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「里山で創るエデュテックトイ」
キャンプ型ハッカソン開催レポート

新たな学びと産学連携の実験場
「HAKUSAN CREATIVE BIOTOPE」を“実験”した3日間。

2017年9月15日〜17日、金沢白山の麓・白峰村で3日間に渡ってキャンプ型ハッカソンが開催されました。

金沢工業大学とロフトワークがつくる新しい学びと産学連携の実験場「HAKUSAN CREATIVE BIOTOPE」。今回のハッカソンは、2018年4月の同キャンパスオープンに先駆けたイベントであることはもちろん、里山という豊かな自然に囲まれたキャンパスでどのような新たな学びや産学連携の形をつくり出していけるのかを“実験”するためのものでもありました。

<「HAKUSAN CREATIVE BIOTOPE」とは?>

新しい社会的・文化的価値を生み出すための「構想・研究・実装」という、3つの特徴と空間的機能を備えた新しいスタイルのキャンパス。専門分野や領域を超えて様々な異能が集まり、白山麓の大自然の中で滞在しながら、従来の手法や価値観にとらわれない自由な発想で発見と実験を繰り返し、まだ世界にない価値観を共創するための場です。

今回は「HAKUSAN CREATIVE BIOTOPE」が掲げる6つの共創テーマの中から【「過疎地での教育」から「コドモノベーション教育」へ】にフォーカス。「里山でつくるエデュテックトイ」という課題を設定し、3日間の滞在型ハッカソンを開催しました。

白山で「遊びながら学ぶ」を改めて考え、
カタチにし、アップデートしていくプログラム。

100年もの間変わることがなかったと言われる教育や学びの分野。そこにITの力でイノベーションを起こしていこうとする動きがEducation+Technologyの「エデュテック(EdTech)」です。エデュテックは、従来の教育のあり方・概念・体系・常識を大きく塗り替えていく可能性を秘めていて、今、世界的なムーブメントとなっています。

さらに今回のハッカソンでは、エデュテックに「トイ」という遊びの要素をプラス。日常生活の中で遊びながら発見をしたり、コツを身につけたり…。幼い頃に誰もが経験したことのある「遊びながら学ぶ」という、フィジカルさやアクティブさを持った学びの方法をアップデートすることを目指しました。

また、白山麓という地域性をハッカソンに取り込むことを狙って、「白峰村に暮らすシニア世代の皆さんの思い出から、次の未来を創り出す」というコンセプトを設定。「HAKUSAN CREATIVE BIOTOPE」ならではのアウトプットを生み出すべく、プログラムを設計しました。

異能と異能が出会い、融合する。
そこから、今までにない価値が共創されていく。

ハッカソン当日、専門領域の垣根を超えて集まった参加者は、総勢40名以上。デザイナー、エンジニア、写真家、研究者、教育関係の仕事に携わる人、それに金沢工業大学の学生たち…。異業種、異職種の人をあえて混ぜ合わせてチームを編成。さらに金沢工業大学の教授・職員も飛び入りで参加して、全12チームでハッカソンをスタート。それぞれが持つ知識、スキル、そしてアイデアとを融合させて、発想と実装を繰り返し、45時間以内でのプロトタイプ完成を目指しました。

白山で得たヒントから、アイディエーション、プロトタイピングへ。
「HAKUSAN CREATIVE BIOTOPE」の可能性が広がる、実験的な作品が数多く誕生。

Hakusan Edtech Toy Hackathon Program

12のチームは、チームビルディングを経て、今回のハッカソンならではのワークショップ「シニア住民インタビュー」を実施。その目的は、地元・白峰村にお住いのシニアの皆さんに昔の遊びについてのお話を聞くことで、アイデア発想のヒントをつかむこと。学ぶことと遊ぶことがフィジカルだった当時のお話に、参加者は数多くのインスピレーションを得ていたようでした。

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各チームはさらにアイディエーションを重ねてアイデアを固め、中間プレゼンテーションを経てプロトタイピングへと突入します。

打ち合わせを重ねてアイデアの精度を高めていくチーム、頭と手と体を動かしながらアイデアをどんどんカタチにしていくチーム、時間の許す限りアイデアを練り直すチームなど…。各チームとも時間の許す限り最後の最後まで議論して、カタチにして、検証して、ブラッシュアップを重ねていきました。

そして45時間が経過し、ついに全11チームのプロトタイプが完成!

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この中から栄えあるグランプリに輝いたのは、チームめがねでした!

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チームめがねの作品「ハニートラップ」は、いたずらづくりを通して子どもたちの創造性やコミュニケーション力、課題解決力を育もうとするエデュテックトイ。

人感センサで人の動きを感知するとおもちゃのゴキブリを射出する罠キット。さらに、スピーカーとカメラを搭載した拡張セットも用意して、スピーカーがゴキブリのリアルな足音を発し、カメラがいたずらを仕掛けられた人のリアクションを撮影します。

また「ハニートラップ」を活用した体験型の教育プログラム「罠DAYS」も提案。これは子どもたちによる先生へのいたずらをかけ放題にする学校行事。子どもたちが先生へのいたずらを成功させるために「ハニートラップ」を使いながら試行錯誤を繰り返していく、まさに「遊びながら学ぶ」ための仕組みでした。

シニア住民インタビューで得た「いたずら」をヒントに、プロトタイプ制作のみならず、エデュテックトイを核としたプラットフォームまでをトータルでデザインしたことが高く評価され、グランプリ受賞となりました。

こうして3日間にわたる滞在型ハッカソン「里山で創るエデュテックトイ」は幕を閉じましたが、「HAKUSAN CREATIVE BIOTOPE」では今後もさまざまなイベントを開催していきます。11月には【「福祉医療」から「未来サキドリ医療」へ】をテーマにアイディアソンを実施予定です。

2018年4月のオープンに向けて着々と実験と進化を続けていく「HAKUSAN CREATIVE BIOTOPE」に、これからもご注目ください!