[ 前頭葉:決断の一瞬 ]とは
ルネッサンス ジェネレーションではこれまで、さまざまな角度から虚と実の狭間を追究してきました。昨年の「リアリティ・ザッピング:同時多発TV」では、テレビというシステムをテーマに、「情報」の実体性と捏造性を切り取りました。マスメディアによる情報過多、インターネット上の事件などに囲まれて、私たちは常に判断を強要されながら暮らしているようです。その一方で、判断を拒否する、おたく的なコレクションに生きる、という態度が若者の間に蔓延しているように見えます。そこで今年は引き続き問題の深層にメスを入れ、判断と意思決定のメカニズムを探りたいと思います。
人は人生のさまざまな側面で、迷いつつ決断を積み重ねて行きます。科学者は解法を求め、アーティストはベストの表現を求めて意思決定と変更を重ねます。このように言うと、ヒト特有の能力のようですが、実験室のサルも、そればかりかミミズでさえ、一瞬一瞬にためらいと決断を示します。では、お腹がすいて何気なく目の前のスナックに手を伸ばす行為は、科学者やアーティストの意図された決断と違うのでしょうか、それとも同じなのでしょうか。
そもそも「決断」とは、何なのでしょう。意思決定する瞬間は、いかに訪れるのでしょう。脳神経学的には、課題解決の意図と意思決定を司るのは前頭葉だと言われていますが、そこでは実際、何が起きているのでしょう。今回のルネッサンス
ジェネレーションでは、マスメディアの情報の真偽から、アートにおける決断、前頭葉の神経生理学、条件反射、そしてCGやアニメ。こうした多様な分野を大胆に横断することを通して、「決断の一瞬」を鮮やかに浮かび上がらせたいと考えています。
監修者:下條信輔・タナカノリユキ
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