KIT 金沢工業大学

原著から本質を学ぶ科学技術講座 世界を変えた偉人は何を考え、何を語ったか 世界的な科学者たちの思考のプロセスを辿り学問の本質を共有し、次代のイノベーション創出につなぐ

第22回講座

レントゲンは
何を見つけて、何を考えたのか

〜X線発見までの経緯を原著論文より学ぶ〜

  • 講師:金沢工業大学 数理基礎教育課程 
    教授 篠田 昌久
    プロフィール
    教授 篠田 昌久

    大阪大学基礎工学部物性物理工学科卒。同大学大学院理学研究科修士課程(物理学専攻)修了。三菱電機(株)入社。応用機器研究所、電子商品開発研究所、映像システム研究所、ビデオディスク事業開発センター、映像情報ストレージ統括部、映像情報開発センター、映像情報開発研究所、先端技術総合研究所に勤務。兼務にてディジタル・エイテック(株)出向を経て、2015年本学教授就任。

新種の輻射線について

金沢工業大学ライブラリーセンター所蔵

新種の輻射線について

ウィルヘルム・コンラッド・レントゲン
1895-1896年 初版

Röntgen, Wilhelm Conrad.
Über eine neue Art von Strahlen.

金沢工業大学は、科学的発見や技術的発明が最初に発表された約2000点の稀覯書を所蔵しており、これらを活用し「学問の本質を学び、未来にチャレンジする」教育・研究を行っています。ウィルヘルム・コンラッド・レントゲンが発表した3件の論文「新しい種類の線について(第1報)」(1895年)、「新しい種類の線について(第2報)」(1896年)、「X線の性質に関する追加観察(第3報)」(1897年)について解説します。レントゲンは、医療診断をはじめとして各種の非破壊検査などに幅広く用いられているX線を発見しました。X線とは、「未知なる線」としてレントゲンが命名した呼称です。陰極線の研究に没頭していたレントゲンは、偶然にも陰極線とは考えられない「何か」が蛍光紙を発光させているのに気付きました。この得体の知れない「何か」は、木材や分厚い本を透過してしまうことがわかり、親指と人差し指に挟んだ鉛の円板の透過性を観察してみたところ、指の骨らしきものが認められました。驚愕したレントゲンは、喜びとともに、この現象を科学者たちが信じてくれるだろうか、に苦悩しました。これまでの常識を打ち破る新しい発見の裏には、このようなドラマが潜んでいます。本講座を通じて、皆様が自然科学の基本思想を再認識し、ワクワクするような自然科学探求の旅に再出発して頂ければ幸いです。

原著から学ぶ科学技術の本質について
金沢工業大学 学長 大澤 敏

【第1部】レントゲンの論文紹介にあたり

【第2部】レントゲンの論文の構成、概要、印象

【第3部】レントゲンの論文の内容および解説

【第4部】X線の発見とその後、まとめ

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