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― 公共測量― 作業規程の準則 (令和2年3月31日改正版) 解説と運用が公開
(地形測量及び写真測量編・三次元点群測量編)
K.I.T.空間情報プロジェクト「地上レーザマニュアルWG」の成果が活用

 令和3年5月13日、日本測量協会より公共測量作業規程の準則 (令和2年3月31日改正版) 解説と運用が出版され、当該解説書の第3章には新しく「地上レーザ測量」の項目が追加されました。

 平成21年にK.I.T.空間情報プロジェクト「地上レーザマニュアルWG」が北陸の有志企業の提案により構成され活動を開始しました。その端緒は3D計測が可能な地上レーザ計測機が世の中に現れ、測量作業にも多く使われるようになったにも関わらず、「公共測量作業規程の準則」に掲載されていないことから公共測量に使用できないという現実があり、地元測量系コンサルタントから「国土交通省国土地理院に働きかけて公共測量にも活用できるようマニュアル化できないか」という相談を受けたことに始まりました。

 地元有志企業7社でスタートした「K.I.T.空間情報プロジェクト地上レーザマニュアルWG」は6回にわたる実証実験を天池キャンパス、扇が丘キャンパス(多目的ホール)、庄川河川敷、白山麓キャンパス近傍(白峰村)などで実施しました(使用した地上レーザ計測機は延べ10種類以上あり、日本国内にある地上レーザ計測機を網羅していました)。

 この間、多くの学会発表・査読のある論文誌への投稿・掲載により学術的な裏付けを確保、地元自治体への働きかけ、国土交通省国土地理院へのマニュアル(案)の提案などを経て、平成29年に国土地理院により「地上レーザマニュアル(案)」が作成されました。これに基づき、同年から2年間にわたり国土地理院とWGの共同研究によりマニュアル(案)に準拠した実証実験(3回)を実施しました。

 以上のような経過を経て、令和2年3月31日に公共測量作業規程の準則の改定が行われ、同年4月1日に施行されました。そして、令和3年5月13日に「地形測量及び写真測量編・三次元点群測量編」として解説と運用が公開されました。

 第3章には図3-22として「反射強度による標高点群(観測値)」、図3-24として「オリジナルデータ」、図3-25として「細部数値図化データ」が(提供:金沢工業大学レーザマニュアルWG)として記載されています。また、第3章の随所にレーザマニュアルWGが十数年にわたって蓄積してきた成果が引用されています。

 K.I.T.空間情報プロジェクト「地上レーザマニュアルWG」はその目的を達成したため、令和2年3月末日をもって解散しましたが、地元企業の熱意から発足したWGが10年以上にわたる努力と研鑽の結果としての成果と確信しています。

 なお、現在も地上レーザの特性を検証するための研究が鹿田研究室と山口研究室の共同研究として継続しています。