第2回 GPSで宝物さがし&飛び出す3D画像づくり

【学びのポイント3】 写真測量って何だろう?

普段、私たちは両方の目で物を見ていますが、片方ずつの目で見るとどうなるでしょう?右目だけで見た時と、左目だけで見た時では物の位置が変化し、このズレを視差といいます。人間の目はこの視差によって奥行きを感じ、物を立体的に見ることができるのです。写真測量は、この視差の原理を利用した技術のことです。午後からの講義では、写真を使って物の位置、高さ、形を測る写真測量のしくみについて学びます。また、相似の図形についても学び、便利な測量の計算方法を体験します。

講義の時間

写真に写っている世界が真実とは限らない!視差を使った測量って?

学生「ここからは写真測量について学びます。写真測量とは写真を使って物の位置、高さ、形を測る技術のことです。例えば、空中写真を使って、災害で地形がどのように変わってしまったかを測ることができます。他にも遺跡調査などで利用されています」

学生「それでは、ここでクイズです。画面に映った2つのぬいぐるみはどちらが大きいでしょう?右だと思う人は手をあげて?誰もいませんか。左だと思う人?じゃあ、どちらも同じだと思う人?」

キッズ全員「はーい」

学生「はい、全員正解ですね。左のぬいぐるみは、右のものより遠くに置いてあるので小さく見えるけど、実際は同じ大きさなんです。このように写真に写った形や大きさが真実とは限りません」

学生「次に、視差について説明をします。みんな、自分の指を右目、左目でそれぞれ見てください。見え方が違うことに気づくと思います」

キッズ「位置が動いて見えるよ」

学生「右目で見た時と左目で見た時では見える位置が変わり、これを視差といいます。手前にあるものや、大きいものは視差も大きくなります。人間の目はこの左右のズレで、物を立体的に見ることができるのです。左右2ヶ所から町を撮影し、2つの写真の視差を計算すれば写真に写っているビルの中で、どれが一番大きいかがわかりますね」

学生「しかし、一番大きいビルがわかっても、それが何メートルなのかはわかりません。そこで、相似の性質を利用します。相似を学校で習った人もいるかな?」

キッズ「数学の時間に習った!」

学生「図形の形を変えずに、拡大、縮小した図形を元の図形の相似といいます。手元に三角形のマグネットがあるので、それで考えてみましょう。比率が5倍の三角形は一辺も5倍ですね。それではこの問題はどうでしょう?相似の関係にあるAとBの三角形があります。底辺はAが10cm、Bが2cm。高さはAが25cm、それではBは何cmでしょう?」

キッズ「はい!5cm」

学生「相似について理解したら、左右2ヶ所から撮影した木の写真を使って測量に挑戦してみましょう。まず"写真の真ん中から木のてっぺんまでの長さの合計"と"写真に写った木の長さの合計"の比率を計算します。画面のように2つの相似な三角形に置き換えて考えると、"地面からカメラまでの高さ"がわかれば"木の高さ"がわかりますね」

キッズ「計算しました。25cmです」

学生「じゃあ、前に出て木の模型を測ってみてください」

キッズ「実際に測ってみると、やっぱり25cmでした」

学生「最近では、撮影した写真をパソコンに取り込めば視差を自動で計算してくれるソフトもあり、とても便利です」

写真測量
空中写真や地上写真を元に、対象物の大きさや形状を測定する方法のことです。
相似
2つの図形のうち一方を拡大もしくは縮小した時、もう一方に重なる時、2つの図形は相似であるといいます。

【学びのポイント4】 パソコンを使って、3D画像を作ってみよう

写真測量の講義では、左右2ヶ所から撮影した2枚の写真を使って物の大きさが測れることを学びました。この知識を応用して、今度は3D 画像の作成に挑戦しましょう。ぬいぐるみの写真を2枚撮影し、それをパソコンに取り込むと専用ソフトが自動でぬいぐるみの形や大きさを計算してくれます。まずはイメージマスタービギナーズというソフトで立体的な画像を作り、その後にアナグリフというフリーソフトを使用して飛び出す画像を作成しましょう。

3D画像作成の時間

好きなぬいぐるみの写真を撮影し、パソコンで3D画像を作ろう

学生「写真測量のしくみがわかったら、次はパソコンを使って3D画像を作成します。イメージマスタービギナーズで立体的な画像を作成した後に、アナグリフで飛び出す画像も作ります。みんな、撮影用に好きなぬいぐるみを1つ選んでください」

学生「後にカメラがあるので、選んだぬいぐるみを台にセットして写真を2ヶ所から撮影してください。床に三脚(カメラをのせる台)をセットする目印として、シールが貼ってあります。最初に右側にある3点のシールに三脚をセットして撮影。次に左側の3点のシールにセットして撮影してください。その後、アナグリフ用にさらに2枚撮影してくださいね。写真は合計4枚です。

学生「撮影した画像をパソコンに取り込み、画像処理をします。少しむずかしくなるので、わからなかったらお兄さん、お姉さんに質問してね」

学生「ぬいぐるみにはあらかじめシールが貼ってあります。例えば、うさぎのぬいぐるみの耳にも貼ってありますね。右の写真にある右耳のシールを1回クリックし、次に左の写真の右耳のシールを1回クリック。そして計測ボタンを押します。この作業を繰り返すと、ぬいぐるみの奥行きが求められます」

キッズ「立体的な画像ができたよ!」

学生「次はアナグリフで飛び出す画像を作ります。これも2枚の写真を使います。赤青メガネで確認しながら操作すると、画像が飛び出してくるのがわかりますよ」

キッズ「飛び出してきた」

アナグリフ
赤と青のフィルムを貼った「赤青メガネ」を用いて画像を立体的に見る方法です。