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白山ならではの産学連携プロジェクトを生み出すツール「Hakusan Creative Biotope Resource Report」ができるまで

”Hakusan Creative Biotope” (以下HCB)では、白山での取り組みに興味をもった人々がはじめて活動に参加する際、できるだけ早く白山について理解し活動に参加しやすくする環境づくりを始めています。今回、私たちは「白山麓に眠るリソース」をテーマに、鳥越、白峰、尾口地区を中心として実施したリサーチ結果を「Hakusan Creative Biotope Resource Report」として公開します。集約したリソース情報は、活動に参画する方に配布され、企業の皆さんが有するリソースと融合することで、新たなイノベーションを創出するためのツールとしてお使いいただけます。

白山の情報をより簡単に手に入れられるように

2017年3月からHCBオープンに向けて様々なトークイベントやハッカソンを行い見えてきたのは、「もっとみなさんに白山のことを知ってほしい」という気持ち。地域ならではの情報が事前に集約されていれば、白山を舞台に実験したい企業がより早く実践的なアイデアを発想することができると考えました。そこで私たちは、白山にまつわる基礎情報はもちろん、地元の人だからこそ知っている情報をリサーチしました。

白山に眠る新たな価値のタネを見つける

今回のリサーチでは、「人が多いエリアには見られない広大な土地や空間、特殊な動植物、特有の習慣が新たなリソースとなり、白山ならではのユニークなプロジェクト創出につながるのではないか」という仮説を設定。そのため、地元の人もうまく価値や用途を見つけきれてないものや場所、自然の変化、人々の気質にも目を向け耳を傾けることを心がけました。

リサーチを行ったのは金沢工業大学と地元企業のPFU、そしてロフトワークの3社コラボレーションチーム。それぞれの視点や立場から対象に目を向け、面白く活用される未来を思いながらリサーチを進めました。対象となったのは地域に重要なネットワークを持つキーパーソンや、地域での取り組みを行う団体。彼らが普段活動する現場で、合計39名の方にインタビューを行いました。

リサーチ概要

期 間:
2018年7月3日〜12日、9月6日〜8日
場 所:
白山麓周辺(鳥越、白峰、尾口、吉野谷、鶴来、河内など)
対象・内容:
地域のキーパーソンや、地域活動を行う団体関係者など39名に、活動現場にて60分程度のインタビュー
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変わった木材にトリカブト、驚きのリソースを発掘

林業や農業、観光業など地域の産業に関わる方から、野生動物の管理をしている方、商工会のみなさんなどにお話を聞くと、「廃業になったスキー場は、使える土地も、宿泊施設もたくさんある」「小さな村が統合されるたびに祭りが行われていた歴史から、村での集まりやお祭りがみんな好き」「山の斜面に生えた木の根元が雪の重みでS字に曲がってしまう。木材を販売するとき、曲がった部分は売り物にならずにいる」...などなど、机上で調べているだけでは決して得られない情報が数々集まってきました。中には「白山の一部では、トリカブトが採れる」など、インタビューに同席した地元の人同士でも驚きの事実も。おそるべし白山。多くのリソースが眠っていることがわかりました。

同時に、白山のみなさんが「地域が盛り上がるなら」とオープンな気持ちでインタビューに対応してくださったり、「これからも連携をしていきましょう」と心強いお言葉を多くいただけたりしたことも大変印象的でした。

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Resource Reportとして、集約!

こうして集めてきた情報は、全9つのカテゴリに分けられたユニークなリソースカードとして集約し、白山の基礎情報を押さえたリソースレポートとあわせてまとめました。

以下は、その一部の抜粋です。

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■ 特徴1:活用者目線の情報

地域で現在使用されていない場所や、活用されていない素材を、今後活用していくための視点から編集しています。場所やものの使用にあたって気になる規模や、活用されていない背景などをまとめています。

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■ 特徴2:地域の人々の声

リソースに対する地域の認識を知ることができます。彼らがどう感じているかを事前に理解しておくことで、活用しやすさもアップします。

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■ 特徴3:HCB参加者向けのシークレットカード

インターネット公開版レポートとあわせて、HCBでの活動参加者には、非公開のシークレットカードを用意。活動に協力してくれる団体や関係者の情報も提供されます。

活用のイメージ

作成したレポートとカードは、KITが主催するアイデアソンやハッカソンなど、プロジェクトアイデアを考える際に白山情報のインプットとしてお使いいただけます。地域のリソースと、自社が持つ技術やサービスを掛け合わせてどんな新しい価値が生まれそうか、発想することをサポートします。

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今回えられた情報を通じて、KITに参加する企業やクリエイターの白山麓地域への理解が深まり、大きな科学反応を生み出すプロジェクトが生まれることを期待しています。

ダウンロード

リソースレポート(インターネット公開版)は以下のリンクにて公開しています。

「Hakusan Creative Biotope Resource Report」(34.1MB)