗もあります。
初年度より継続して、マーケティング調査を依頼いただける店も多く、学生のスキルも年々レベルアップしているのがはっきりとわかります。
法的な制約や解決すべき課題はありますが、最終的には学内にマーケティング会社の設立を目指しており、プロジェクトのより一層の充実を図ります。