[ルネッサンス ジェネレーション]とは
「高度情報化社会」「ボーダーレス」「マルチメディア化」など90年代のキーワードが成熟した現在、既成のカテゴリーやジャンルでは括りきれない「次世代型創造者」がアートやテクノロジー、サイエンスなどさまざまなスタイルを借りて生まれてきています。心理学者がアートを発表したり、アーティストがエンジニア的な活動をしたり、といった事例も多数見受けられます。ところがいざそんな新しい動きをプロジェクトとして提示しようとすると、パッケージ化された『○○○展』の域にとどまってしまうジレンマがありました。これでは新鮮な輝きも失せてしまいます。
もっと個人の進化に対応し、可能性を追求できるショウケースのスタイルはありえないのか。
もっとアクチュアルに、個人と、社会と、そして未来とコミットできる方法があるはずだ。カテゴリーにとどまらず、もっと広い視座に立脚して「次世代型創造者」をサポートしたい。そんな思いに共鳴していただいたタナカノリユキ、下條信輔、両氏の監修の下、1997年にスタートしたのがこの[ルネッサンス
ジェネレーション]です。
私たちはまず、このプロジェクトを「21世紀へ向かい、可能性を追求する場」と定義しました。参加者にとっても、出席していただくクリエイターの方々にとっても、そして私たちにとっても「可能性を追求する場」です。全体テーマは[未来身体]。個々の身体の変容があるからこそ新たな現象が生まれ、社会の変容へと繋がります。21世紀へ向かうヒトにとって意識せずにはいられないテーマです。そこで毎回、アクチュアルな社会現象から敷衍する形でテーマを設定しています。第1回はまさに上記で述べたジレンマを受けた形での「精神の遊戯場」、2回目はTVアニメを見ていた子供が光過敏症を起こした事件から「周波数:表現、メディア身体との関係」、第3回ではヒトがヒトであるための究極の問題「心の理論」を取り上げてきました。
そして[ルネッサンス ジェネレーション〈未来身体〉2000]。第4回目を迎えた今回のテーマは「ADDICTION=ハマるメカニズム?」です。
「物質の中毒になること(ADDICTION)」と「精神的にハマること」、この一見違うことを指すようにみえる2つの現象の間には、実はかなり共通項があります。例えば、フィギュアにハマっているフィギュアオタクは、物質の中毒なのか、精神的にハマっているのか、その違いは微妙です。ヒット商品を生みだす構図の中で、「大衆をハメる」ための宣伝・広告戦略は間違いなく重要課題の1つです。彼らがもし「中毒」の原理を研究していないとしたら、それはサボタージュでしょう。「中毒」という言葉から連想されるのは、麻薬中毒や薬物中毒といった悪いイメージを伴う事象ですが、果たして「中毒」とは本当に悪いことなのでしょうか。
そんな「中毒」の深淵にたどり着くべく、今回は、精神薬理学の立場から廣中直行、社会学的視点から東浩紀の両氏をパネラーにお招きし、「中毒」の構造に迫ります。そして平成の『ガメラ』シリーズなどの特撮で知られる樋口真嗣氏には、「ADDICTION=ハマるメカニズム?」をテーマとしたビデオショウイングの制作とともに、観衆をハメる側として、また仕事にハマるヒトとして、パネルディスカッションに参加いただきます。
現代の世相や流行の裏側に潜んでいる「中毒」という構造を解き明かす、[ルネッサンス ジェネレーション〈未来身体〉2000]にご期待下さい。
主催者
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