CDIOとは、Conceive(考え出す)、Design(設計する)、Implement(実行する)、Operate(操作・運用する)の略で、工学教育の改革を目的として開発された考え方です。
これはCDIOイニシアチブと呼ばれ、「CDIOシラバス※1」という卒業生に求める知識、スキル、態度をまとめたものと、「CDIOスタンダード※2」という工学教育のフレームワークを示した2つの基本文書に基づいて実施され、「工学の基礎となるサイエンス」と「テクノロジーの基礎となる実践・スキル」のバランスを重視した、質の高い教育を目指すものです。
現在CDIOには、36か国、130以上の高等教育機関が加盟し、工学教育の事実上の世界標準となっています。CDIOネットワークは今後の共同研究推進のため、各国の教育研究機関の参加を呼びかけています。
※1 CDIOシラバス
「WHAT:何を学ぶべきか」を示すもので、将来を担う技術者に求められる知識・スキル・態度として、次のようなものが詳細に示されています。
① 数学・科学等の基礎的な知識と、技術者としての専門基礎知識
② システムシンキングや批判的思考、仮設と実証、モデル化や定量化による分析力、技術者としての倫理観
③ チーム運営能力とリーダーシップ、口頭・文書・図形・英語によるコミュニケーション能力
④ 社会における技術者の役割、経営的視点、プロジェクト運営・設計能力、改善能力
※2 CDIOスタンダード
「HOW:いかにして実施するか」を示す12のフレームワークであり、各々に自己評価のための、5点を満点とする6段階評価のルーブリックが示されています。これによって教育プログラムのPDCAサイクルを回すことを目指しています。
12の基準から成る技術者養成教育のフレームワーク
Standard 1 | The Context | 基本理念 |
---|---|---|
Standard 2 | Learning Outcomes | ラーニングアウトカムズ |
Standard 3 | Integrated Curriculum | 総合化カリキュラム |
Standard 4 | Introduction to Engineering | 技術者への入門 |
Standard 5 | Design-Implement Experiences | 設計・実行の体験 |
Standard 6 | Engineering Workspaces | 学修スペース |
Standard 7 | Integrated Learning Experiences | 統合化された学習体験 |
Standard 8 | Active Learning | アクティブラーニング |
Standard 9 | Enhancement of Faculty Competence | 教員力の向上 |
Standard 10 | Enhancement of Faculty Teaching Competence | 教員授業力の向上 |
Standard 11 | Learning Assessment | ラーニングアセスメント |
Standard 12 | Program Evaluation | プログラム評価 |