2002

 


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ルネッサンス ジェネレーション '02
[ メモリ・イン・モーション 未来記憶 ]

会期:2002年11月23日(土/祝)
会場:草月ホール

*終了しました。

 

*内容は多少変更する場合があります。ご了承ください。

<第1部:アレンジメント・プログラム>

イントロダクション
『メモリ・イン・モーション:時間と記憶』 
タナカノリユキ+下條信輔 *ビデオレクチャーによる出演:仲真紀子


時間と記憶についての、素朴で本質的な問題を摘出します。時間は逆流しないのか?物理の時間と意識の時間は重なっているのか?未来は過去に影響し得ないか?等々。さらに、記憶心理学の専門家(仲真紀子さん)の「エピソード記憶入門」(ビデオレクチャー)も交えながら、未来形の文脈で「記憶」を語ります。

レクチャー1
『逆流する時間?未来の記憶?』
下條信輔

イントロで摘出したいろいろな疑問について、現代物理学、神経科学、認知科学などを参照しながら、半歩踏み込んだ議論を展開します。動く物体の軌道と観測される位置、エントロピーと不可逆性、知覚と記憶の関係、「現在」とは何か、神経活動の時間と心の時間、記憶の多元システム、等々。

レクチャー2
『覆水盆に返らず? エントロピー、カオスと物理学における時間の向き』
田崎秀一


「覆水盆に返らず」の諺通り、過去と未来には厳然とした区別がある。しかし、物理学の基本法則には時間は単なる数としてしか現われず、過去と未来は質的に区別されない。この矛盾をどう解くか。カオス理論の立場から説明します。

ショウイング1
『out of the passage』
制作:タナカノリユキ


レクチャー3
『時間の本性とは?』
植村恒一郎


「時間の流れ」を見た人は誰もいないのに、我々は皆「時間は流れる」と思っている。時間はまた、「もういない」過去、「今ある」現在、「まだない」未来という姿をして我々に現れる。前者の「時間の流れ」と後者の「時間様相」とは、実は理論的にうまく整合しない。人間の「記憶」を手掛かりに、時間という謎に切り込んでみよう。

<第2部:フレキシブル・プログラム>

『フレキシブル・プログラム・ガイダンス』
下條信輔+タナカノリユキ

[メモリ・イン・モーション 未来記憶]を参加者にもよりリアルに理解してもらうために、第2部では、こちらで用意した下記の8つのキーワードのみを来場者に提示し、来場者からのリクエストの多い順にプログラムを決定、進行していきます。つまり参加者には、今生まれた記憶を時間という枠組みの外側で編集し、自分なりの[メモリ・イン・モーション 未来記憶]を構築する、という体験をしていただくことになります。

<プログラムキーワード>

1『潜在記憶と、創造性』
2『物理学では問えない問い』
3『過去はどこにあるのか?』
4『時間と人間 physics vs philosophy』
5『メメント memento』
6『a series of 2 pictures』
7『illogical flashes』
8『記憶の迷路』

<第3部:サマリー・セッション>

Q&A+サマリートーク『コンストラクション:構成する記憶』
タナカノリユキ+下條信輔

<ゲストプロフィール

田崎秀一
Syuichi TASAKI
早稲田大学理工学部応用物理学科教授 / 物理学者、理学博士

1958年大分県生まれ。89年京都大学理学研究科博士課程修了。89-93年国際ソルベイ物理化学研究室(ベルギー)研究員としてイリヤ・プリゴジン博士のグループで不可逆性の研究を行う。93-95年(財)基礎化学研究所研究員、95-97年同副主任研究員、97-00年奈良女子大学理学部助教授を経て、現職。現在の専門は、非平衡統計力学、カオス系の理論、物性理論。著書に『カオスから見た時間の矢』(講談社ブルーバックス)、訳書に『カオス力学系の基礎』(R.L.デバネー著/ アジソン・ウェスレイ・ジャパン共訳)がある。

植村恒一郎 Tsuneichiro UEMURA
群馬県立女子大学教授 / 哲学者

1951年東京生まれ。75年東京大学教養学部教養学科科学史・科学哲学分科卒業後、81年東京大学大学院人文科学研究科哲学専攻博士課程を修了。84年群馬県立女子大学専任講師、現在、同教授。この間、東京大学、御茶ノ水女子大学、放送大学等で非常勤講師。専門分野は、ヨーロッパ近代哲学、特にカントを中心にした認識論であるが、近年は時間論に専心。時間は我々を誕生から死へと運ぶ。それゆえ時間は、我々の自己理解の究極の基盤をなすことになる。諸科学の客観的な時間を、我々の自己理解の基盤である「この時間」にどう軟着陸させるか、これが現在の研究課題である。著書に『時間の本性』(勁草書房)、訳書にカント『視霊者の夢』、バークリ『視覚新論』など。

仲 真紀子 Makiko NAKA 
東京都立大学人文学部助教授 / 認知心理学者

1955年福岡県出身。79年お茶の水女子大学文教育学部卒業。81年同大学大学院修士課程人文科学研究科修了。84年同大学大学院博士課程人間文化研究科中退。87年学術博士(お茶の水女子大学)。お茶の水女子大学助手、千葉大学講師,助教授を経て99年より現職。大人と子どもの対話(対話の中での助数詞の獲得、子どもの目撃証言の聞き取り、子どもへの法廷尋問)や日常記憶(書くと覚えられるか、なぜ昔住んでいた所を訪れると小さく感じるか、記憶にもとづく目撃証言)などの研究を行っている。主な共著書に『目撃証言の研究』(北大路書房)、『日常認知の心理学』(同)、『面白言語のラボラトリー』(同)、『温かい認知の心理学』(金子書房)、『ことばの獲得』(ミネルヴァ書房)、訳書に『抑圧された記憶の神話−偽りの性的虐待の記憶をめぐって』(ロフタス・ケッチャム著/ 誠信書房)など。
http://psywww.human.metro-u.ac.jp/personal/naka/

<監修者プロフィール

タナカノリユキ
Noriyuki TANAKA
アーティスト / アートディレクター / 映像ディレクター

1985年東京芸術大学大学院修了。脱領域の旗手としてグラフィック、空間造形、映像、パフォーマンスと、様々なビジュアル表現を駆使して活躍するビジュアルアーティスト。その身体から発する表現を様々なメディアに展開し、芸術と社会を結ぶ活動を行っている。89年個展『GOKAN』、91年日比野克彦らとのグループ展『Xデパートメント』、93年下條信輔とのコラボレーション『Explore Reality/現実の条件』など国内外での展覧会、アートプロジェクト、レクチャーなど多数。また、下條信輔との科学技術館常設展示『FOREST:遊び・創造・発見の森』のディレクション及びイリュージョンの部屋の制作、ミュージックビデオ、CMの演出、ピーター・グリナウェイの映画『The Pillow Book』の美術、アートディレクター、クリエイティブディレクターとしても国際的に活躍している。ADC、TDC他受賞多数。著書に『LASTDECADE1989〜1999』(用美社)、『PAGES』(光琳社出版)、『タナカノリユキの仕事と周辺』(六耀社)、CD-ROMに『The Art of Clear Light』(デジタローグ)など。
2002年8月には、久々の大型個展『OUT OF DESIGN』を開催。

下條信輔 Shinsuke SHIMOJO
カリフォルニア工科大学教授 / 知覚心理学、認知脳科学、認知発達学

1955年東京生まれ。78年東京大学文学部心理学科卒業後、80年同大学院人文科学研究科修士課程、86年同博士課程修了。この間、81-85年マサチューセッツ工科大学留学、同研究員、同Ph.D.。86-89年スミス・ケトルウェル視覚研究所(サンフランシスコ)ポス・ドク研究員。89-97年東京大学助教授を経て、現在、カリフォルニア工科大学教授、NTTコミュニケーション科学研究所リサーチプロフェッサ兼任。93年タナカノリユキとのコラボレーション『Explore Reality/現実の条件』、94年『VRエキスポ'94』出品展示、95年科学技術館常設展示『FOREST:遊び・創造・発見の森』総括ディレクター、99年『カンサスサイエンスシティ』出品展示を担当するなどその活動は、研究室内に止まらず多岐にわたる。『〈意識〉とは何だろうか』を中心とする一連の著作により、99年、サントリー学芸賞受賞。著書に『まなざしの誕生』(新曜社)、『視覚の冒険』(産業図書)、『サブリミナル・マインド』(中公新書)、『〈意識〉とは何だろうか』(講談社新書)他、共著多数。
http://neuro.caltech.edu/

 

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